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2026年1月 ブラジル関連情報


 

2026年1月ブラジル関連情報

 

1.外交(ベネズエラ情勢)

(1)3日、米国がベネズエラに対する軍事攻撃を実施し、マドゥロ大統領夫妻の身柄を拘束してニューヨークに連行した。ルーラ大統領は、「(米国の)軍事行動は、容認できない一線を越えた。これは明らかな国際法違反であり、弱肉強食の掟が支配する暴力と混沌と不安定な世界への第一歩となる。伯は、他の国や地域における力の行使を常に非難してきた。国際社会は、国連を通じて、今回のエピソードに対し、断固として反発すべきである。伯は、(米国の)軍事行動を非難すると共に、対話による解決に協力する用意がある」とXに投稿した。また、ルーラは、周囲に対し、トランプ米大統領がコロンビアとキューバに対する軍事作戦を示唆したことについて憂慮していると述べ、関係閣僚と対策会議を行った際、米国の動きを注視するよう、指示を出した。ヴィエイラ外相は、ベネズエラのピント外相と電話会談を行ったことと、米国の軍事攻撃により被害を被ったブラジル人はいなかったことを報告した。与党PTは、米国の軍事攻撃を激しく非難するとの声明を発表。伯陸軍の高官(匿名)は、フォーリャ・デ・サンパウロ紙の取材に対し、「米国の軍事作戦は限定的であり、今回の件が伯に国防上の影響を与えることはない。マドゥロを米国に差し出すことで、米国とベネズエラの軍当局の間で取引が行われた可能性がある。伯陸軍は、国境付近におけるベネズエラ難民の動きを監視している」と語った。ムシオ国防相によると、今のところ、伯とベネズエラの国境付近における人の移動について特に大きな動きは見られていない。尚、フレイタス・サンパウロ州知事、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事、カイアド・ゴイアス州知事、ゼマ・ミナスジェライス州知事等、右派の州知事は、米国の軍事攻撃とトランプを称賛し、マドゥロの逮捕を祝った。フレイタス知事は、「これで、伯の選挙でも左派が敗北する機運が高まるであろう」と述べた。(1月4日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ラ米・カリブ海諸国共同体(Celac)は4日、米国のベネズエラ攻撃に関して緊急会合を開いたが、各国のコンセンサスが得られず、共同声明は発表されなかった。伯、メキシコ、チリ、コロンビア、ウルグアイ及びスペインは、非難声明に署名していたが、他の国々が反対したため、共同声明の発表は見送られた。(1月5日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は4日、米国のベネズエラ攻撃を称賛し、「ルーラ大統領は、これまでマドゥロ政権を支持してきた。ベネズエラは、左派に勝ちつつあり、伯も年末には左派に勝つであろう」とルーラを批判する内容の動画をSNSに投稿し、ボルソナーロ派から歓迎された。一方、エディーニョ・PT党首は、「米国の軍事攻撃を称賛している伯の右派は、米国に追従している。トランプ政権がベネズエラの石油利権を狙っているのは明らかであり、今回の攻撃は危険な前例となり得る。伯の民主的勢力は、民主主義と国家主権を守るために団結すべきである」と批判した。(1月5日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)伯のダネーゼ国連大使は5日、安保理において、「米国のベネズエラに対する軍事介入は国連憲章と国際法に対する明らかな違反であり、伯は、断固として拒否する。我々は、目的のためには手段が正当化されるとの主張は受け入れない。国際社会がこれに反発しなければ、世界は、暴力と無秩序に支配され、多国間主義が崩壊するシナリオに直面するであろう。中南米地域における力の行使は、既に克服されたと信じられていた歴史を呼び覚まし、中南米を平和と協力の地域とするための集団的な努力を脅かしている」とのスピーチを行った。現在、伯は、安保理非常任理事国ではないが、5日のセッションに参加して、発言することを求めていた。常任理事国では、ロシアと中国が米国を非難し、マドゥロ夫妻の釈放を求めた。尚、伯の他、コロンビアとチリが米国を批判した一方で、アルゼンチン、パラグアイ及びパナマが米国を全面的に支持し、中南米の分断が表面化した。(1月6日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)5日、ブラジリアにおいて、伯共産党等の左派政党や市民団体が米国のベネズエラ攻撃に対して抗議デモを行った。参加者数は約250名。共和国博物館に集結したデモ隊は、「トランプはラ米から出ていけ」等と叫びながら米国大使館まで行進した。(1月6日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(6)ルーラ大統領が3日の米国による軍事作戦の直後にロドリゲス・ベネズエラ暫定大統領に電話をかけていたことが判明。伯政府筋によると、マドゥロが米国に連行されたことを確認するのが目的であった。(1月6日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(7)エリカ・ヒルトン下院議員(PSol-SP)は6日、「フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)とニコラス・フェヘイラ下院議員(PL-MG)は、SNS上において、米国のベネズエラに対する軍事攻撃を称賛し、伯にも軍事介入してルーラ政権を転覆させるよう、呼びかけている」として、両議員をクーデター扇動罪で連邦検察庁に告訴した。フラヴィオは3日、ルーラとマドゥロの画像を並べて、「ルーラも麻薬密輸や不正選挙等によりデリートされる」とXに投稿した。リンジベルギ・ファリアス・PT下院院内総務もフラヴィオ、ニコラス・フェヘイラ及びエドゥアルド・ボルソナーロの3名が米国の伯に対する軍事介入を煽っているとして、連邦警察に対し、右3名に関する捜査を求めた。フラヴィオは、米国が伯に対して追加関税を課した際、広島と長崎の原爆投下を引き合いに出して、伯も外国の干渉を受け入れるべきであると主張した。(1月6日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

2.ルーラ政権

(1)ルーラ大統領とアルコルンブレ上院議長は、メシアス連邦総弁護庁(AGU)長官のSTF判事指名から関係が悪化し、疎遠になっていたが、ルーラは、クリスマス前から2回に亘って同議長と電話会談を行い、関係の修復を図った。以前のような親密な関係とまではいかないが、ある程度、関係を改善することに成功した模様。(12月27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)米州人権委員会は26日、「伯では、『情報の無秩序化』、『反民主的行為』等に対処するとの理由により、表現の自由が制限される危険性がある」との報告書を発表した。伯のボルソナーロ派は、同委員会が「伯では、右派に対する検閲が行われており、表現の自由が制限されている」と認定することで、伯に対して何らかの制裁が行われることを期待していたが、期待外れに終わった。尚、同委員会は、伯の司法権に対し、「SNS企業に対して違法コンテンツの削除を命令する際には、その理由及びコンテンツの違法性について説明すべき」と注文を付けている。(12月27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)ルーラ大統領は1日、2026年度連邦予算編成方針法(LDO)を裁可した際、政党助成金(10億レアル)の上乗せ分(1.6億レアル)に対して拒否権を発動した。連邦議会の予算委員会では、政党助成金に対し、2023年に導入された「新たな財政的枠組み(arcabouço fiscal。歳出を前年度のインフレ率+最大2.5%で調整した範囲に抑える)」のルールを2016年に遡って適用することで、2026年度の政党助成金に1.6億レアルを上乗せするとの修正案を採択したが、ルーラは、これを違憲であるとして拒否権を発動した。2026年度LDOでは、各党には、政党助成金の他に、選挙運動助成金として49億レアルが交付されることになっている。(1月2日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)ルーラ大統領は、今月8日の三権襲撃3周年に合わせて、減刑法(量刑算定法)に対して拒否権を発動する予定。また、PT等の左派政党は、8日に民主主義と国家主権を守るためのデモを実施する予定。ルーラ大統領は5日、「彼ら(ボルソナーロ派)は、三権襲撃が忘れ去られることを望んでいるが、我々は、選挙に負けたことを認めようとしなかった者がこの国にいたことを記憶され続けることを望む」と述べ、PTの支持者に対し、デモへの参加を呼び掛けた。(1月5日及び6日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)レヴァンドフスキ法務治安相は、今月9日に辞任する見込み。昨年、連邦政府が治安対策に関して強い批判にさらされたことや治安対策に関する憲法改正案の審議が難航していることが背景にあると見られている。法務治安省を法務省と治安省に分割するとの案も出ているが、レヴァンドフスキの辞任後、またはルーラ4期目に実行される可能性がある。(1月6日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

3.2026年選挙

(1)ダタフォーリャ社が12月2日から4日にかけて実施した世論調査によると、主要政党の支持率は以下の通り。PT24%、PL12%、MDB2%、PSDB1%、その他合計3%、支持政党なし46%。PTの場合、ルーラ3期目における支持率(23%~27%)の範囲内であるが、PLは過去最高を記録した。(12月28付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は、大統領選出馬を表明した後、ボルソナーロ政権の元閣僚、PL幹部、金融市場とパイプのある保守派の政治家、インフルエンサーのパブロ・マルサル(PRTB)等と面会し、支持を求めた。フラヴィオの出馬に懐疑的な保守層と金融市場を取り込むのが目的と見られている。尚、フラヴィオは、2月以降、全国各地(特にサンパウロ州とミナスジェライス州)を遊説する予定。(12月28日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)12月30日、英エコノミスト誌が「ルーラ大統領は、高齢であり、次期大統領選には出馬せず、後進に道を譲るべきである。ルーラに政治家としての才能があることについては異論はないが、ルーラのような高齢者に更に4年間に亘って伯を託すのはリスキーである。カリスマ性が認知機能の低下をカバーすることはない。但し、左派の後継者不足と右派及び中道派の有力候補不在により、次期大統領選ではルーラが最有力候補であることは事実である」との社説を掲載した。また、同誌は、フラヴィオ・ボルソナーロ(PL)に関しては「不人気且つ力不足であり、ルーラに負けるのは確実である」と評している。ホフマン大統領府政治調整庁長官(PT)は1日、「エコノミスト誌は、伯が国民のための政策を放棄することを望んでいる。同誌は、ルーラの健康など心配しておらず、伯の経済成長を取り戻し、税制と社会の不正義に敢然と立ち向かう政権が続くことを恐れているだけである」と反論した。(12月31日及び1月2日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

4.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

(1)26日、シルヴィネイ・ヴァスケス元連邦道路警察長官がパラグアイで逮捕され、伯に引き渡された。ヴァスケスは、クーデター未遂等の罪により、禁固24年6ヶ月の有罪判決を言い渡された後、足首の監視装置を破壊してパラグアイに逃亡し、偽造旅券を使って、同国からエルサルバドルに高飛びしようとしたところを逮捕された。(12月27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)12月25日に鼠経ヘルニアの手術を受けたボルソナーロ前大統領は26日、入院先の病院でリハビリを開始した。ボルソナーロは、27日と29日に、しゃっくりを止めるための処置(喉と横隔膜を結ぶ神経に麻酔薬を注入)を受けた。ボルソナーロは、睡眠中もしゃっくりが止まらないことに悩まされていた。30日、ボルソナーロは、しゃっくりが再発したため、3回目の処置を受けた。31日は、胃カメラによる逆流性胃腸炎の検査が行われた。医師団によると、ボルソナーロは、入院中に抗うつ剤の投与を求めた。ボルソナーロは、1日に退院したが、モラエス・STF判事が自宅軟禁を認めなかったため、連邦警察署内の独房に戻された。(12月27日~1月2日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)2日、モラエス・STF判事の命令により、ボルソナーロ前政権で大統領補佐官を務めたフィリペ・マルチンスがパラナ州ポンタ・グロッサ市の刑務所に収監された。マルチンスは、昨年12月16日にクーデター未遂等により禁固21年の有罪判決を言い渡された後、自宅軟禁を命じられたが、SNSの使用禁止命令を破ったとして、刑務所に収監された。マルチンスの弁護団は、マルチンスがSNSの使用禁止命令に違反したとの事実はないとして、釈放を求めている。(1月3日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)ボルソナーロ前大統領は5日、弁護団を通じて、収監されている独房に設置されたエアコンの音がうるさくて眠れないとの苦情をモラエス・STF判事に伝えた。これに対し、モラエス判事は、連邦警察に対し、エアコンの状態に関する報告書を5日以内に提出するよう、命じた。(1月6日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)ミシェーレ前大統領夫人は6日、「夫ボルソナーロは、6日未明に発作を起こし、転倒して頭を家具にぶつけた。私が面会に行くまで誰も気付かず、応急処置が遅れた。神だけが頼りである」とSNSに投稿した。(1月6日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

 

1.外交(ベネズエラ情勢)

(1)伯のベリ米州機構(OAS)大使は6日、ベネズエラ情勢に関して開かれた米州機構の緊急会合において、「(ベネズエラに対する)爆撃と(マドゥロ大統領の)拉致は、受け入れ難いものであり、国際社会に対する脅威である。伯政府は、内政不干渉、国家主権の尊重、南米の平和維持等、伯外交の基本理念を貫くことにしている。協力に基づく関係が屈服に変われば、国際秩序が崩壊し、弱肉強食のルールがまかり通ることになる」と発言した。伯政府の関係者が公の場でマドゥロの連行を「拉致」と表現したのはこれが初めてである。専門家は、伯政府が米国のベネズエラ攻撃を批判しているとしても、国連憲章及び国際法の遵守、並びに従来の外交方針を根拠にして、バランスの取れた批判に留める限り、ルーラ大統領とトランプ米大統領の関係に悪影響を及ぼすことはないと見ている。(7日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)フィリペ・バーホス下院外交国防委員長(PL-PR)は、2月の休会明けにヴィエイラ外相とアモリン大統領補佐官(外交担当)を同委員会に召喚し、伯政府のベネズエラ情勢に関する方針について説明を行わせることにしている。また、同委員長は、マドゥロの連行を支持するとの動議案を提出する予定。(7日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)デナリウン・ロライマ州知事(PP)は6日、「今後の情勢次第では、ベネズエラ難民がロライマ州に押し寄せる可能性があるが、我が州にはこれ以上、移民を受け入れる余裕はない。連邦政府は、国境地帯の監視を強化し、移民の流入をコントロールすべきである」と述べた。同知事によると、ピーク時には、一日当たり1500~2千人の難民がベネズエラからロライマ州に流入していたが、この1カ月ほどは、一日当たり300~500人に減っている。尚、伯陸軍は、既にベネズエラとロライマ州の国境付近に対する監視を強化している。(7日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

2.ルーラ政権

(1)大統領府広報庁(Secom)は、昨年のインターネットを通じた政府広報に1.3億レアルを使ったと公表した。これは、インターネットを使った政府広報費としては過去最高である。2024年度の支出は4400万レアルであり、昨年は3倍に増えたことになる。主な支払い先は、グーグル、メタ、Kwai及びTikTokである。(7日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ルーラ大統領とパジーリャ保健相は7日、公的医療制度(単一保健システム(SUS))の「インテリジェント病院プログラム」を発表した。これは、公立病院にIAや5Gやビッグデータ等の技術を導入することにより、遠隔医療の実施や「インテリジェント集中治療室」の設置を図ることを目的としている。サンパウロ市内に建設されるインテリジェント病院の第1号(サンパウロ大学病院緊急医療技術研究所)がモデルケースになる。サンパウロ大学には建設費として17億レアルが投入される他、インテリジェント集中治療室の設置(各地域に合計14のインテリジェント集中治療室を設置)には3400万レアルが投資される。同プログラムには、中国とインドが協力することになっており、7日の発表式には両国の代表も出席した。(8日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ルーラ大統領は7日、年金や遺族年金等、国家社会保障院(INSS)の給付金から自動的に関連団体の組合費や会費等を天引きすることを禁止し、これまで不当に徴収された金額については払い戻しを行うとの法律を裁可した。(8日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)連邦警察は、ルーラ大統領の子息(ファビオ・ルイス・ルーラ・ダ・シルヴァ。通称ルリーニャ)とINSSの不正疑惑の中心人物とされるロビイストのアントニオ・カルロス・カミーロ・アントゥネス(通称「INSSのハゲ」)との関係について捜査している。これまでの捜査では、アントゥネスの周辺から幾度もルリーニャの名前が出ており、警察は、ルリーニャとアントゥネスが裏で取引をしていた可能性があると見ている。(8日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)8日、レヴァンドフスキ法務治安相がルーラ大統領に辞表を提出した。レヴァンドフスキは、9日をもって、正式に大臣を辞める予定。後任の法務治安相にはサンタナ教育相(PT)が有力視されている。(8日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(6)ルーラ大統領は8日、三権襲撃3周年に合わせて、クーデター未遂犯及び三権襲撃犯の減刑に関する法律(減刑法、量刑算定法)の全ての条項に対して拒否権を行使した。また、大統領府では、三権襲撃3周年に関する式典が執り行われる他、PTが三権広場においてイベントを行うことになっているが、アルコルンブレ上院議長とモッタ下院議長は、参加を見合わせている。(8日付コレイオ・ブラジリエンセ及びヴァロール・エコノミコ電子版)

3.2026年選挙

(1)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は6日、「父ボルソナーロが大統領選に出馬する場合を除き、自分が出馬を取り下げることはない。(フラヴィオが大統領に当選した場合の)財務相人事については、選挙の前に発表する。勿論、その人物は自由主義者であり、ゲデス前財務相の路線を踏襲することになる。外相には、(弟の)エドゥアルド・ボルソナーロの起用を考えている」と述べた。(6日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(2)シロ・ノゲイラ・PP党首は、ヴァロール・エコノミコ紙の取材に対し、「フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は、大統領候補としてのポジションを確立したと思う。フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は、大統領選に出馬するのは、ボルソナーロ前大統領の支持を得られた時だけと述べているため、同知事が大統領に立候補することはないであろう。(PP等)フレイタス知事の出馬を支持していた各党も同知事の煮え切らない態度に不満を抱いている」と述べた。(8日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

4.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

(1)ボルソナーロ前大統領は、6日未明に収監先の独房で転倒し、頭を打ったため、病院への搬送を求めたが、モラエス・STF判事は、「ボルソナーロは、応急手当てを受けており、また、診察を行った連邦警察の医務官によれば、軽傷で、入院の必要はない」として、病院への搬送は許可しなかった。ミシェーレ夫人等の家族は、「ボルソナーロは、病院に搬送させてもらえないという拷問を受けており、刻一刻と衰弱している。これは命にかかわる問題である。(連邦警察の)独房は不健康極まりない」と訴えている。(7日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ボルソナーロ前大統領は7日、モラエス・STF判事の許可を得て、ブラジリア市内のDF Star病院において検査を受けた。ボルソナーロは6日未明、独房内で転倒した際に頭を家具にぶつけて負傷した。医師によると、ボルソナーロは、おでこと右のこめかみに軽傷を負い、軽い脳震盪を起こしたが、頭蓋骨に異常は認められなかった。尚、医師会は、ボルソナーロが独房内で適切な医療措置を受けられていないとの訴えを受け、調査を行うと決定したが、モラエス判事は、「医師会には、連邦警察の所掌業務について調査を行う権限はない」として、右決定の無効化を決定した。(8日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.外交(ベネズエラ情勢)

(1)ルーラ大統領は8日、ペトロ・コロンビア大統領と電話会談を行い、米国のベネズエラ攻撃及びマドゥロ大統領の拘束について意見交換を行った。両首脳は、米国の南米に対する介入に対して懸念を表明すると共に、今回の攻撃が「国際法違反であり、危険な前例になり得る」との点で一致した。また、ルーラは、ベネズエラの医療センターが米軍の攻撃により破壊されたことから、医療物資40トンをベネズエラに提供することを明らかにした。ルーラは8日、メキシコとカナダの首脳とも電話会談を行った。(9日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)法務治安省は8日、ベネズエラとの国境警備を強化するため、ロライマ州都ボア・ヴィスタと国境付近の町(パカライマ)に国家治安部隊を派遣すると発表した。陸軍は、6日の時点でパカライマの国境警備隊を増員(126名)している。(9日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)伯政府は、ベネズエラの政情が安定化するまで選挙の実施を求めるのは控えることにしている。外交筋によると、伯政府は、当面の間、米国の攻撃は国際法違反であり、危険な前例を作り出すとの批判を繰り返すと共に、ベネズエラの政情を最低限度安定させることにしている。伯政府は、ロドリゲス暫定大統領が何とか持ちこたえており、米国から交渉相手として認められていることから、当面はロドリゲスに賭けるのが得策と見ている。(9日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

2.ルーラ政権

(1)8日、大統領府と連邦最高裁判所(STF)において、三権襲撃3周年に関する式典が開かれた。ルーラは、式典に先駆けて、昨年末に成立した減刑法(量刑算定法)の全ての条項に対して拒否権を行使した。これに対し、野党は、2月の休会明けに大統領の拒否権を覆すと息巻いている。ボルソナーロ派のエスペリジャン・アミン上院議員(PP-SC)は、三権襲撃犯に幅広く恩赦を認めるとの法案を提出した。大統領府で行われた式典には、閣僚、与党の政治家、市民団体の代表等が詰めかけた。式典は、「恩赦無し」の掛け声とともに始まり、ルーラ大統領は、「クーデター未遂は、民主主義が揺ぎ無いものではなく、建設途上のものであることを我々に思い起こさせた。反民主的行為を企てた者は敗北し、伯と伯国民が勝利した」と述べ、拍手喝采を浴びた。また、ルーラは、「クーデター未遂の裁判は非の打ちどころがなかった。連邦最高裁判所(STF)は外圧に屈せず、あくまでも法律に則って裁判をやり通した」と称賛した。尚、ルーラは、米国のベネズエラ攻撃については言及しなかったが、三権広場に集結したデモ隊の一部は、「トランプはラ米から出ていけ」等と書かれた横断幕を掲げた。連邦議会だけは、三権襲撃で被害を被ったにも拘わらず、式典等は行わなかった。モッタ下院議長とアルコルンブレ上院議長が大統領府と連邦最高裁判所の式典に欠席した他、中道派勢力(セントラン)の議員も参加しなかった。三権広場のデモは、基本的に左派だけが参加し、盛り上がりに欠けた。(9日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)レヴァンドフスキ法務治安相は8日、三権襲撃3周年の式典の前に辞表を提出し、8日をもって辞任した。後任の法務治安相には、パシェコ前上院議長(PSD-MG)、サンタナ教育相(PT)等の名前が挙がっている。また、選挙対策として、政府が治安対策に力を入れていることをアピールするため、法務治安省を分割して、治安省を創設する可能性も取り沙汰されている。12日、次期法務治安相の最有力候補にペトロブラス社のウェリントン・セーザル・リマ・エ・シルヴァ主任弁護士の名前が浮上した。同弁護士を強く推しているのは、コスタ文官長(PT)である。また、同弁護士は、STFの判事とも良好な関係にあるとされている。(9日付コレイオ・ブラジリエンセ及び13日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(3)ルーラ大統領は9日、「納税者保護法(憲法補足法第225号)」を裁可した。これは、常習的に税金を滞納している企業に対する罰則を強化することを主眼としている。尚、ルーラは、国境地帯において新たに農地の取得を認めるとの法律に対して拒否権を行使した。(10日付コレイオ・ブラジリエンセ)

3.2026年選挙

(1)ルーラ大統領は、トランプ米大統領との関係改善、追加関税の一部解除、所得税の基礎控除額引き上げ等を追い風として、本年の選挙に臨もうとしているが、懸念材料としては、ベネズエラ情勢と、息子のルリーニャの不正疑惑(国家社会保障院(INSS)の不正の中心人物から30万レアルを受け取っていた)が挙げられる。野党がこれらについて攻勢を強めるのは必至である。(10日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)政府与党は、野党が上院の過半数を掌握し、連邦最高裁判所(STF)判事の弾劾に着手することを阻止するため、アルキミン副大統領(PSB、サンパウロ州)、アダッジ財務相(PT、サンパウロ州)、テベチ企画予算相(PSB、サンパウロ州)、コスタ文官長(PT、バイア州)、ホフマン大統領府政治調整庁長官(PT、パラナ州)、パウロ・ピメンタ前政府広報庁長官(PT、リオグランデ・ド・スル州)等を上院議員に立候補させようとしている。マリナ・シルヴァ環境相(Rede)とフフカ・スポーツ相(PP)も上院議員選出馬を目指している。シルヴェイラ鉱山エネルギー相(PSD)は、ミナスジェライス州知事または連邦下院議員に立候補する予定であるが、所属政党のPSDがミナスジェライス州知事にはボルソナーロ派のシモンエス・ミナスジェライス副州知事を擁立することにしているため、場合によっては、PSB又はMDBから出馬する可能性がある。選挙に出馬するため、4月までに辞任する閣僚の数は20名以上に達すると見られている。(11日及び12日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)失業率(過去最低の5.2%)、経済成長率(2%以上)、労働者層の平均所得(過去最高の月3457レアル)、並びにインフレ(IPCA。4.25%と、目標の範囲内に収まる)に関する経済指数が予想以上に良かったことから、政府は、これらの指数をルーラ政権の成果としてアピールすることができる。財政赤字の膨張で、「新たな財政的枠組み(arcabouço fiscal)」が2026年度で終了することも懸念材料となっている。(11日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)右派は、米国がベネズエラを攻撃し、マドゥロ大統領を拘束した後、米国が伯に介入することを求めている。PTはこれを逆手にとって、「右派は、伯を(米国に)売り渡そうとしている」と主張することで、無党派層の愛国心に訴えることにしている。尚、PTは、レイモント下院議員(PT-RJ。下院人権委員会委員長)等、マドゥロ政権は独裁であると批判する反ベネズエラ派とマドゥロ政権を擁護する親ベネズエラ派に分裂している。(11日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は先月、インフルエンサーで実業家のパブロ・マルサル(PRTB)と会談し、大統領選に向けてマルサルの協力を取り付けることに成功した。フラヴィオ陣営は、情報操作と人心掌握術の達人とされるマルサルがSNSを駆使してフラヴィオの支持者を増やすことを期待している。マルサルは、2024年のサンパウロ市長選ではフェイクニュースと誹謗中傷を拡散して「マルサル旋風」を巻き起こしたが、終盤戦で失速し、3位に終わった。マルサルは、SNSの不正使用と不正献金により、被選挙権を停止されており、本年の選挙には出られない。フラヴィオは、7日にインタビューに応じた際、「ボルサ・ファミリアをもらって喜んでいる民衆のメンタリティーを変えなければならない。民衆の頭の中にある豊かさの鍵を回さなければならない」等、マルサルが多用するフレーズを繰り返した。尚、マルサルは、フラヴィオに関し、「彼(フラヴィオ)のハートは、調教可能である」とコメントしている。(12日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(6)ボルソナーロ派の政治家は、「フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)はフラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL—RJ)の大統領選出馬を積極的に支持していない」と不満を漏らしている。フレイタスは、記者からの質問には「(大統領選では)フラヴィオを支持する」と答えているものの、SNSにはフラヴィオ支持の書き込みはしておらず、また、昨年末にサンパウロ市内で開かれたフラヴィオと企業家の昼食会等のイベントにも参加していない。ボルソナーロ派は、「フレイタスがフラヴィオに対する支持を明確にし、積極的に協力しなければ、ボルソナーロ派から『裏切り者』に認定され、サンパウロ州知事の再選も覚束なくなる」と警告している。(13日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(7)ミレイ・アルゼンチン大統領は、外国特派員との記者会見において、「伯において、21世紀の社会主義による解決が図られるよりは、ボルソナーロ一家の誰かが大統領になる方を選ぶ。社会主義を標榜する連中と対話をするつもりはない。伯には、ボルソナーロという友人がいる」と述べた。フラヴィオとエドゥアルド・ボルソナーロは早速、ミレイの発言をSNS上で拡散した。(13日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(8)Meio/Ideia社が今月8日から12日にかけて実施した世論調査(電話)によると、大統領選でルーラに唯一、対抗できるのはフレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)であるとの結果が出た。ルーラとフレイタスの間で決選投票が争われる場合、ルーラの44.4%に対して、フレイタスは42.1%で、±2ポイントの誤差を考慮すれば、両者はほぼ拮抗している。一方、ルーラとフラヴィオ・ボルソナーロ(PL)の間で決選投票が行われる場合は、ルーラ46.2%、フラヴィオ36%で、10ポイント以上の差が開いている。他の組み合わせは以下の通り:ルーラ46%対ミシェーレ・ボルソナーロ(PL)39%、ルーラ46%対ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)37%、ルーラ46.3%対カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)36.5%、ルーラ46.3%対ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)36.1%。なお、政府支持率は47%(不支持率50%)。ルーラ政権に対する評価は、「非常に良い」15%、「良い」20%、「普通」20.5%、「悪い」18.6%、「非常に悪い」22.8%。(13日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

4.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

(1)ボルソナーロ前大統領の弁護団は8日、モラエス・STF判事に対し、「読書による刑期短縮プログラム」の適用を求めた。同プログラムは、受刑者が本を一冊読み、レポートを提出する毎に刑期が4日間短縮される(1年に読める本は最大12冊で、最大48日間短縮可能)。ボルソナーロが希望している本は、ジョージ・オーウェルの「1984」と「動物農場」、伯の作家マシャード・デ・アッシスやディジャルマ・リベイロ等の作品である。また、弁護団は、スマートテレビの設置と福音派の牧師との面会も求めている。(9日及び10日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)連邦議会が減刑法に対するルーラ大統領の拒否権行使について採決を行うのは、2月のカーニバル休暇以降になると見られている。拒否権を覆すためには、上下両院の絶対過半数(下院257名、上院41名)の賛成が必要。与党関係者は、拒否権が覆された場合、連邦最高裁判所(STF)に提訴すると述べている。尚、Genial/Quaest社が昨年12月に実施した世論調査によれば、国民の47%が減刑に反対しているのに対し、賛成は24%、19%が減刑法を上回る減刑または恩赦を支持している。(10日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ボルソナーロ前大統領の弁護団は12日、ボルソナーロに対する有罪判決を不服として、連邦最高裁判所(STF)に控訴を提起した。本件に関する判決は既に確定しているが、弁護団は、「モラエス判事は、不服申し立て(embargos infringentes)の期限終了前に判決の確定を宣言しているが、これは違法である」と主張している。この控訴が認められる可能性はないと見られているが、弁護団は、主張が認められない場合、本件をSTF大法廷にかけることを求めている。(13日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

5.外交

9日、EU理事会がEU・メルコスール・FTAの署名を承認した。署名式は、今月17日にパラグアイ(メルコスール議長国)で行われる予定。ルーラ大統領は、「多国間主義にとって歴史的な日となった。25年間に亘る交渉の末、世界最大級のFTAが実現することになった。これにより、人口7.18億人、GDP22.4兆米ドルの巨大市場が誕生する」と述べ、EU理事会の決定を歓迎した。(10日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.世論調査

(1)Genial/Quaest社が今月8日から11日にかけて2004人を対象に実施した世論調査によると、現時点において大統領選が実施された場合、各候補の得票率は以下のようになる:

・第1回投票:

・シナリオ1:ルーラ大統領(PT)36%、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)23%、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)9%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)7%、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)3%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)2%、レナン・サントス(Missões)1%、態度未定7%、白票/無効票/誰にも投票しない11%。

・シナリオ2:ルーラ大統領(PT)35%、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)26%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)9%、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)4%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)3%、レベロ元国防相(DC)2%、レナン・サントス(Missões)1%、態度未定8%、白票/無効票/誰にも投票しない12%。

・シナリオ3:ルーラ(PT)39%、フレイタス(Republicanos)27%、カイアド(ブラジル・ユニオン)5%、レナン・サントス(Missões)4%、レベロ(DC)3%、態度未定8%、白票/無効票/誰にも投票しない14%。。

・シナリオ4:ルーラ(PT)40%、フラヴィオ・ボルソナーロ(PL)23%、フレイタス(Republicanos)14%、レナン・サントス(Missões)2%、レベロ(DC)2%、態度未定7%、白票/無効票/誰にも投票しない12%。

・決選投票:何れの場合もルーラが勝つが、先月に比べて、ルーラとフレイタス又はフラヴィオとの差が縮まっている。①ルーラ44%(前月比1ポイント減)、フレイタス39%(3ポイント増。両者の差は、9ポイントから5ポイントに縮まった)、態度未定4%、白票/無効票/誰にも投票しない13%。②ルーラ45%(前月比1ポイント減)、フラヴィオ・ボルソナーロ38%(2ポイント増。両者の差は、10ポイントから7ポイントに縮まった)、態度未定2%、白票/無効票/誰にも投票しない15%。

・拒否率:フラヴィオ・ボルソナーロ55%、ルーラ54%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事41%、カイアド・ゴイアス州知事36%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)36%、レナン・サントス21%(Missões)。

・回答者の46%が「ボルソナーロ一家が政権に返り咲くことを恐れている」と答えたのに対し、「ルーラ政権が続くことを恐れている」と答えたのは40%。「その両方とも恐れている」は7%、回答拒否は4%であった。

(15日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びヴァロール・エコノミコ電子版)

(2)Genial/Quaestの世論調査によると、政府支持率及びルーラ政権に対する評価は以下の通り:

・政府支持率:支持47%(前月比1ポイント減)、不支持49%(1ポイント増)

・ルーラ政権に対する評価:「非常に良い/良い」32%(2ポイント減)、「普通」27%(2ポイント増)、「悪い/非常に悪い」39%(1ポイント増)。(15日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

2.ルーラ政権

(1)ルーラ大統領は13日、8日に辞任したレヴァンドフスキ前法務治安相の後任にペトロブラス社のウェリントン・リマ・エ・シルヴァ法務部長(主任弁護士)を任命すると発表した。リマ・エ・シルヴァは、バイア州の出身で、2010年から2014年にかけて、バイア州検察庁長官を務めた後、2016年に当時のルセーフ大統領から法務治安相に任命されたが、「検察官が国務大臣を務めるのは違憲である」との最高裁の決定により、大臣を務めたのは僅か16日間だけであった。同じくバイア州出身のコスタ文官長(PT)、パルメイラ政府広報庁長官及びジャッケス・ヴァギネル政府上院院内総務(PT)がリマ・エ・シルヴァの起用を後押しした。新大臣の課題は、治安対策に関する憲法改正案の成立等、治安対策の強化である。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は3日、「物品サービス税運用委員会(CG-IBS)」の設置に関する憲法補足法を裁可した。これにより、税制改革に関する立法手続きが完了した。地方税の物品サービス税(IBS)と連邦税の物品サービス分担金(CBS)は既に今月1日から試験的に導入されている。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ルーラ大統領は14日、2026年度連邦予算法(LOA)を裁可した。本年度予算は、6.54兆レアルで、基礎的財政収支は343億レアル(GDPの0.25%)の黒字を目標としている。公共投資は、830億レアル。政府は、教育(276億レアルの増額)と保健(172億レアルの増額)の予算が増額されたことを強調している。尚、ルーラは、議員割当金(emenda parlamentar)の内、3.93億レアルに対して拒否権を行使したが、それでも議員割当金の総額は過去最高の610億レアルとなった。但し、政府は、この610億レアルの内、77億レアルを福祉政策に回し、33億レアルを凍結することにしているので、実際に支払われる「議員割当金」は、昨年度とほぼ同じ500億レアルになる見込み。連邦議会がこれに反発するのは必至と見られている。(15日付コレイオ・ブラジリエンセ)

3.2026年選挙

(1)コスタ・フィリョ港湾空港相(Republicanos)は13日、地元ペルナンブコ州から上院議員に立候補するため、4月に大臣を辞任すると発表した。(14日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は13日、右派の大統領候補で唯一、ルーラに対抗できるのはフレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)であるとの世論調査結果(Meio/Ideia社)が発表された後、「フレイタス知事は、ボルソナーロ前大統領の味方であり、然るべきタイミングで、自分(フラヴィオ)の大統領選出馬を支持するであろう。同知事の(ボルソナーロ派に対する)忠誠心を信じている」と述べた。また、フラヴィオは、年末年始に渡米し、弟エドゥアルドの手引きにより、大統領候補として、米国政府の関係者と面会したことを明らかにした。フラヴィオは、今月25日からイスラエル、UAE及びフランスを歴訪し、これらの国における極右の指導者と意見交換を行うことにしている。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ミシェーレ・ボルソナーロ前大統領夫人は13日、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)の動画(ルーラ政権の経済政策を批判)をSNSに投稿し、同知事の意見に全面的に賛成するとコメントした。同夫人は、陰ながらフレイタスの大統領選出馬を応援しており、その動画を拡散することで、ボルソナーロ派の反応を見極めようとしているのではないかと見られている。ミシェーレは、昨年末、セアラ州知事選に関してボルソナーロ兄弟と衝突する等、フラヴィオ・ボルソナーロ等との仲は良いとは言えず、フラヴィオの大統領選出馬についても快く思っていないと見られている。(15日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)13日、クリスチアーネ・フレイタス・サンパウロ州知事夫人が「伯は新しいCEOを必要としている。それは私の夫である」とSNSに投稿したことが注目を集めている。その前に、フレイタス知事は、スピーチの中で「伯には、小さな政府と民営化を断行し、投資を呼び寄せるCEOが必要である。伯は、PT政権が更に4年間続くことには耐えられない」と述べている動画を投稿した。(15日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

4.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

モラエス・STF判事は13日、ボルソナーロ前大統領の弁護団が提起した控訴(ボルソナーロの有罪判決を無効とするか、でなければ、本件をSTF大法廷にかけることを求める)に関し、ボルソナーロの有罪判決は既に確定しているとして、控訴を棄却した。(14日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

5.マスター銀行の破綻

(1)アダッジ財務相は13日、「(経営破綻し、昨年11月に中央銀行から裁判外清算を宣告された)マスター銀行を巡る不正疑惑は、伯史上最大級の金融犯罪である可能性があり、慎重に対処する必要がある。政府は、中央銀行と密に連絡を取りながら、事態の進展を注視している。財務省と中銀は、(PCC等の)犯罪組織がマスター銀行と投資ファンド管理会社のReag Investimentosを通じて数十億レアル単位の資金洗浄を行っていた件に関して合同で調査を行っている」と述べた。また、アダッジは、「野党は、出所不明の資金を使ってインフルエンサーに多額の報酬を払い、マスター銀行の件に関して中銀を攻撃したり、(金融取引税等の)税金やPix(オンライン決済システム)についてフェイクニュースを拡散している」と批判した。先週、複数の広告代理店が報酬200万レアルでインフルエンサーと契約し、マスター銀行の件に関して中銀を批判させていたとの告発が寄せられ、話題となった。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)連邦警察は14日、マスター銀行の不正に関する強制捜査(コンプライアンス・ゼロ作戦)の第2フェーズを開始した。トフォリ連邦最高裁判所(STF)判事の命令により、サンパウロ、リオデジャネイロ等において42の家宅捜索令状が執行され、事件の関係者から約57億レアル相当の資産が押収された。また、実業家のファビアノ・カンポス・ゼッテル(Moriah Asset社のCEO。ヴォルカロ頭取の義弟)がドバイに高飛びしようとしたところを拘束された。ゼッテルは、福音派の牧師でもあり、2022年の選挙では、ボルソナーロ前大統領に300万レアル、現サンパウロ州知事のタルシージオ・フレイタスには200万レアルを献金したことで知られる。また、捜査当局は、実業家で投資家のネルソン・タヌーレとジョアン・カルロス・ファルボ・マンスール(Realeg Investimentos(最近、Arandu Investimentosに改称)CEO)の関与についても捜査を進めている。(15日付コレイオ・ブラジリエンセ)

6.司法

連邦警察と連邦総監督庁(CGU)は13日、「議員割当金(emenda parlamentar)」の横領に関する強制捜査「Overclean作戦」の第9フェーズを実施した。これにより、フェリクッス・メンドンサ下院議員(PDT-BA)とダル・バヘット下院議員(ブラジル・ユニオン—BA)が家宅捜索を受けた。また、フェリックス・メンドンサ議員の関係者(複数)の銀行口座(総額約2400万レアル)が凍結された。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

7.米伯関係

(1)トランプ米大統領は13日、イランと貿易を行っている国からの輸入品に対して25%の関税を課すと発表した。伯は、イランに対して主に農産物を輸出しており、昨年の同国に対する農産物の輸出額は29億米ドルであった。イランは、伯の輸出相手国ランキングでは、昨年、スイス、南ア、ロシアを抜いて31位に浮上している。伯政府は、事態を注視しているが、大統領令が正式に発表されるまで、コメントは控えるとしている。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)米国政府は14日、伯を含む75ヶ国の移民に対するビザ発給を今月21日から凍結すると発表した。但し、旅行者と留学生に対するビザは凍結の対象外となる。(15日付コレイオ・ブラジリエンセ)

8.外交

(1)ルーラ大統領は13日、ポルトガルのモンテネグロ首相と電話会談を行い、EU・メルコスール・FTAの署名について意見交換を行った。両首脳は、同協定の締結が多国間主義と自由貿易にとって重要なジェスチャーとなるとの点で一致した。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は、今月16日、リオデジャネイロにおいて、ライエン欧州委員会委員長及びコスタ欧州理事会議長と会談する予定。両者は、17日のEU・メルコスール・FTA署名式に出席するため、パラグアイに向かう途中で伯に立ち寄ることにしている。会談では、同FTAの他、ベネズエラ情勢等について意見交換が行われる。(15日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ルーラ大統領は14日、プーチン露大統領と電話会談を行い、二国間関係(2月の伯露ハイレベル委員会の会合等)やベネズエラ情勢等について意見交換を行い、(ベネズエラの)国家主権を尊重し、国連やBRICS等の国際フォーラムにおいて外交活動の強化を図ることで一致した。(15日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)ロドリゲス・ベネズエラ暫定大統領は14日、伯の支援(医療物資の供与)に対して謝意を表明した。尚、伯の実業家であるジョエスレイ・バチスタ氏(食品大手J&Fグループ・CEO)が今月9日にロドリゲス暫定大統領と面会していたことが判明。バチスタは、その前後に米国政府関係者と面会している。(15日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)イラン政府がデモ隊を弾圧している件に関し、伯の左派は沈黙を守っている。ルーラ政権はこれまでイランとは良好な関係を維持してきた。リンジベルギ・ファリアス・PT下院院内総務、エジーニョ・シルヴァ・PT党首、ボウロス大統領府官房長官(PSol)、イヴァン・ヴァレンテ下院議員(PSol)等、左派の政治家は、取材に対してコメントを避けた。伯共産党(PCdoB)は、「イラン情勢については注視している。イラン国民が米国の経済制裁により苦しんでいるというのに、米国がイラン国民を救うとのトランプ米大統領の主張は詭弁である」と米国を批判した。但し、「国民の基本的権利を否定するような政権が反帝国主義を唱えても(弾圧を)正当化することはできない」と批判したエリカ・ヒルトン下院議員(PSol-SP)のように、左派の政治家の中にもイラン政府を批判している者はいる。(15日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

 

1.世論調査

(1)Genial/Quaest社が今月8日から11日にかけて2004人を対象に実施した世論調査によると、現時点において大統領選が実施された場合、各候補の得票率は以下のようになる:

・第1回投票:何れの場合もルーラが2位に10ポイント前後の差をつけてリードしている。フラヴィオ・ボルソナーロ(PL)とフレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)が同時に出馬する場合は、フラヴィオが2位となり、ルーラと決選投票を争う。

・シナリオ1:ルーラ大統領(PT)36%、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)23%、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)9%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)7%、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)3%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)2%、レナン・サントス(Missões)1%、態度未定7%、白票/無効票/誰にも投票しない11%。

・シナリオ2:ルーラ大統領(PT)35%、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)26%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)9%、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)4%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)3%、レベロ元国防相(DC)2%、レナン・サントス(Missões)1%、態度未定8%、白票/無効票/誰にも投票しない12%。

・シナリオ3:ルーラ(PT)39%、フレイタス(Republicanos)27%、カイアド(ブラジル・ユニオン)5%、レナン・サントス(Missões)4%、レベロ(DC)3%、態度未定8%、白票/無効票/誰にも投票しない14%。。

・シナリオ4:ルーラ(PT)40%、フラヴィオ・ボルソナーロ(PL)23%、フレイタス(Republicanos)14%、レナン・サントス(Missões)2%、レベロ(DC)2%、態度未定7%、白票/無効票/誰にも投票しない12%。

・決選投票:何れの場合もルーラが勝つが、先月に比べて、ルーラとフレイタス又はフラヴィオとの差が縮まっている。①ルーラ44%(前月比1ポイント減)、フレイタス39%(3ポイント増。両者の差は、9ポイントから5ポイントに縮まった)、態度未定4%、白票/無効票/誰にも投票しない13%。②ルーラ45%(前月比1ポイント減)、フラヴィオ・ボルソナーロ38%(2ポイント増。両者の差は、10ポイントから7ポイントに縮まった)、態度未定2%、白票/無効票/誰にも投票しない15%。

・拒否率:フラヴィオ・ボルソナーロ55%、ルーラ54%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事41%、カイアド・ゴイアス州知事36%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)36%、レナン・サントス21%(Missões)。

・回答者の46%が「ボルソナーロ一家が政権に返り咲くことを恐れている」と答えたのに対し、「ルーラ政権が続くことを恐れている」と答えたのは40%。「その両方とも恐れている」は7%、回答拒否は4%であった。

(15日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びヴァロール・エコノミコ電子版)

(2)Genial/Quaestの世論調査によると、政府支持率及びルーラ政権に対する評価は以下の通り:

・政府支持率:支持47%(前月比1ポイント減)、不支持49%(1ポイント増)

・ルーラ政権に対する評価:「非常に良い/良い」32%(2ポイント減)、「普通」27%(2ポイント増)、「悪い/非常に悪い」39%(1ポイント増)。(15日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(3)Genial/Quaest社の世論調査では、58%が「米国がベネズエラに対してしたように、伯も攻撃することを恐れている」と回答している。「伯は、ワシントンとカラカスの争いには中立の姿勢を貫くべき」と答えたのは66%に達した。また、「ベネズエラ情勢に関するルーラ大統領の対応(対米批判)は間違っている」は51%で、「正しい」の37%を上回った。(16日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

2.ルーラ政権

(1)15日、ウェリントン・セーザル・リマ・エ・シルヴァ法務治安相が就任した。ルーラ大統領は、犯罪組織対策の強化を最優先するよう、指示を出した。リマ・エ・シルヴァ法務治安相は、ロドリゲス連邦警察長官とオリヴェイラ連邦道路警察長官の留任を発表すると共に、治安対策に関する憲法改正案の成立に向けて連邦議会との対話を強化すると述べた。(16日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は、週40時間労働+週休二日制の義務化(現在は週44時間労働+週休1日制)を選挙の目玉とすることにしており、モッタ下院議長(Republicanos-PB)との関係を修復して、関連法案の成立を図ろうとしている。モッタ議長も明年の下院議長選で再選を果たすため、ルーラとの接近には前向きである。(16日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

3.2026年選挙

(1)フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は15日、クリスチアーネ同知事夫人が「伯は新しいCEOを必要としている。それは私の夫である」とSNSに投稿した件に関し、記者団に対して「君達は信じようとしないが、そのプロジェクト(フレイタスの大統領選出馬)は存在したことがない。自分は、あくまでもサンパウロ州知事への再選を狙っている。フラヴィオ(・ボルソナーロ)は、ビッグネームであり、(大統領選では)彼を支持する」と述べた。尚、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は、「(大統領選を巡ってボルソナーロ・ファミリーが)分裂しているとの事実はない」と強調した。フラヴィオは、ミシェーレ前大統領夫人との仲違いは否定したが、その一方で、「誰に対しても支持を強制するようなことはしない」と述べ、ミシェーレがフラヴィオを支持していないことを仄めかした。(16日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)は、年初からカサビ党首等、PSD幹部と相次いで会談し、次期大統領選出馬の意図があることを伝えた。カサビは、以前より、「フレイタス・サンパウロ州知事が大統領に立候補せず、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)がボルソナーロ派の候補となれば、PSDは、独自候補を擁立する」と述べている。PSDの大統領候補には、ラチーニョ・Jrの他、レイテ・リオグランデ・ド・スル州知事(PSD)の名前が挙がっている。(16日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)選挙高等裁判所(TSE)は、2月の休暇明けからデジタル・プラットホームや関連団体等を招いて公聴会を開き、3月5日までに本年度の選挙におけるAIの使用に関して新しいルールを作らなければならないが、時間が限られているので、非常に厳しいと見られている。2024年地方選挙の際には、AIの作成したディープフェイクは禁止するとのルールが作られたが、その後のAIの進化に伴い、新たなルール作りが必要とされている。実際、SNS上は、既にAIによって作成された、実物と見分けのつかない動画や画像で溢れている。(18日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は17日、ミシェーレ前大統領夫人とフレイタス・サンパウロ州知事を称賛した上で、「先ず、最初に右派が一つにまとまらなければ、国をまとめることなど到底無理である。我々の共通の敵はルーラであり、今は細かいことは脇において、団結すべきである。ミシェーレと右派の州知事は、然るべき時に自分(フラヴィオ)の応援に回るであろう」と述べる動画をSNSに投稿した。(18日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は、今月19日より弟エドゥアルドと共に、イスラエルを訪問し、26日と27日には、ネタニヤフ首相と共に、反ユダヤ主義撲滅に関する会議に出席し、講演を行う予定。その後、フラヴィオは、バーレーンとUAEを歴訪し、伯には来月15日に帰国する予定。(19日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(6)先週末、ボルソナーロ派の間で、ボルソナーロ前大統領が長男フラヴィオに大統領の肩章をかけ、フラヴィオがボルソナーロ派の正統な大統領候補であることを強調する、AIによって作成された動画(背景には、キリストが両腕を広げて両者を祝福する等、宗教色の強い内容となっている)が拡散された。(20日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(7)ユニオン・ブラジルは昨年、連立与党離脱を宣言したが、大統領選では野党のフラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)を支持しなくてもいいように、勝ち目はないと分かった上で、カイアド・ゴイアス州知事(ユニオン・ブラジル)を擁立することを検討している。その場合、決選投票では、党としては誰も支持せず、投票先は各党員の判断に委ねることになる。(20日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(8)パエス・リオデジャネイロ市長(PSD)は19日、リオデジャネイロ州知事選に出馬するため、4月までに辞任すると発表した。その場合、31歳のカヴァリエーレ副市長が市長に昇格する。尚、パエスは、大統領選ではルーラ大統領(PT)を支持すると述べている。(20日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(9)サンタナ教育相(PT)は19日、3月末に大臣を辞めると述べたが、選挙には出馬せず、ルーラ大統領とフレイタス・セアラ州知事(PT)の再選のために、両者の選挙対策に協力すると述べた。(19日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

4.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

(1)モラエス・STF判事は15日、ボルソナーロ前大統領の身柄を連邦警察の独房からパプダ刑務所に隣接した軍警察第19大隊の収容施設(通称Papudinha)に移送した。同判事は、ボルソナーロ派(特に長男フラヴィオと次男カルロス)が「連邦警察の独房は狭く、エアコンの音がうるさい等、住環境は劣悪であり、そこに収容されるだけで拷問を受けているのに等しい」と批判を繰り返していたことを挙げ、「Papudinhaの独房は格段に広く(連邦警察の独房の12㎡に比べ、Papudinhaの独房は、54.76㎡)、しかも10㎡の庭付きなので、自由に日光浴もできる。バストイレとキッチンが完備されており、寝室以外にも部屋が3つあるため、運動やリハビリのための器具を持ち込める。また、一度に大勢の面会者を招き入れることもできる。具合が悪くなれば、刑務所の病院で24時間体制で診てもらえる。一般の受刑者と比べれば、はるかに恵まれている」と主張した。但し、ボルソナーロが求めていたスマートテレビの設置は却下され、普通のテレビが設置されることになった。尚、ボルソナーロ派は、「ボルソナーロが刑務所に収監された」と騒いでおり、モラエス判事を激しく非難している。フラヴィオとカルロスは、モラエスを非難し、父ボルソナーロには自宅軟禁が認められるべきと強調した。パプダ刑務所の近くでは、ボルソナーロの支持者10名が15日夜からボルソナーロのために福音派流の祈りを捧げる等の抗議活動を行っている。一方、与党の政治家は、モラエスの決定を称賛している。リンジベルギ・ファリアス・PT下院院内総務は、「Papudinhaの方が施設が格段に広く、施設も充実している。刑務所とはいえ、弁護側の要求はすべて満たされたと言える」と述べた。エリカ・ヒルトン下院議員(PSol-SP)は、「ボルソナーロは、その決め台詞である『悪党は牢屋の中で朽ち果てるべきである』を自ら体現すべきである」と述べた。(16日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ボルソナーロ前大統領の弁護団は、人身保護令請求により、ボルソナーロに対して自宅軟禁を認めるよう、連邦最高裁判所(STF)に求めたが、メンデス・STF判事は17日、これを却下した。尚、モラエス・STF判事がボルソナーロをPapudinhaに収監することを決定する前にミシェーレ夫人が同判事と面会して、自宅軟禁を求めていたことが判明。(18日付コレイオ・ブラジリエンセ及び17日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)18日、ボルソナーロ派のイザルシ・ルーカス上院議員(PL-DF)の呼びかけにより、ブラジリア市内において、ボルソナーロの支持者約1千人によるデモ行進が行われた。デモ隊は、「ボルソナーロに自由を」、「モラエスは出ていけ」等と叫びながら、ボルソナーロの釈放と恩赦を求めた。(19日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)ボルソナーロの弁護団は、モラエス・STF判事に対し、フレイタス・サンパウロ州知事がPapudinha でボルソナーロに面会するための許可を求めた。尚、モラエス判事は、連邦警察の医師団がボルソナーロの健康診断を行う際、ボルソナーロの侍医が同席することを許可した。同判事は、ボルソナーロのためにPapudinhaの医療体制を整備するため、健康診断を許可したとされるが、診断の結果が思わしくなければ、医療刑務所への送致、または自宅軟禁の可能性もあると見られている。(20日付コレイオ・ブラジリエンセ)

5.マスター銀行の破綻

(1)中央銀行は15日、投資ファンド管理会社のRealeg Investimentos(マスター銀行の不正疑惑が発覚後、CBSF証券に改称)の裁判外清算を宣告した(但し、同社の管理する投資ファンドは清算の対象外)。Realegは、マスター銀行の不正だけでなく、PCC等、犯罪組織の資金洗浄にも関与していたとして、連邦警察の強制捜査「Carbono Oculto作戦」の対象にもなっている。Realegは、2023年から2024年にかけて、マスター銀行の不良債権化した証券(115億レアル相当)を引き受け、マスター銀行の負債隠しに協力していたことが判明している。尚、連邦議会では、マスター銀行の不正疑惑に関する議会合同調査委員会(CPMI)の設置に向けて、議員の署名集めが始められている。(16日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ダニエル・ヴォルカロ・マスター銀行頭取の義弟(ファビアノ・ゼッテル)が経営する投資ファンドがトフォリ・STF判事の兄弟からパラナ州のリゾート施設(タヤヤー・アクア・リゾート)の権利の一部を2千万レアルで購入していたことがオ・エスタード・デ・サンパウロ紙の取材により判明した。取引が行われた当時、売却された権利の相場は660万レアル相当であった。トフォリ判事とその兄弟、並びにタヤヤー・アクア・リゾートは、取材に対しコメントを拒否。トフォリ判事は、タヤヤーの株主ではないが、同リゾートは頻繁に訪れている。トフォリ判事は、連邦最高裁判所(STF)において、マスター銀行の不正疑惑に関する捜査を担当しているが、昨年末、マスター銀行の弁護士と共に、リべルタドーレス杯の決勝戦を観戦するためにリマを訪れる等、同銀行との不適切な関係が指摘されている。尚、トフォリ判事は、周囲に対し、「自分がマスター銀行に関する件の報告官を辞める理由はない。自分が捜査から外されたら、これまでの捜査や手続きが無効になる」と述べている。(16日付オ・エスタード・デ・サンパウロ及び20日月フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)連邦警察は、ヴォルカロ頭取やコスタ前ブラジリア銀行(BRB)総裁等の事情聴取を今月27日から来月3日にかけて行う予定であったが、トフォリ判事は16日、事情聴取は2日間で行うよう、命じた。また、同判事は、連邦警察の要請に応じて、マスター銀行の不正疑惑に関する捜査を60日間延長した。尚、トランスペアレンシー・インターナショナル・ブラジルは、連邦検察庁に対し、トフォリ判事を本件に関する捜査から外すよう、求めている。連邦議会においても、ダマレス・アルヴェス上院議員(Republicanos-DF)等がトフォリ判事の排除を主張している。(17日付オ・エスタード・デ・サンパウロ)

(4)レナン・カリェイロス上院議員(MDB-AL。上院経済委員会委員長)は、マスター銀行の捜査をフォローするための作業部会を上院経済委員会内に設置することを決定した。尚、17日、マスター銀行の預金者に対するペイオフ(預金保護)が開始されたが、14万人が「債権保障ファンド(FGC)」のアプリに殺到したため、システムがダウンした。ペイオフ制度により、預金者一人当たりに対して最大25万レアルが保障されている。マスター銀行の預金者は、約80万人で、ペイオフには413億レアルが必要と見積もられている。FGCの資金総額は1250億レアルであり、マスター銀行のペイオフには十分とされている。19日夜、ペイオフの手続を終えた預金者の数が60万人に達した。(18日及び20日付コレイオ・ブラジリエンセ)

6.連邦議会

 ダマーレス・アルヴェス上院議員(Republicanos-DF。福音派)は、国家社会保障院(INSS)の不正疑惑(年金受給者の同意なく、年金から組合費や会費等を徴収していた件)に関与したとされる福音派の教会と牧師のリストを公開し、「我々、議会調査委員会は、福音派の不正関与について調査を進めているが、教会関係者からは、『不正が明るみに出れば、信者を悲しませることになるので、黙っていて欲しい』と圧力をかけられている」と発言した。これに対し、「キリストにおける勝利の神の集会教会」を主宰するシラス・マラファイア牧師は、「アルヴェスは、軽率なおしゃべりである。証拠を見せられないなら、黙っているべきであり、証拠があるなら、教会のためにも公開すべきである。全く恥ずべきことであり、馬鹿げている」と批判した。尚、両名とも熱烈なボルソナーロ支持者である。(16日付コレイオ・ブラジリエンセ)

7.司法

(1)ディーノ・STF判事は15日、「議員割当金(emenda parlamentar)」の内、議員の親族、または議員秘書若しくはその親族が運営する団体(NGO等)に対する予算の執行を禁止した。同判事は、「このようなことは、公金の私物化であり、横領に等しい」と批判している。(16日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ディーノ判事は16日、公的医療システム監査局(Denasus)が医療部門に対する「議員割当金(emenda parlamentar)」に関する監査は2027年に終了させるとの作業日程表を提出した件に関し、監査は2026年末までに終わらせなければならないとして、連邦政府に対し、10日以内に新たな作業日程表を提出するよう、命じた。2025年度の医療部門に対する「議員割当金(emenda parlamentar)」の総額は263億レアルのとされている。(17日付コレイオ・ブラジリエンセ)

8.外交

(1)15日、アルキミン副大統領が「EU・メルコスール・FTAは、17日に署名が行われた後、本年上半期中に連邦議会の承認手続きを終え、下半期には発効するであろう」との見通しを発表した。16日、ルーラ大統領がリオデジャネイロにおいてライエン欧州議員会委員長と会談。ルーラは、会談後の記者会見において、「FTAの締結は、伯、メルコスール及びEUにとって良いものであり、それ以上に民主主義と多国間主義にとって良いものとなる。EUとメルコスールは、民主主義、法の支配、人権といった価値観を共有している」と述べた。17日、パラグアイにおいて協定の署名式が執り行われたが、ルーラは欠席し、代わりにヴィエイラ外相が署名した。他の加盟国は、首脳級が出席した。(16日~18日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)トランプ米大統領は、ガザ地区の和平を目的とする「平和評議会」のメンバーの一人にルーラ大統領を招いた。ルーラの他には、ミレイ・アルゼンチン大統領、ルビオ米国務長官、ブレア元英首相、ジャレッド・クシュナー氏(トランプの娘婿)、バンガ世界銀行総裁等が指名された。ルーラは19日、ヴィエイラ外相と本件について協議したが、更に検討を重ねる必要があるとして、現時点では、トランプの申し出には答えないことにした。ミレイ・アルゼンチン大統領は、喜んで参加すると答えたが。マクロン仏大統領は、不参加を示唆している。尚、「平和評議会」に参加する国は、「入会費」として、10億米ドルを払わなければならない。「入会費」は、ガザ地区の復興に使われるとされている。(18日及び19日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ルーラ大統領は、ニューヨークタイムズ紙の取材に対し、「(米国のベネズエラ攻撃は)国際法と、第二次大戦後に構築された多国間主義に基づく国際秩序の弱体化を招いている。大国の一方的な行動は、国連、特に安保理の権威を損ねている。力の行使が例外ではなく、当たり前のこととなれば、安定した世界は失われる」と述べ、再び米国を批判した。この記事は、18日付ニューヨークタイムズ紙に掲載された。(19日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.世論調査

(1)AtlasIntel社が今月15日から20日にかけて5418人を対象に実施した、大統領選等に関する世論調査の結果は以下の通り:

・第1回投票:

・シナリオ1(右派の候補がフラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)で、フレイタス・サンパウロ州知事が出馬しない場合):ルーラ大統領(PT)48.8%(前月比0.7ポイント増)、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)35%(5.7ポイント増)、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)4.3%、レナン・サントス(Missões)3.4%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)2.8%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)2.8%、レベロ元国防相(DC)1%、態度未定0.4%、白票/無効票/誰にも投票しない1.5%。

・シナリオ2(フラヴィオ・ボルソナーロとフレイタス・サンパウロ州知事が出馬する場合):ルーラ大統領(PT)48.4%、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL)28%、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)11%、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)2.9%、レナン・サントス(Missões)2.9%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)1.7%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)1.7%、レベロ元国防相(DC)1%、態度未定0.3%、白票/無効票/誰にも投票しない2.1%。

 ・シナリオ3(フレイタス知事が出馬し、フラヴィオ・ボルソナーロが出馬しない場合):ルーラ大統領(PT)48.5%、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)28.4%、カイアド・ゴイアス州知事(ブラジル・ユニオン)5%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)3.9%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)3.9%、レナン・サントス(Missões)3.2%、レベロ元国防相(DC)1.1%、態度未定1.1%、白票/無効票/誰にも投票しない5%。

・決選投票:①ルーラ(PT)49.2%(3.8ポイント減)対フラヴィオ・ボルソナーロ(PL)44.9%(3.9ポイント増)。両者の差は、12月の12ポイントから4.7ポイントに縮まった。②ルーラ(PT)49.1%対フレイタス(Republicanos)45.4%。(21日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(2)AtlasIntel社の世論調査によると、政府支持率及びルーラ政権に対する評価は以下の通り:

・政府支持率:支持48.7%、不支持50.7%

・ルーラ政権に対する評価:「非常に良い/良い」47.1%、「普通」4.4%、「悪い/非常に悪い」48.5%。(21日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

2.2026年選挙

(1)ルーラ大統領とアダッジ財務相は、本年のダボス会議には出席しないことにした。代わりにドウェッキ行政管理・公共サービス革新相が伯政府代表として出席する。専門家は、「10月に選挙を控え、内政を最優先させているのであろうが、市場軽視と受け取られかねない」と批判的に見ている。尚、アダッジ財務相は、「経済が選挙において重要な要因であることには変わりないが、有権者は、経済より治安や汚職対策に関心を抱いているため、経済が選挙の結果を左右することはないであろう」と述べている。(21日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ホフマン政治調整庁長官(PT)は、ルーラ大統領の求めにより、地元パラナ州の上院議員選挙に出馬する予定。コスタ文官長(PT)は上院議員又はバイア州知事、マリナ・シルヴァ環境相(Rede)は上院議員、テベチ企画予算相(MDB)は上院議員またはサンパウロ州知事、レナン・フィーリョ都市相(MDB)はアラゴアス州知事に立候補する予定。選挙に出馬するため、4月までに辞任する閣僚は20名前後に上る見込み。(21日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)セアラ州知事選に関する世論調査では、PSDBのシロ・ゴメス元セアラ州知事の支持率が44%で、再選を狙うPTのフレイタス・セアラ州知事(34%)に10ポイント差をつけてリードしている。政府与党は、フレイタス知事の支持率が今後数カ月の内に改善されなければ、同知事の代わりにサンタナ教育相(PT)を擁立することを検討している。(21日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)ロジェ―リオ・マリーニョ上院野党院内総務(PL-RN)は21日、「ボルソナーロ前大統領の求めにより、リオグランデ・ド・ノルテ州知事選出馬は断念し、フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)の選挙対策をコーディネートすることにした」と発表した。マリーニョは、2022年に上院議員(任期8年)に当選していることから、本年の選挙に出馬できなくても、議席を失うことはない。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)ルーラ大統領は、昨年の「アイム・ステイ・ヒア」に続いて、伯映画「シークレット・エージェント」がアカデミー賞候補にノミネートされる可能性が高いとされていることから、これを利用して、ルーラ政権が文化振興に力を入れているとアピールすることで、文化省を廃止し、文化関係の予算を大幅に削減したボルソナーロ政権との違いを際立たせようとしている。但し、専門家は、その選挙に対する影響は極めて限定的と見ている。尚、「アイム・ステイ・ヒア」と「シークレット・エージェント」は、どちらも軍事政権の圧政を描いた作品であり、国際的に評価されても、軍政を賛美するボルソナーロ派からは低評価を受けている。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

3.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

(1)20日、モラエス・STF判事がボルソナーロの求めに応じて、フレイタス・サンパウロ州知事に対し、今月22日にボルソナーロ前大統領と面会することを許可したが、同知事は、公務を理由に、面会は延期することにした。最後にボルソナーロとフレイタスが面会したのは昨年9月のことである。21日、フレイタス知事が面会を延期したのは、ボルソナーロから長男フラヴィオに対する支持表明を求められるのを避けるためであったとの見方が広がり、アラウージョ・サンパウロ副市長(PL)等のボルソナーロ派がフレイタス知事を批判した。(21日及び22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ボルソナーロ派のニコラス・フェヘイラ下院議員(PL-MG)は、ボルソナーロ前大統領の釈放と恩赦を要求するため、大勢の支持者と共に、ミナスジェライス州パラカトゥ市からブラジリアまでの240kmの国道を踏破しようとしている。21日、ボルソナーロの次男カルロスがデモ行進に加わった。一行は、今月25日にブラジリアに到着した後、JK記念館の近くで抗議集会を行うことにしている。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

4.マスター銀行の破綻

(1)連邦議会では、3名の議員がマスター銀行の不正疑惑に関して議会調査委員会(CPI)の設置を求めている。上院では、野党のエドゥアルド・ジラォン上院議員(Novo-CE)がCPIの設置に向けて議員の署名集めを行っており、既に設置に必要な41筆を上回る42筆が集めることに成功。また、ジラォンは、トフォリ・STF判事を本件に関する捜査の担当から外すことを求めている。下院では、与党のロドリゴ・ローレンベルギ下院議員(PSB-DF)がCPIの設置を求めている他、野党のカルロス・ジョルディ下院議員(PL-RJ)とマルコス・ポローニ下院議員(PL-RS)が議会合同調査委員会(CPMI)の設置を求めている。尚、国家社会保障院(INNS)の不正疑惑に関する議会合同調査委員会(CPMI)は、マスター銀行が年金受給者を対象とした貸付制度(empréstimo consignado)に関して不正を行っていたとの疑惑について調査しようとしている。(21日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)中央銀行は21日、マスター銀行グループ傘下のデジタル・バンクであるWill Bankの裁判外清算を宣告した。Will Bankもマスター銀行同様、債務超過に陥っている。これにより、同銀行は、営業停止に追い込まれ、同銀行の預金者(1200万人)は、ペイオフの対象となる。Will Bankのペイオフは約63億レアルと見積もられており、マスター銀行の470億レアルと合わせると、伯史上最大級のペイオフとなる。(22日付コレイオ・ブラジリエンセ)

5.外交

(1)ルーラ大統領は20日、「君達は、トランプ(米大統領)がツイッターを使って世界を統治しようとしているのに気付いたか?」とトランプ米大統領を批判した。その数時間後、トランプは、「ルーラが(ガザ地区の)平和評議会で重要な役割を果たすことを望んでいる。自分はルーラのことが好きである」と述べた。(21日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)伯政府は、トランプ米大統領の肝煎りで発足した「平和評議会」への参加を決める上で、各国の出方を窺っている。伯政府は、「平和評議会」の発足により、安保理が弱体化することを懸念しているが、参加を断った場合、米国から何らかの報復を受けることを恐れている。尚、「平和評議会」には60ヶ国近い国が招かれている。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)21日、欧州議会がEU・メルコスール・FTAを欧州裁判所に付託し、同協定に関して法的意見を求めることを決定した。これにより、EU側の承認手続が凍結され、発効が大幅に遅れる可能性が出てきた。これに対し、伯政府は、伯連邦議会の承認手続を迅速化することで、EU側に圧力をかけることにしている。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

 

1.2026年選挙

(1)フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は22日、ボルソナーロ前大統領との面会を延期したことに関してボルソナーロ派から批判されている件に関し、「今月29日にボルソナーロに会いに行く。自分はあくまでも(サンパウロ州知事としての)再選を目指す」とXに投稿した。尚、エドゥアルド・ボルソナーロは、「フレイタスは、父ボルソナーロの意向に逆らうことはできない。フレイタスには、フラヴィオ・ボルソナーロの大統領選出馬に対抗できるだけの力はない。フレイタスがフラヴィオを支持しなければ、ボルソナーロ派の支持を失う」と述べた。フレイタス知事は23日、「フラヴィオの大統領選出馬をこれまで以上に支援する。尚、フラヴィオを応援するよう、ボルソナーロ前大統領から圧力をかけられたことはない」と述べた。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ及び24日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ボルソナーロ派のダマーレス・アルヴェス上院議員(Republicanos—DF)は23日、「フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)の選挙運動に全面的に協力する。自分は、福音派と女性票の獲得に協力できるし、政策綱領の作成にも協力できる」と述べた。(24日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)キン・カタギリ下院議員は、フォーリャ・デ・サンパウロ紙とのインタビューにおいて、「連邦議会を知るにつれて、現実が想像以上にひどかったことを知った。汚職は三権の隅々に行き渡っている。構造改革を断行するためには、行政府の方が有利であることに気付いたため、本年の選挙では、行政府のポストを狙うことを検討している」と述べ、サンパウロ州知事選に出馬する可能性を示唆した。また、カタギリ議員は、大統領選では新党Missãoのレナン・サントス党首に投票すると述べた。カタギリ自身、Missãoに移籍する予定。(25日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)伯におけるユダヤ人社会は10万人強で、人口の0.06%に満たないが、イスラエルを無条件で支持している右派だけでなく、左派のルーラ政権もユダヤ人社会の票を獲得しようとしている。今月27日は、「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」であり、イスラエル訪問中のフラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は26日、エルサレムの嘆きの壁で祈りを捧げ、ネタニヤフ首相と共に反ユダヤ主義撲滅に関する国際会議に出席した。フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は、サンパウロ・イスラエル連盟のホロコースト犠牲者追悼式典に出席した。ルーラ大統領は、エヴァリスト人権相をサンパウロの伯イスラエル福祉連合(Unibes)とホロコースト記念館のイベントに派遣した。伯の政治家がユダヤ人社会を重視しているのは、その影響力(特に経済分野における)の大きさにある。尚、ルーラは、パレスチナ寄りで、イスラエルのガザ地区攻撃を「ジェノサイド」と批判していることからユダヤ人社会からは冷ややかに見られている。(27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

2.クーデター未遂/ボルソナーロ前大統領の収監

(1)ミシェーレ前大統領夫人は先週、モラエス・STF判事と会談した際、ボルソナーロ前大統領が連邦警察の独房内で転倒して頭を打ったことと、汚職で有罪になったコロール元大統領が自宅軟禁を認められた例を挙げ、ボルソナーロにも自宅軟禁を認めるよう、求めた。これに対し、モラエス判事は、医師の意見を考慮に入れた上で検討することを約束した。(23日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ボルソナーロの支持者がPapudinha刑務所の近くにテントを張り、ボルソナーロの釈放と恩赦を要求する横断幕を掲げ、その様子をSNSで配信していることを受け、モラエス判事は23日、支持者に対し、テントの撤去を命じ、刑務所周辺に居座ることを禁じた。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)25日、ボルソナーロ派のニコラウ・フェヘイラ下院議員(PL-MG)が率いる、ボルソナーロ前大統領の釈放と恩赦を要求するためのデモ隊がブラジリアに到着し、集会を実施した。集会の参加者数はピーク時で1.8万人に膨れ上がった。集会が始まる頃には大雨となり、会場の直ぐ傍で落雷が発生した。何十人も感電し、47名が病院に搬送され、その内、11名が重傷を負った。フェヘイラ議員は、スピーチを行った際、マスター銀行の不正疑惑に関して議会合同調査委員会(CPMI)を設置することを要求し、「右派は、PT支持者の多い北東部に目を向けるべきである」と主張した。また、同議員は、「今回のデモ行進は、(ボルソナーロの)釈放と恩赦を要求するだけでなく、伯国民を覚醒させるという壮大な目的があり、それは達成された」と述べた。今回のデモ行進は、ボルソナーロの人気が健在で、未だ大勢の支持者を動員できることを見せつけた。ボルソナーロが刑務所に収監されてから意気消沈していたボルソナーロ派は、今回のデモ行進を機に一気に盛り返そうとしている。野党PLは、落ち目だった右派が今回のデモ行進によって勢いを取り戻したとして、フェヘイラ議員を高く評価しており、同議員が本年の選挙では右派の牽引役となり、フラヴィオ・ボルソナーロのために票を獲得することを期待している。ミシェーレ前大統領夫人もフェヘイラのことを「ボルソナーロの6番目の息子」と高く評価している。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ及び27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

3.マスター銀行の破綻

(1)ファキン連邦最高裁判所(STF)長官は22日、トフォリ・STF判事がマスター銀行に関する捜査を担当している件に関して同判事を擁護するとの書簡を発表した。トフォリ判事は、マスター銀行との不適切な関係が指摘されており、同判事は事件の担当から外すべきとの声が高まっていることに対する反論と受け止められている。その一方で、ファキン長官は、トフォリ判事に対し、本件を第1審の連邦裁判所に差し戻すよう、水面下で説得を試みているとされている。また、同長官は、書簡の中で、「STFを護ることは、民主主義のルールを護ることと同じである。STFに対する攻撃は、民主主義と法の支配に対する攻撃である」と強調しているが、これは、本年の上院議員選で右派の上院議員を増やし、STF判事の弾劾を可能にしようとしている右派を牽制したものである。尚、ゴネー検事総長は、トフォリ判事を担当から外すことを求めた野党議員の申立を却下した。(23日~25日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ダニエル・ヴォルカロ・マスター銀行頭取が連邦警察の事情聴取に対し、「ブラジリアの自宅で、イバネイス・ロシャ連邦直轄区知事(MDB)と、マスター銀行をブラジリア銀行(BRB)に売却する件について何度か話し合った」と供述していたことが判明。ブラジリア銀行は、マスター銀行の買収を前提に同銀行から不良債権化した証券を122億レアルも購入していた。その損失は40億レアルと推定されている。PSol(社会主義自由党)は23日、ロシャ知事の弾劾を要求した。尚、ロシャ知事は、「BRBのマスター銀行買収についてヴォルカロと交渉したことはない。ヴォルカロとは何度か会い、ヴォルカノの自宅にも行ったことがあるが、買収の件について話したことはなかった」と主張した。23日、ヴォルカロが事情聴取の際に「自分には有力な政治家の友人などいない。いれば、マスター銀行の売却が阻止されることはなかったであろう」と述べていたことが判明。また、ヴォルカロは、その私邸に出入りしていた連邦議員の名前を出すことを拒否している。(23日付オ・エスタード・デ・サンパウロ及びヴァロール・エコノミコ電子版及び24日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)トフォリ・STF判事の兄弟が所有していたリゾートホテル(タヤヤー・アクア・リゾート)の権利がマスター銀行のヴォルカロ頭取の義弟が運営する投資ファンドに相場を大幅に上回る価格で売却されていた件が問題視されているが、複数のSTF判事が同リゾートホテルを訪れ、その警護の費用が約3年間で45.4万レアルに上っていたことが判明。これに関し、STFは、「世界的に見ても妥当なレベルの警備であり、必要な経費である」と説明。尚、トフォリ判事は、連邦警察と連邦検察庁が連邦議員の本件への関与はなかったとの結論に達すれば、事件の担当を第1審の連邦裁判所に戻す可能性がある。トフォリ判事が本件を担当するようになったのは、ジョアン・カルロス・バセラール下院議員(PL-BA)が不正に関わっていたとの情報があったからである。(23日付オ・エスタード・デ・サンパウロ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)カストロ・リオデジャネイロ州知事は23日、リオデジャネイロ州政府職員年金基金(Rioprevidência)がマスター銀行の債券に9.7億レアルを投資して焦げ付かせた件に関し、同基金のアントゥネス総裁を更迭した。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)ルーラ大統領は23日、「多くの恥知らずがヴォルカノ頭取を擁護している。貧しい人が犠牲になっているというのに、マスター銀行の頭取のような人物が400億レアル以上を騙し取っていたのを静観するわけはいかない。誰が400億レアルを払うのか、それは銀行(信用保証基金(FGC)の間違い)である」と述べた。ルーラが公の場でマスター銀行の破綻について発言したのはこれが初めて。ルーラの批判は、大統領選ではフレイタス・サンパウロ州知事またはフラヴィオ・ボルソナーロを支持しているサンパウロの金融街「ファリア・リマ」に向けたものである。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(6)ルーラ大統領は最近、側近に対し、トフォリ・STF判事がマスター銀行の件で批判されている件について、「トフォリは、STF判事を辞めて、引退すべきだ」等と辛辣な発言を行っている模様。ルーラは、特に、トフォリがマスタ銀行の捜査を非公開としたり、銀行関係者から押収されたパソコンや携帯電話の解析を連邦警察に行わせようとしなかったことを不満としている。ルーラは、昨年末にトフォリと本件について話し合っているが、実際にルーラがトフォリに引退を迫るようなことはないと見られている。(27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(7)ルーラ大統領がマスター銀行の経営破綻とスキャンダルが表面化する前の2024年12月4日に大統領府でヴォルカロ頭取と面会していたことが判明。面会は、マンテガ元財務相(ルセーフ政権)の要請により実現し、コスタ文官長、シルヴェイラ鉱山エネルギー相及びガリポロ中銀理事(当時。現中銀総裁)が同席した。面会では、ヴォルカロが「伯の金融市場は大手銀行に集中している」と抗議し、ルーラがガリポロに対して検討を求めたとされている。(27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(8)レヴァンドフスキ前法務治安相の妻と息子が経営する法律事務所がマスター銀行と月25万レアルで法律顧問の業務契約を結んでいたことが判明した。契約期間は、2023年から2025年8月で、レヴァンドフスキの在任期間(2024年2月1日から本年1月9日)と一部重なっている。レヴァンドフスキをマスター銀行に推薦したのはジャッケス・ワギネル政府上院院内総務(PT-BA)とされている。尚、レヴァンドフスキは、2024年1月17日に事務所を辞めている。(27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

4.外交

(1)ルーラ大統領は22日、インドのモディ首相及びパレスチナ自治政府のアッバス議長と電話会談を行った。モディ首相とは、国連及び安保理改革、ガザ地区(トランプ米大統領の平和評議会への参加を含む)等について意見交換を行った。ルーラは、平和評議会への参加について各国の意見を聴取している。インドは、伯と同様、参加についてはまだ結論を出していない。また、アッバス議長とは、停戦後のガザ地区情勢、並びに同地区の復興について話し合った。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)アルキミン副大統領は22日、ネルソン・トラッジ上院外交国防委員長と会談した後、「欧州議会は、EU・メルコスール・FTAを欧州裁判所に付託したが、伯政府は、できるだけ早く同協定を連邦議会に提出し、早期承認を図ることにしている。ドイツ等は、欧州裁判所の結論が出る前に協定を暫定的に発効させることを主張している」と述べた。尚、トラッジ委員長は、アルキミンと会談する前にシューグラフ駐伯EU大使と会談し、「欧州裁判所への付託が各国の承認手続きに影響を及ぼすことはないであろう」と述べた。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ルーラ大統領は22日、中国の習近平国家主席と電話会談を行い、国連の重要性について意見が一致した。両首脳は、トランプ米大統領の「平和評議会」には参加しないことを示唆した。中国の通信社によると、習近平主席は、「伯中両国は、混沌且つ不安定な国際情勢の中で、世界の安定と平和のための建設的な勢力である。両国は、歴史の正しい側に立ち、両国とグローバルサウス共通の利益を守り、国連の中心的な役割を保護すべきである」と述べた。これに対し、ルーラは、「両国は、多国間主義と自由貿易にとって重要な勢力である」と述べた。2国間関係については、習近平主席が経済協力の拡大を申し出た。ルーラは、21日にエルドガン・トルコ大統領と電話会談を行った。トルコは、平和評議会への参加を既に表明している。伯大統領府によると、エルドガンとの電話会談で平和評議会が取り上げられることはなかった。(24日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)ルーラ大統領は23日、トランプ米大統領の「平和評議会」に関し、「弱肉強食のルールが罷り通っており、国連憲章は破り捨てられつつある。トランプ大統領は、国連を良くする代わりに新たな国連を作ろうとしている。そして彼だけが(新しい国連の)オーナーになろうとしている。自分は、多国間主義が捨てられ、世界が武力行使と不寛容に支配されるのを防ぐため、数多くの首脳と話し合った」と述べた。(24日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)伯は23日、国連人権理事会において、イランの反政府デモ弾圧を強く非難した。昨年12月にイランで反政府デモが始まってから、伯がイラン当局の弾圧を非難したのはこれが初めて。但し、伯は、対イラン非難決議案の採決では棄権した。同決議案は、賛成27、反対7、棄権14で可決された。(24日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(6)ルーラ大統領は26日、トランプ米大統領と約50分間に亘って電話会談を行い、平和評議会、二国間関係、治安対策、ヴェネズエラ情勢等について意見交換を行った。また、ルーラは、トランプと首脳会談を行うために訪米することを確認した。時期は未定であるが、2月のインド及び韓国訪問の後になると見られている。ルーラは、平和評議会ではガザ地区の問題だけを扱い、また、パレスチナをメンバーに加えることで、その正当性を高めることを提案した。また、ルーラは、国連と安保理改革の必要性を説いた。ルーラは、両国が組織犯罪対策に関して協力関係を強化することを提案し、トランプはこれを歓迎した。(27日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.ルーラ政権

(1)本年10月の選挙に出馬するため、来月から4月にかけて20名前後の閣僚が辞任する見込み。ルーラ大統領は、上院議員に立候補するホフマン政治調整庁長官(PT)の後任にオラヴォ・ノレト持続可能経済社会開発審議会(Conselhão)事務局長(PT)を任命することにした。同じく上院議員に立候補予定のコスタ文官長(PT)の後任には、文官府のベルキオール次官が任命される。他にもコスタ・フィーリョ港湾空港相(Republicanos)、ファヴァロ農相(PSD)、フフカ・スポーツ相(PP)及びゴエス地域統合開発相(PDT)も上院議員に立候補する予定。(28日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)

(2)アダッジ財務相(PT)は、「ルーラ大統領の選挙対策に協力するため、2月に辞任する。選挙に出馬するつもりはない」と強調しているが、ホフマン政治調整庁長官(PT)は28日、「我々は、極右が政権の座に返り咲くことを阻止しなければならず、全ての閣僚は、(ルーラ再選の)シャツを着なければならない。そのため、アダッジを含め、我が方の有能な人材は皆、選挙に出るべきである」と述べた。ホフマン自身、上院議員に立候補するため、3月に大臣を辞めることになっている。アダッジは、選挙に出馬する場合、サンパウロ州から上院議員に立候補するのではないかと見られている。(29日付コレイオ・ブラジリエンセ)

2.連邦議会

 モッタ下院議長は28日、各党院内総務との会合において、2月の連邦議会開会後、EU・メルコスール・FTAと治安対策に関する憲法改正案の審議を優先すると述べた。治安対策に関する憲法改正案の報告官を務めるメンドンサ・フィーリョ下院議員(ユニオン・ブラジル-PE)によると、同改憲案は、カーニバル休暇(2月14日~18日)の後、下院特別委員会で採決が行われた後、2月23日の週に下院本会議にかけられる見込み。尚、野党は、マスター銀行の不正疑惑に関して議会調査委員会(CPI)の設置を求めているが、メンドンサ・フィーリョ議員によると、その件は28日の会合では取り上げられなかった。モッタ下院議長とアルコルンブレ上院議長は、CPIの設置に難色を示している模様(29日付コレイオ・ブラジリエンセ及びオ・エスタード・デ・サンパウロ)(

3.2026年選挙

(1)カイアド・ゴイアス州知事は27日、ユニオン・ブラジルからPSDに移籍し、PSDから大統領選出馬を目指すと発表した。同知事は、「右派の大統領候補が一人だけでは、ルーラ大統領が有利になるだけである。複数の候補が右派から出れば、当選の可能性が高まる。フラヴィオ・ボルソナーロ(PL)とは既に決選投票では、勝ち残った方が相手を支持することで合意している」と述べた。尚、PSDでは、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事とレイテ・リオグランデ・ド・スル州知事が大統領選出馬を目指しており、これら3名の州知事が同党の大統領候補の座を巡って争うことになる。(28日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は28日、「今月29日にボルソナーロ前大統領と面会した際に大統領選出馬を求められたとしても、断ることにしている」と述べた。(28日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)イスラエル訪問中のフラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は27日、反ユダヤ主義撲滅に関する国際会議においてスピーチを行った際、「ルーラ大統領は、イスラエルのパレスチナに対する軍事作戦をホロコーストに例える等、反ユダヤ的発言を繰り返すことで、ユダヤ民族を侮辱し、(ナチスドイツの)史上最悪の犯罪を矮小化しようとしている。ルーラは、反ユダヤ主義者である。それに比べて、ボルソナーロ前大統領は常にイスラエルと共にある」と強調した。フラヴィオは、ユダヤ教徒の帽子を被って嘆きの壁で祈りを捧げる等、まるでユダヤ教徒に改宗したかのように振舞っている。その一方で、父ボルソナーロと同様に、ヨルダン川で洗礼を受ける等、父親の足跡をたどることによって、支持者に対し、ボルソナーロの後継者であることを印象付けようとしている。(28日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)中道派勢力(セントラン)を構成するPSD、ユニオン・ブラジル、PP及びRepublicanosは、フレイタス・サンパウロ州知事が大統領選に出馬することはなく、右派のフラヴィオ・ボルソナーロ(PL)の大統領選出馬が確実になったとして、中道派の独自候補を擁立するか、でなければ、第1回投票では中立の立場を取る可能性について検討中。尚、PSDへの移籍を発表したカイアド・ゴイアス州知事は28日、サンパウロ市内で開催されたUBS投資銀行のイベントに参加した際、「PSDは、大統領選でルーラ大統領に勝つため、他の中道右派政党との連合を模索している。PSDの大統領候補を指名するのはカサビ党首である」と述べた。尚、このイベントには、中道右派の大統領候補と目されるカイアド、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)、レイテ・リオグランデ・ド・スル州知事(PSD)及びゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)の4名が揃って参加し、写真撮影に応じた。(27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)カサビ・PSD党首は、フォーリャ・デ・サンパウロ紙とのインタビューに応じた際、「PSDは、大統領候補を擁立する場合、ルーラ政権を攻撃するつもりはない。左派と右派の過激な論争からは距離を置き、穏健な選挙キャンペーンを目指す。中道派の統一候補の支持率は15~20%となり、右派のフラヴィオ・ボルソナーロに肩を並べることができる。勿論、現時点では、フラヴィオに競争力があることは否定できない。決選投票では、第1回投票で敗れた方の票がルーラの対抗馬に流れるため、勝ち目はある」と述べた。(29日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

4.マスター銀行の破綻

(1)ロベルト・カンポス・ネット前中央銀行総裁が在任中にマスター銀行の経営危機について把握していたにも拘わらず、2024年に2度に亘って同銀行の清算を阻止していたことが判明。カンポス・ネットは、2024年12月の任期満了の前に、マスター銀行に対して2025年3月までに債務超過を是正するよう、非公式に警告を出したが、それ以上のことはしなかった。マスター銀行は、2019年末にマキシマ銀行を買収したダニエル・ヴォルカノによって創立された後、2020年から2024年にかけて急成長した。これは、2019年に当時のボルソナーロ大統領から中銀総裁に任命されたカンポス・ネットの在任期間と一致する。創立当時37億レアルであったマスター銀行の資産総額は、2024年には820億レアルに膨れ上がった。ムーディーズによると、マスター銀行は、伯の銀行番付で、2021年には77位であったのが、2024年には25位に躍り出ている。尚、カンポス・ネットは、取材に対し、回答を拒否した。(28日付オ・エスタード・デ・サンパウロ)

(2)組織犯罪に関する議会調査委員会(CPI)で報告官を務めるアレッサンドロ・ヴィエイラ上院議員(MDB-SE)は、2月の休会明けと共に、同CPIにおいてマスター銀行の不正疑惑を取り上げ、トフォリ判事やモラエス判事等、本件との関係が指摘されているSTF判事とつながりのある法人及び個人の銀行口座に関する情報開示を求めることにしていると述べた。(28日付オ・エスタード・デ・サンパウロ)

(3)ホフマン大統領府政治調整庁長官(PT)は28日、ジャーナリストとの朝食会において、「マスター銀行に関する不正疑惑は、ルーラ政権において暴かれ、捜査が行われている。野党は、連邦直轄区政府やリオデジャネイロ州政府が年金基金の資金をマスター銀行に投資していた件等について説明する責任がある。また、野党は、ヴォルカロ頭取の義弟(ファビアーノ・ゼッテル)が2022年の選挙の際、当時のボルソナーロ大統領とフレイタス・サンパウロ州知事候補に多額の献金を行っていた件について説明しなければならない。マスター銀行と関係のあったのは彼ら野党であることは明白である」と述べた。ホフマンは、ルーラ大統領が2024年12月にヴォルカロと面会していた件については「大統領は、(ヴォルカロに限らず)多くの銀行家や金融市場の関係者と会っている。重要なのは、現政権下で、ヴォルカロが逮捕され、マスター銀行の裁判外清算が行われ、今も連邦警察により徹底した捜査が行われていることである」と答えた。また、レヴァンドフスキ前法務治安相の法律事務所がマスター銀行と法律顧問の契約を結んでいた件に関しては、「レヴァンドフスキは、ルーラ大統領から法務治安相就任を求められた際、(マスター銀行を含む)民間企業と契約していることを報告し、大臣に就任する前に法律事務所を辞め、マスター銀行に対する業務提供から身を引いているので問題はない。本件がマスター銀行に関する捜査に影響を及ぼしたとの事実はない。実際、同銀行に対する強制捜査が行われたのは、レヴァンドフスキが大臣を務めていた時であった」と強調した。(29日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)トフォリ・STF判事は28日、連邦警察に対し、中央銀行が昨年11月にマスター銀行の裁判外清算を宣告した直後に右派のインフルエンサーがマスター銀行を擁護し、中央銀行を攻撃した件に関して捜査することを許可した。インフルエンサーのロニー・ガブリエルとジュリアナ・モレイラ・レイテは、報酬と引き換えにマスター銀行を擁護することを求められたと証言している。連邦警察は、中央銀行の信用を失墜させるための世論操作が組織的に行われていたかどうかについて捜査することにしている。(29日付コレイオ・ブラジリエンセ)

5.司法

ファキン連邦最高裁判所(STF)長官は、マスター銀行の件についてSTFが批判を浴びていることを受け、STF判事の行動を律するための「行動規範」を作ろうとしており、2月10日にSTF判事全員を集めて会合を行うことにしているが、他のSTF判事は、これに難色を示している。ファキン長官は、STF判事に対し、イベント参加や講演により得た収入を公開することを義務付けたり、贈呈品の受け取りに限度額を設けたり、公の場では係争中の案件に関する発言を控えさせること等を提案している。尚、ファキン長官は、10日の会合では、マスター銀行の件についても取り上げることにしている。同長官は、トフォリ判事に対し、マスター銀行の件を第1審の連邦裁判所に差し戻すことを提案している。STFがこれ以上ダメージを被ることなく、マスター銀行の件から距離を置くにはその方法しかないとされている。(28日付フォーリャ・デ・サンパウロ及び29日付コレイオ・ブラジリエンセ)

6.外交

(1)ルーラ大統領は27日、マクロン仏大統領と電話会談を行い、トランプ米大統領の平和理事会、ベネズエラ情勢、EU・メルコスール・FTA等について意見交換を行い、国連の強化を図る必要があるとの点で一致した。また、両首脳は、米国のベネズエラ攻撃を非難し、南米の平和と安定を維持することについて一致した。(28日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は28日、パナマで開催されたラ米国際経済フォーラムに出席した際、「ラ米の国が単独で問題を解決できる可能性はない」と述べ、ラ米及びカリブ諸国の団結を主張すると共に、「ラ米・カリブ諸国共同体(Celac)にはまとまりが欠けている。Celacは、我々の地域を揺るがしている、違法な軍事介入に対して声明一つ出すことができないでいる」と批判した。ルーラは帰国する前にカスト次期チリ大統領及びパス・ボリビア大統領と個別会談を行った。両名とも右派であり、最近の大統領選挙で左派候補を破っている。(29日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

 

 

 
 
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