2025年7月 ブラジル関連情報
- Wakana Iwata
- 8月1日
- 読了時間: 42分
2025年7月ブラジル関連情報
1.ルーラ政権
(1)政府の試算によると、金融取引税(IOF)増税が廃止されたことによって生じる損失は、LCI(不動産取引証券)やLCA(アグロビジネス取引証券)等の課税に関する暫定措置令(MP)が無修正で承認されたとしても、本年度だけで120億レアルに達する。アダッジ財務相は、①新たな財源を確保する、②歳出を更に削減する、③連邦最高裁判所(STF)にIOF増税廃止は違憲であると訴える、の何れかを選択するしかないとしている。専門家は、5月末の時点で、310億レアル相当の予算が凍結されており、それに新たに120億レアル相当の歳出削減が加われば、政府が機能不全に陥る可能性があると見ている。ルーラ大統領は30日、本件に関してSTFに提訴することを決定した。ルーラは、「政府の主張には法的根拠がある。政府は、単に行政府の権限を守りたいと考えているだけであり、議会の決定を蔑ろにするつもりはない」としているが、今後、政府と議会の関係が益々こじれる可能性がある。実際、モッタ下院議長は30日、SNSに投稿した動画の中で、「IOF増税が議会で否決される可能性が高かったことは、政府も承知していたはずである。政府は、敗北の責任を議会に転嫁し、社会の分断を図ろうとしている」と批判した。(6月27日~7月1日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(2)ルーラ大統領は、政府が連邦議会で敗北を重ねていることから、最早、中道派勢力(セントラン)は当てにできないと考え始めており、国民には、「政府は、富裕層の税負担を少しだけ増やし、他の階層の負担を軽減することで、『税制上の正義(justiça tributária)』を実現しようとしているが、連邦議会がこれに反対しているため、大多数の国民のために税負担を軽減できないでいる」と主張することで、世論を味方につけようとしている。これに対し、モッタ下院議長は30日、「我々と彼らの何れかを選ぶのかと二極化を迫ることは、皆を敵に回すことになる。多くの国民は、政治的二極化(polarização política)に疲れているが、彼ら(政府)は、社会的二極化(polarização social)を作り出そうとしている」と批判した。(6月30日付及び7月1日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(3)21日、インドネシアの火山に登山したブラジル人女性が火口に滑落し、救助が遅れたために死亡するという事案が発生。伯外務省は、2017年(テメル政権)に公布された大統領令を理由に、政府は遺体の輸送費を負担できないと発表。これに対し、野党が「ルーラ政権は海外でトラブルに遭った自国民を助けない」と猛反発。SNSでもボルソナーロ派が「ルーラ政権は、ペルー元大統領夫人の亡命を受け入れる等、外国人には優しいが、自国民には冷たい」、「ジャンジャ夫人は、昨年の水害では被災した馬の救出には熱心だったが、人間の被災者には無関心」等と連日のようにルーラ政権を叩いた。ルーラ大統領は26日、被害者の父親に電話し、「2017年の大統領令を撤回し、輸送費は外務省に負担させる」と約束した。(6月27日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(4)英エコノミスト誌が「伯国内では、ルーラ大統領の人気が益々凋落している。それは、福音派の増加と、PTの過去における汚職が原因である。また、ルーラは、西側に対して敵対的な姿勢を取り、トランプ米政権との関係構築を怠り、中国にすり寄っている。ルーラは、海外でも影響力を失いつつある。イスラエルとイランの紛争に関する伯外務省の姿勢は、(イスラエルに対して)アグレッシブであった」との記事を掲載し、ルーラ政権を批判した。(7月1日付コレイオ・ブラジリエンセ)
2.クーデター未遂
(1)モラエス・STF判事は27日、クーデター未遂に関する裁判の被告人質問を終え、ボルソナーロ前大統領、ブラガ・ネット元文官長等、「第1グループ」の被告に関して最終弁論(書面)の提出期限を発表した。それによると、先ず、連邦検察庁が15日以内に最終弁論を提出した後、それから15日以内にマウロ・シディ元大統領付副官の弁護士が提出する。その後、ボルソナーロ等、残りの被告7名が15日以内に最終弁論を提出する。最終弁論が出揃うのは、8月中旬となるため、判決は、8月下旬から9月にかけて言い渡されると見られている。(6月28日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)ボルソナーロ前大統領は29日、サンパウロ市内のパウリスタ大通りに支持者を集めて集会を開き、約30分間に亘ってスピーチを行った。クーデター未遂に関する裁判が大詰めを迎えていることに関しては、無実を訴え、三権襲撃犯に恩赦を求めると共に、連邦最高裁判所(STF)を批判した。また、ボルソナーロは、「連邦議会の過半数を制した者は、大統領以上の権力を得る。君達が私に連邦議会の過半数を与えてくれるなら、私は大統領になる必要はない。PLの名誉総裁として、それ(実権を握ること)ができるようになる」と述べた。尚、ドローンとAIを使った調査によると、今回のデモの参加者はピーク時で1.24万人であり、本年4月に同じ場所で行われたボルソナーロ派の集会の4.49万人を下回った。(6月30日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
3.司法
(1)26日、連邦最高裁判所(STF)では、SNSユーザーの投稿に対するSNS企業の責任(インターネット基本法第19条の合憲性)に関する審理が終了した。その結果、STFの過半数(8対3)は、「裁判所の決定が無くても、SNS企業には有害な投稿を積極的に削除する責任がある」との主張を支持した。この場合、有害な投稿とは、非民主的行為、テロリズム、児童ポルノ、性犯罪、犯罪教唆、自殺乃至自傷幇助、人種差別、女性・児童・青少年に対する犯罪等のコンテンツを含むものとされる。この決定は、連邦議会においてSNS規制法が制定されるまで有効となる。伯デジタル経済会議所(camara-e.net。Meta、グーグル、アマゾン、Kwai、TikTok等が所属)は27日、「STFの決定は、コンテンツモデレーションのコストを引き上げ、投稿の予防的削除を促し、SNSの法的安定性を損ねる。また、投稿の削除に関する訴訟が爆発的に増加する恐れがある」と批判した。(6月27日及び28日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(2)司法高等裁判所(STJ)判事及び職員の買収疑惑に関して捜査を進めている連邦警察は27日、「Sisamnes作戦」の第10フェーズを発動し、エドゥアルド・シケイラ・カンポス・パルマス市長(Podemos。元上院議員)を逮捕した。捜査当局によると、本年5月に実施された「Sisamnes作戦」第9フェーズにおいて押収された同市長の携帯電話を解析した結果、同市長が非公開の訴訟に関する機密情報の漏洩を手引きしていたことが判明。(6月28日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)アルコルンブレ上院議長とモッタ下院議長は27日、連邦最高裁判所(STF)で開かれた議員割当金(emenda parlamentar)に関する公聴会に出席する予定であったが、直前になって出席をキャンセルした。公聴会では、報告官のディーノ判事が「STFが連邦予算や議員割当金に関する決定を下したとしても、三権分立の原則に反しない」と主張した。議員割当金に関しては、伯調査ジャーナリズム協会(Abraji)、連邦検察庁及びPSol(社会主義自由党)が「議員割当金の拠出を義務付けることは、三権分立、大統領制、並びに財政責任法に反する」と訴えている。(6月28日付コレイオ・ブラジリエンセ)
4.外交
(1)伯電力会社(エレトロブラス)は、伯とウルグアイの国境地帯に風力発電所を建設しているが、その建設用地(伯のリオグランデ・ド・スル州サンターナ・ド・リヴラメンント市から60kmの地点)は、ウルグアイが領有権を主張している場所である。ウルグアイ外務省は、伯に対し、領有権問題に関して伯との交渉再開を求めるとの声明を発表。両国の国境は、1850年に締結された条約によって画定されたが、ウルグアイは、1934年に同地域の領有権を主張した。これに対し、当時の伯政府は「条約締結から80年以上も経過してから蒸し返すのは理解し難い。1850年に画定された国境は正しい」と反論し、交渉を拒否した。(6月29日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(2)7月6日及び7日にリオデジャネイロで開催されるBRICS首脳会議には、中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領は欠席することが確定した。中国は、日程の調整がつかなかったことを理由に挙げている。プーチン大統領は、逮捕の恐れがあることから欠席することにした模様。イランのペゼシュキアン大統領とエジプトのエルシーシ大統領も中東情勢を理由に欠席する。これらの首脳は、オンラインにより参加する予定。(6月30日付コレイオ・ブラジリエンセ及び6月28日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(3)ルーラ大統領は、7月2日からメルコスール首脳会議に出席するため、アルゼンチンを訪問する予定。ミレイ・アルゼンチン大統領が就任して以来、ルーラが同国を訪れるのは今回が初めてとなる。ルーラは、EU・メルコスール・FTA締結に向けて最終的な調整を行うことにしているが、ミレイは、メルコスール首脳会議には出席せず、伯のサンタカタリナ州で開催されるボルソナーロ派の会合に出席する。尚、ルーラが自宅軟禁中のクリスチーナ・キルチネル元アルゼンチン大統領(汚職により有罪を言い渡されたが、高齢を理由に自宅軟禁が認められた)を訪問する可能性が取り沙汰されているが、訪問が実現した場合、ミレイとボルソナーロ派に格好の攻撃材料を与えることになる。(6月30日付コレイオ・ブラジリエンセ)
1.ルーラ政権
(1)連邦総弁護庁(AGU)は1日、連邦最高裁判所(STF)において、金融取引税(IOF)増税に関する大統領令の合憲性を確認するための訴訟(ADC)を起こした。政府は、「行政府には、法律の定める範囲内で税率を決定する裁量権があり、議会がこれを一方的に廃止することは違憲である。また、大統領令の違憲性について審査するのは、STFであり、議会ではない。議会の決定は、三権分立の原則に反している」と主張している。この訴訟の報告官には、モラエス・STF判事が選出された。尚、これにより、行政府と議会の対立に最高裁を巻き込むことで、行政・立法・司法の関係が更にぎくしゃくすることが予想されるが、政府与党は、上下両院議長に対し、「提訴は、政府の議会に対する報復ではない」と強調している。(2日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)ボルソナーロ前大統領は、クーデター裁判で有罪になった場合、自分には恩赦が認められるべきであると主張すると共に、支持者に対し、弁護士費用を捻出するため、オンライン決済システム「Pix」による寄付を求めているが、ルーラ大統領は1日、2025/2026年度農業融資プログラム(Plano Safra)の発表式においてスピーチを行った際、「自分は、君達にPixで金を送ってくれと頼むようなことは絶対にしない。また、有罪になる前から恩赦を求めるような真似もしない。勇気のない者や腰抜けは、始めから(クーデター等)馬鹿げたことはしなければいいのである」と批判した。(2日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)ルーラ大統領は2日、バイア州のテレビ局のインタビューに応じた際、「モッタ下院議長とは、金融取引税(IOF)増税廃止法案の採決は行わないことで合意したが、この合意は守られなかった。(政府はSTFに提訴したが)自分は議会との関係を破棄するつもりはない。双方が分かり得ない以上、司法が解決するしかない。最高裁に提訴しなければ、この国を統治することはできない。我々は、教育や保健の予算は削らないようにするため、富裕層に対して少しだけ負担を求めているだけであるが、オンラインカジノやフィンテック等がこれに反対している。連邦議会において優先されているのは、これら少数派の利益であるが、自分はそれは馬鹿げていると考えている」と述べた。その後、アダッジ財務相、ホフマン政治調整庁長官、ギマランエス・PT下院院内総務等が「政府は、議会との対立を煽っているわけではない」と火消しに努めた。(3日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(4)今週、リスボンでは、メンデス・STF判事の主催するイベント(第13回リスボン・フォーラム)が開催されており、モッタ下院議長等、伯から大勢の政治家や司法関係者が出席している。2日、イベントと並行して、IOF増税の合憲性確認訴訟を担当しているモラエス・STF判事がモッタ下院議長、エドゥアルド・ゴメス上院副議長(PL-TO。アルコルンブレ上院議長の代理)、パシェコ上院議員(PSD-MG、前上院議長)、シロ・ノゲイラ上院議員(PL-PI)、ダンタス連邦会計検査院(TCU)長官等と会合を行い、IOF増税について話し合った。IOF増税の件が深刻な政治危機に発展するのを回避するための方策について話し合われたと見られている。(3日付コレイオ・ブラジリエンセ)
2.クーデター未遂
ボルソナーロ前大統領は、吐き気としゃっくりが止まらないため、医師の診察を受けた結果、少なくとも7月は「絶対安静」にして治療に専念することとなった。そのため、ボルソナーロは、今月の予定は全てキャンセルした。胃カメラによる検査では、食道炎に罹っていることが判明している。(3日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
3.連邦議会
(1)1日、上院治安対策委員会では、住居、建物、土地等の不動産、並びに自動車の所有者がこれらに対する不法侵入を阻止するために発砲した場合、刑事及び民事上の責任は問われないとの法案が可決された。また、警察官が銃撃戦または危険が迫っている状況下で発砲し、相手、または人質等の第三者を死傷させたとしても正当防衛が成立するとの法案が可決された。これらの法案については今後、上院憲法司法委員会(CCJ)において審議が行われる。尚、人権団体は、これらの法案が成立すれば、銃の使用が飛躍的に増加し、治安が益々悪化すると警告している。(2日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)2日、上院において、民間の労働者を対象とした貸付制度(Crédito do Trabalhador)の導入に関する暫定措置令(MP)が可決され、大統領の裁可に付された。これは、FGTS(勤続年限保障基金)の積立金の10%または不当解雇の場合の退職金を担保として、月2.3%~2.94%の低金利(一般の個人向け融資の金利は平均月8.1%)で金を借りることができる。このような形態の貸付は「empréstimo consignado」と呼ばれている。これまでは、公務員と年金受給者しか利用できなかったが、今後は民間の正規雇用者や家事使用人等も利用できるようになる。 (3日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)2日、マリナ・シルヴァ環境相が下院の公聴会において政府の森林火災対策等について説明を行ったところ、アグリビジネス議連やボルソナーロ派の議員から罵詈雑言を浴びせられた。アグリビジネス議連のエヴァイール・デ・メロ下院議員(PP-ES)は、「マリナ・シルヴァは、コロンビアの左翼ゲリラやハマスやヒズボラのようである」と批判。これに対し、マリナ・シルヴァは、「他人に不当な扱いをするよりも、不当な扱いを受ける方を選ぶ」と返した。マリナ・シルヴァは、先月も上院の公聴会で議員から罵倒されている。(3日付コレイオ・ブラジリエンセ)
4.外交
(1)2日、ブエノスアイレスにおいて、メルコスール首脳会議が開催され、メルコスールと欧州自由貿易連合(Efta)の自由貿易協定が締結された。双方は、年内の発効を目指している。尚、ルーラ大統領は本日(3日)、キルチネル元アルゼンチン大統領を訪問する予定。キルチネルは、汚職により有罪判決を言い渡された後、自宅軟禁中である。(3日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)中国外交部は2日、習近平主席が来週のBRICS首脳会議には出席せず、代わりに李強首相が出席することを正式に発表したが、その理由については公表されなかった。(3日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
1.伯米関係・クーデター未遂
(1)17日の動き:
・ルーラ大統領は、テレビ・ラジオ演説を行い、「(トランプ米大統領がボルソナーロ前大統領に対する刑事訴訟の中止を求めて伯に50%の関税を課すとしていることは)受け入れ難い脅迫であり、これを支持している伯の政治家は祖国の裏切り者である。伯の司法機関に対する介入は、国家主権に対する重大な侵害である」と批判した。また、ルーラは、「外国のビック・テック企業は、伯の法律に従う必要がある。伯では、如何なる人も法律の上位に位置しない」と強調。
・ルーラ大統領の「トランプは世界の皇帝になるために選挙で選ばれたのではない」との批判に対し、ホワイトハウスのレビット報道官が「トランプ大統領は皇帝になろうとはしていない。彼は米国の強力な大統領であり、自由世界のリーダーである」と反論。
・米通商代表部(USTR)は、「連邦最高裁判所(STF)の『秘密命令』等によるSNS企業規制により、米企業と表現の自由が損害を被っているところ、オンライン決済システム『Pix』を含め、伯の不公正な貿易慣行に関して調査を開始する」と発表した。
・ボルソナーロ前大統領は、「ルーラ大統領が自分(ボルソナーロ)に旅券を返してくれるなら、渡米し、伯の代表としてトランプ米大統領と交渉し、50%の関税を阻止して見せる」と表明。
・トランプ米大統領は、ボルソナーロに「(ボルソナーロの)裁判は即座に止めるべきである! 君は非常に強くて尊敬されたリーダーとして国に尽くしており、君が(伯大統領選に関する)世論調査でリードしているとしても私は驚かない」との書簡を送付した。これに対し、ボルソナーロは、「自分には、50%の関税に対する責任はない。昨年の米大統領選でトランプが勝ったのは神の恩寵である」と述べた。(18日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(2)18日の動き:
・モラエス・STF判事は、ボルソナーロ大統領とエドゥアルド・ボルソナーロ下院議員の投稿を根拠に、「両者は違法行為を繰り返しており、また、ボルソナーロは海外に逃亡する可能性がある」として、ボルソナーロに対してGPSの装着、SNS使用禁止、夜間の外出禁止、外国公館及び外交官との接触禁止等の制限措置を科すことを決定した。連邦警察は、18日の内にボルソナーロのブラジリアにおける自宅を家宅捜索し、現金1.4万米ドル及び8千レアル、USBメモリー等を押収した。足首にGPSを装着させられたボルソナーロは、記者団に対し、「最大級の屈辱である。逃亡するつもりはない」とコメント。
・18日夜、ルビオ米国務長官がモラエス判事を含むSTF判事8名、ゴネー検事総長、並びにそれぞれの親族に対する在留資格の取消及び査証の発給制限を発表した。ボルソナーロ前大統領から任命されたヌネス・マルケス及びメンドンサ両判事は制限措置から除外された。これに対し、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員がトランプとルビオに謝意を表明。(19日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)
(3)19日の動き:
・ルーラ大統領は、米国政府がモラエス・STF判事等に対する査証の発給制限を発表した件に関してヴィエイラ外相と対応について協議した。ルーラは、Xに「米国政府の専横的で根拠のない措置を受けたSTF判事に対して連帯を表明する。伯の司法機関に対する外国の干渉は受け入れ難い」と投稿。
・ワシントンポスト紙の報道によると、モラエス判事等に対する査証の発給制限はまだ序の口で、米政府は、伯に対する関税を50%から100%に引き上げることを検討している。他にも、NATOと共同で伯に制裁を加えたり、伯に対してGPS衛星を含む人工衛星とのリンクを遮断したり、モラエス判事等に対してマグニツキー法を適用することが検討されている。(20日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(4)20日の動き
・ルーラ大統領は、民主主義に関する国際会議に出席するため、チリを訪れているが、トランプ米大統領の関税政策に対抗するため、民主主義と国家主権を擁護するための運動を展開する方向で各国首脳との対話を始めている。一方、アルキミン副大統領は、50%の関税を阻止するため、民間と共に米国との交渉を水面下で進めている。
・エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員がバホーゾ・STF長官、モラエス判事及び連邦警察を批判し、「(査証の発給制限は)始まりに過ぎない! STFと伯は、近日中に米国から(GPSの遮断等)更に多くの厳しい制裁を科されるであろう」とSNSに投稿。
・ボルソナーロ派がブラジリア、サンパウロ等の都市においてデモを行い、ボルソナーロ前大統領に対する制限措置に抗議すると共に、伯に50%の関税を課すと宣言したトランプ米大統領を擁護した。参加者数の集計は行われなかったものの、大した人数ではなかった。(21日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(5)21日の動き:
・ルーラ大統領は、「伯と米の間で関税戦争は行われていない。それは、トランプ米大統領が意見を変えずに伯に対する関税を50%に引き上げ、伯が相互主義を発動した時に始まる」と述べた。アルキミン副大統領は、ビック・テック企業の代表と会議を行い、50%の関税引き上げを回避する方法について協議した。尚、ベッセント米財務長官は、「8月までに間に合うよう、伯と急いで協議するつもりはない」と述べた。
・モラエス・STF判事は、ボルソナーロ前大統領が18日に制限措置が科された後もインタビューに応じたり、インタビュー記事のリンクを公開したりしている件に関し、ボルソナーロの弁護団に対し、ボルソナーロが命令違反で逮捕される可能性があると警告すると共に、これまでの命令違反について24時間以内に説明を行うよう命じた。ボルソナーロは、下院を訪れた際に記者会見を行う予定であったが、モラエス判事の命令を受けて、これを中止し、代わりに足首に装着されたGPSを記者団に公開して、STFを批判した。
・モラエス・STF判事は、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員の資産及び銀行口座(オンライン決済システムPixの使用も含む)を凍結した。エドゥアルドは、ポッドキャストに出演した際、米国が伯に対する関税を50%に引き上げることに賛成すると述べると共に、モラエス判事にはマグニツキー法を適用し、その資産を凍結すべきと述べた。
(22日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
2.ルーラ政権
(1)Genial/Quaest社が今月10日から14日にかけて実施した、次期大統領選の決選投票に関する世論調査によると、トランプ米大統領が伯に50%の関税を課すと発表した後、ルーラ大統領の支持率が微増し、ボルソナーロ前大統領等、右派の候補の支持率が低下したたため、前回5月の調査では、ボルソナーロ及びフレイタス・サンパウロ州知事と引き分けていたルーラは、ボルソナーロには6ポイント差(ルーラ43%、ボルソナーロ37%)、フレイタスには4ポイント差(ルーラ41%、フレイタス37%)をつけることができた。(18日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(2)ルーラ大統領は18日、「狂人の集団(ボルソナーロ派)にこの国を再び明け渡してはならない。彼らはもう少しのところでこの国を破壊するところであった」と述べ、再選への意欲を示したが、出馬については明年になってから決めると述べた。これに対し、ボルソナーロ前大統領は、「自分(ボルソナーロ)が出馬できなければ、勝つのはルーラである。自分を裁判にかけているのは、大統領選に出させないためである」と述べた。(19日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(3)ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)は、Novoから次期大統領選に出馬することを決意した。出馬表明は8月16日に行われる予定。(22日付コレイオ・ブラジリエンセ)
3.連邦議会
(1)17日、下院において、環境ライセンス制度の柔軟化に関する法案(環境団体からは「環境破壊法案」と呼ばれている)が賛成267、反対116で可決され、これに反対していたマリーナ・シルヴァ環境相が敗北を被った。農牧業議連の会長を務めるペドロ・ルピオン下院議員(PP-PR)は「同法案の成立は歴史的勝利」と表明。これにより、農業、畜産(放牧、半集約畜産、小規模集約畜産)、生物学的リスクを伴わない農牧業研究、防衛産業等が環境ライセンスの取得を免除されることになり、また、大西洋森林(Mata Atlântica)の伐採を禁止する規定が廃止されることとなった。大規模な鉱物資源開発の規制に関する権限は、連邦から州に移管される。同法案はすでに上院を通過しているため、大統領の裁可に付されることになった。(18日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)野党PLは、7月の休会を返上し、モラエス・STF判事の処分について議論することを主張したが、上下両院議長がこれに応じなかったため、連邦議会は、8月4日まで休会入りすることとなった。(19日付コレイオ・ブラジリエンセ)
4.外交
ルーラ大統領は21日、チリで開催された「常に民主主義(Democracia Sempre)ハイレベル会合」に出席し、「民主主義の擁護は、政府だけではなく、学会、議会、市民団体、メディア、民間部門等、全ての人がこれに参加する必要がある。過激主義は、介入に基づく手法を取り戻そうとしている」と述べた。今回の会合には、チリ、伯、コロンビア、ウルグアイ及びスペインの首脳(何れも左派)が参加した。各国首脳は、民主主義の擁護、多国間主義、格差の是正、偽情報対策及びデジタル技術について意見交換を行った。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
1.伯米関係・クーデター未遂
(1)伯政府は、米国の関税引き上げを回避するため、5月と7月に外交文書を米国に送付したが、未だに回答がなく、交渉は暗礁に乗り上げている。そのため、官民の代表からなる使節団を米国に派遣し、米国との合意を目指すことにしている。アルキミン副大統領は22日、「関税が50%に引き上げられれば、伯だけでなく、米企業も悪影響を被る。伯企業は、米国の取引先を説得して、米国政府に働きかけてもらうべきである」と述べた。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)ボルソナーロ前大統領の弁護団は22日、モラエス・STF判事に対し、「ボルソナーロのインタビュー記事のリンクを張ったのはボルソナーロではなく、支持者であるため、ボルソナーロは、SNS使用禁止命令には違反していない。モラエス判事は、SNSの使用を禁じたが、インタビューに応じること、また、インタビューの動画配信や記事の投稿も禁止の対象になっているのか否かについては明らかにしなかった。そのため、この点に関して説明を求める」との申し入れを行った。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)22日、STF第1小法廷では、モラエス判事がボルソナーロ前大統領に課した制限措置(GSP装着、夜間外出禁止、SNS使用禁止、外国公館との接触禁止等)の是非に関して審理が行われた。その結果、賛成4、反対1により、モラエス判事の決定が維持された。唯一、反対を表明したフックス判事は、「ボルソナーロが海外に逃亡するとの証拠はなく、現時点において移動の自由等を制限するのは行き過ぎである」と主張。尚、フックス判事もヌネス・マルケス判事及びメンドンサ判事と同様に、米国のSTF判事に対する査証発給制限措置の対象外となっている。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(4)20日、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員の休職期間が終了し、伯に帰国して議員に復帰しなければ、議席を失う可能性がある。そのため、フレイタス・サンパウロ州知事やメロ・サンタカタリーナ州知事等、ボルソナーロ派の知事は、エドゥアルドを州政府の高官に任命することで、引き続き米国に滞在できるようにすることを検討中。これに対し、ファリアス・PT下院院内総務は22日、STFに対し、エドゥアルドの州政府高官任命を阻止するための制限措置を求めた。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(5)ボルソナーロ派の議員は、休会中に下院外交国防委員会及び治安対策委員会を開き、STF非難決議を採択しようとしたが、モッタ下院議長により阻止された。ボルソナーロ派議員は、モッタ議長の決定に抗議して、委員会に「TRUMP Make Great America Again」と大書された旗を持ち込み、気勢を上げた。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(6)伯政府は23日、WTOの会合において、トランプ米大統領を名指しすることなく、「(米国の)関税措置は専横的で、混乱を招くものである」と批判すると共に、関税を使って他国に脅しをかけ、他国の内政に干渉する手法を非難し、BRICS諸国、カナダ、EU等、約40ヶ国から支持された。伯の代表は、「(米国が)予定通りに(50%の)関税を発動する場合、伯は、WTOの紛争解決システムを含め、あらゆる法的手段に訴える」と述べた。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(7)トランプ米大統領が伯との関税交渉開始を指示していないことから、伯政府は、交渉団を米国に派遣できずにいる。伯政府内では、「トランプは、各国に圧力をかけるため、伯を見せしめにしようとしているのではないか。その場合、8月1日に50%の関税が発動される可能性は高い」との見方が広がっている。アダッジ財務相は、50%の関税発動に備えて対策を検討していると表明。一方、米国では、伯からオレンジジュースを輸入している企業が「伯に対する関税を50%に引き上げることは違法」と裁判所に訴えており、伯から石油や航空機等を輸入している企業も関税の引き上げに対して懸念を表明している。(24日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)
(8)上院は、50%の関税を回避するため、今月29日から31日にかけて上院議員8名からなる代表団(トラッジ上院外交国防委員長(PSD)、ジャッケス・ヴァギネル(PT)、テレーザ・クリスチーナ(PP)フェルナンド・ファリアス(MDB)、マルコス・ポンテス(PL)、エスペリジアン・アミン(PP)、ロジェ―リオ・カルヴァ―リョ(PT)及びカルロス・ヴィアナ(Podemos))を米国に派遣する。代表団は、米国の議員と接触し、米国との対話の糸口を掴もうとしている。代表団のメンバーは23日、ヴィエイラ外相及びヴィオッチ駐米伯大使と会議を行った。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(9)Trump Media社とRumbleは、米司法省に対し、「モラエス・STF判事がボルソナー派のインフルエンサーのアカウント停止を決定したことは、専横的且つ違法で、道徳的な良心に反している。同判事の決定は、米国憲法の保障する表現の自由を侵害しているため、米国政府は、モラエスに対して資産凍結等の制裁を行うべきである」との申し入れを行った。両社は、本年2月、フロリダ連邦裁判所においてモラエスを訴えている。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(10)フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)は23日、「モラエス判事がボルソナーロ前大統領とエドゥアルド・ボルソナーロに対する制限措置を決定したのは権力の乱用であり、背任罪に当たる」として、モラエス判事の弾劾を求める文書を上院に提出した。尚、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員は、「妻の銀行口座も凍結された。自分だけでなく、妻もPix(オンライン決済システム)による支払いができない」と述べ、モラエス判事を批判した。(24日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(11)ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)は23日、「米国が伯に対する関税を50%に引き上げると発表したことの責任はルーラ大統領にある」としながらも、「(伯に対する制裁を米国に働きかけた)エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員の行動は決して正しいとは言えない。右派は、同議員によって迷惑を被っている」と批判。これに対し、エドゥアルドは、「ゼマ知事は、お仲間の金融エリートのことしか考えていない」と反発。(23日付ヴァロール・エコノミコ電子版)
2.ルーラ政権
(1)ディアス開発・福祉・家族・飢餓対策相は22日、「今月、95.8万世帯が貧困から脱し、ボルサ・ファミリアの受給対象から外れることとなった。本年1月以降は300万人、ルーラ政権発足以降では860万人が貧困から脱したことになる。これは、政府の貧困対策が功を奏していることを示している。伯は、年内にもFAOの飢餓マップから除外される可能性がある」と述べ、ルーラ政権の成果を強調した。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)連邦政府は23日、公共サービスのデジタル化政策の一環として、国民に生体認証システムへの登録を義務付けることを発表した。これにより、社会保障の給付等が迅速に受けられるようになる。既に1.5億人分の指紋が選挙裁判所や交通局に登録されており、登録の義務化にはこれらのデータが活用されることになる。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)ルーラ大統領は23日、公社及び半官半民企業の役員の内、最低30%は女性を起用しなければならないとの法律を裁可した。これにより、女性役員の割合は、1年目は10%、2年目は20%、3年目に30%に引き上げることが義務付けられた。(24日付コレイオ・ブラジリエンセ)
1.伯米関係・クーデター未遂
(1)モラエス・STF判事は24日、ボルソナーロ前大統領の弁護団の申し入れに対し、「ボルソナーロは、SNS使用禁止等、一部の制限措置に違反したものの、現時点では、逮捕されることはない。ボルソナーロは、インタビューに応じたり、公の場でスピーチを行うことはできるが、その切り抜きをSNSに投稿することはできない」と回答した。福音派の礼拝に参列した時にこの回答について知らされたボルソナーロは、跪いて涙を流した。尚、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員は、「実際には父ボルソナーロが公の場で発言できないことに変わりはない。モラエスは、ボルソナーロに対して検閲を行っている」と批判した。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(2)在伯米大使館は24日、ダレン・ビーティ―米国務省公共外交担当次官補の「モラエス判事は、ボルソナーロ前大統領に対する迫害と検閲のプロセスの心臓部である。トランプ大統領とルビオ国務長官のリーダーシップのお陰で、我々は、然るべき対抗措置を取りつつある」とのメッセージをXに投稿したが、対抗措置の内容については明らかにしなかった。同大使館は、ルビオ国務長官の「モラエス判事のボルソナーロに対する魔女狩りと迫害と検閲は、ブラジル人に限らず、米国人の基本的権利も侵害している。トランプ大統領は、表現の自由を制限する外国人には米国政府が責任を取らせると明言している」とのメッセージもXに投稿した。また、同大使館は、「ETも自分の家に帰る時を弁えていた。CBP Homeのアプリを使って支援を受けられる内に尊厳をもって帰国すべき」とのメッセージをブラジルの不法移民に向けて出した。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)アルキミン副大統領は24日、今月19日にラトニック米商務長官と電話会談を行い、伯側の主張について伝えると共に、伯には米国との交渉に応じる用意があると強調したことを明らかにした。尚、ルーラ大統領は、「トランプ米大統領が50%の関税の根拠として挙げているのは全て嘘である。トランプがtruco(カードゲームの一種)をプレーしているつもりなら、自分は賭けを上乗せする」と述べた。また、ルーラは、エスコバル在伯米臨時代理大使がジュングマン伯鉱業院(Ibram)総裁に対して「トランプ米大統領は、伯の戦略的希少鉱物に関心を持っている」と伝えた件に関し、「我々は、2.15億人のブラジル国民を守らなければならない。我々は、伯の水資源、石油、鉱物資源等も守らなければならない。これらの資源には誰にも手出しはさせない。この国は、伯国民のものである」と述べたが、希少鉱物の対米輸出は、伯にとって米国との交渉カードになり得る。ルーラ大統領は28日、「伯の地下に眠っている鉱物資源は伯の物であり、外国には渡さない」として、伯の希少鉱物の鉱床や埋蔵量等を調査するための委員会の設置を発表した。(25日~29日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(4)ルーラ大統領は24日、「私の旗はブラジル国旗である」と刺繍された緑の帽子を被ってスピーチを行った際、「ボルソナーロは、その愚行に対して代償を払わなければならない。我々は、ボルソナーロがクーデターを試みたのをこの目で見た。彼ら(マウロ・シディ元大統領付副官等)も警察に対してそう自供した。連邦検察庁は、警察の捜査に基づいてボルソナーロを起訴した。伯の司法機関は独立しており、捜査資料に基づいて判断する。有罪と判断すれば、(ボルソナーロを)牢屋に入れるであろう」と述べた。尚、スピーチの際、ルーラの隣にいたシルヴェイラ鉱山エネルギー相が「Make Brasil Lula Again」と書かれた帽子を着用していたのが注目を集めた。シルヴェイラは、ルーラの再選を支持すると共に、明年の選挙ではミナスジェライス州から上院議員に立候補したいと述べた。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(5)24日、連邦最高裁判所(STF)第1小法廷では、クーデター未遂裁判の第2グループの内、マリオ・フェルナンデス退役将校に対する被告人質問が行われた。その際、フェルナンデスは、所謂「緑と黄色の短刀作戦(陸軍特殊部隊がルーラ、アルキミン及びモラエス判事を殺害することで、ボルソナーロに大統領を続けさせる)」を立案したことを認め、同作戦に関する電子ファイルは自分のものであると認めたが、「ファイルは自分の考えをまとめただけで、これを誰かと共有したことはなかった。また、これを本気で実行に移すつもりはなかった」と主張した。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(6)アダッジ財務相は、ベッセント米財務長官と電話で話すことができたが、「各国との関税交渉は、ホワイトハウスが行っており、財務省は関知していない」と言われた。ルーラ大統領は25日、イベントにおいてスピーチを行った際、「トランプ米大統領にその気があるなら、伯は何時でも交渉に応じる用意がある。そうすれば、トランプが吹き込まれた伯に関する情報が嘘であることが分かり、50%の関税は引っ込めるであろう」と述べた。尚、米政府筋によると、ホワイトハウスは、「伯は米国との交渉に熱心ではなく、これまでに意味のある提案を行ったことはなかった」としており、予定通り、伯に対する関税を50%に引き上げる方向で調整に入っている。ブルームバーグの報道によると、両国の貿易は伯側の入超となっていることから、緊急事態宣言を行い、それを法的根拠にして伯に対する関税を50%に引き上げることにしている。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(7)エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員は25日、「アルコルンブレ上院議長とモッタ院議長が(三権襲撃犯の)恩赦法案とモラエス・STF判事の弾劾手続を議題に取り上げなければ、米国は、同議長を制裁の対象とするであろう」と表明。フラヴィオ・ボルソナーロ上院議員は、「ボルソナーロ前大統領に恩赦を与え、次期大統領選に出馬できるようにすれば、伯に対する制裁は即座に解除される。それがなければ、上院が代表団を米国に派遣しても無駄である」と述べた。これに対し、ホフマン政治調整庁長官は、「エドゥアルドがトランプ政権の関係者と進めている陰謀は、売国行為であり、不道徳極まる恐喝である。今度は、伯の上下両院議長を恐喝しているが、これは伯の国家主権と民主主義に対する許し難い犯罪である」と批判した。エドゥアルドは28日、「伯上院が米国に代表団を派遣したが、自分は、同代表団との話し合いには応じないよう、米国政府と議会に対して働きかけを行っている。伯に対する関税は、単なる通商問題ではなく、司法を含む政治的な問題であることを理解すべきである」と述べた。これに対し、ホフマンは、「祖国に対する裏切り行為である」と批判。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ及び29日付ヴァロール・エコノミコ電子版)
(8)米民主党のアル・ゴア元副大統領は25日、サンパウロ市内のイベントに参加した際、「トランプ米大統領が伯に対する関税を50%に引き上げようとしていることは狂気の沙汰であり、(仮に発動されたとしても)長続きしないであろう」と述べた。また、米民主党の上院議員11名が「伯に対する関税引き上げは、重大な権力の乱用である。この措置は、伯だけでなく、米国経済に悪影響をもたらす可能性がある」との書簡をトランプ大統領に送付した。エコノミスト誌は「伯に対する50%の関税は、ショッキングな攻撃である。これは、米国が冷戦以降、中南米諸国に対して行った干渉としては最も強力である」との記事を掲載。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ及び25日付ヴァロール・エコノミコ電子版)
(7)26日、ボルソナーロ派のエーリオ・ロペス下院議員(PL-RJ)がブラジリアの三権広場にテントを張って、モラエス・STF判事に対する抗議活動を開始した。SNSは、ボルソナーロ派に対して三権広場での抗議活動に参加を呼び掛ける投稿で溢れた。モラエス・STF判事は、「三権襲撃の二の舞になる可能性がある。また、STFを始めとする国家機関の機能が妨げられる可能性がある」として、三権広場においてテントを張ることは禁止し、これに応じない者は公務執行妨害により現行犯逮捕すると決定した。(27日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(8)トランプ米大統領は27日、「相互関税は、(伯を含む)全ての国に対して8月1日に発動される」と述べ、延期の可能性は否定した。ラトニック商務長官も「延期や新たな据え置き期間が認められることはない。相互関税は8月1日に発動される。各国は、8月1日以降もトランプ大統領と話すことができる。彼は、常に聞く用意がある。但し、それは、彼を幸せにできるのかどうかとは別問題である」と表明した。伯の開発・産業・貿易・サービス省は27日夜、「伯政府は、これまで米国との交渉を試みており、国家主権については譲れないものの、貿易に関する議論には応じる用意がある」との声明を発表した。尚、ヴィエイラ外相は今週、ガザ地区の紛争に関する国連会議に出席するため、ニューヨークに滞在する予定であるが、米国政府が伯との交渉に応じるのであれば、ワシントンに出向くことにしている。(28日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(9)アルキミン副大統領は、ラトニック米商務長官に対し、オレンジジュースやコーヒー等の食品、並びにEMBRAER社製の航空機を相互関税の対象外とすることを求めたが、これに対する米国の回答はまだない。50%の関税発動まであと4日に迫った28日、アダッジ財務相は、輸出企業支援策等からなる緊急対応策をまとめてルーラ大統領に提出した。また、8月1日に50%の関税が発動された場合、伯政府は、アルキミンとアダッジ財務相を米国に派遣し、米側と交渉することを検討しているが、それには、少なくともヴァンス副大統領かルビオ国務長官と会えることが前提条件となる。一方、伯上院が米国に派遣した代表団は28日、米伯商工会議所と会議を行い、早急に伯米首脳会談(対面または電話)を実現させるため、同会議所の協力を求めた。また、代表団と同商工会議所は、関税発動の延期を求める書簡をホワイトハウスに送付することで一致したが、延期が実現する可能性は低いと見られている。トランプ米大統領は28日、「関税は予定通り8月1日に発動される。(米国との交渉が妥結していない)大半の国に対する関税は15%から20%の範囲になるであろう」と述べたが、これに伯が含まれるのか否かは不明。ルーラ大統領は28日、「トランプ大統領が伯の重要性について考慮し、文明社会で行われているように、一方的な決定ではなく、話し合いによる解決に応じることを期待する」と述べた。(29日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)
(10)中国外交部のGuo Jiakun報道官は28日、「関税戦争に勝者は存在しない。また、単独主義は、誰の利益にもならない。中国は、WTOを中心とする多国間貿易システムを守り、国際的な正義を守るため、伯、他のラ米及びカリブ諸国、並びにBRICS諸国と取組を行う用意がある」と表明。(29日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(11)ホフマン政治調整庁長官は29日、「トランプ米大統領は現時点では伯との話し合いに応じるつもりはないと述べたが、ルーラ大統領には、同大統領と直接交渉する用意がある。ルーラ大統領には常に話し合いの用意があった」と述べた。(29日付ヴァロール・エコノミコ電子版)
2.ルーラ政権
(1)政府は、住宅供給プログラム(Minha Casa Minha Vida)により、2026年末の任期満了までに住宅200万軒を提供するとの目標を立てていたが、予想以上に希望者が増えたため、この数字を300万軒に見直す方向で調整中。頭金の減額、金利の引き下げ、中間所得層も対象に含まれたことが功を奏したと見られている。同プログラムに資金を提供しているFGTS運営審議会は24日、新規の契約に対して100億レアルを提供することを決定した。(25日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(2)連邦政府は24日、年金から組合費や会費を詐取された受給者に対する払い戻しを開始した。初日に払い戻しを受けたのは39.1万人であった。払い戻し金は、インフレによって調整された上で、受給者の銀行口座に直接振り込まれる。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(3)ルーラ大統領は28日、零細企業の輸出戻し税制度の導入に関する法律を裁可した。これにより、零細企業は、輸出による収益の3%に相当する還付金を受け取れるようになり、零細企業による輸出拡大が期待されている。(29日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
(4)FAOが28日に発表した「世界の食糧安全保障と栄養の現状:2025年報告」によると、伯国民の内、栄養失調に陥っている人の割合が全体の2.5%を下回ったため、伯はFAOの飢餓マップから削除された。伯は、2014年に初めて飢餓マップから削除されたが、2018-2020年度から再び記載されるようになり、今回、7年振りに削除された。ディアス開発・福祉・家族・飢餓対策相は、「ボルサ・ファミリアの拡充等、ルーラ政権の貧困対策の成果である」とコメントした。(29日付コレイオ・ブラジリエンセ)
3.2026年総選挙
ボルソナーロ派は、ボルソナーロ前大統領が有罪となり、収監される可能性が高まっていることから、代わりの大統領候補はフレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)とフラヴィオ・ボルソナーロ上院議員(PL-RJ)の二択になる可能性が高いと見ている。同じく同派の大統領候補と目されるエドゥアルド・ボルソナーロ下院議員は、伯に帰国できるのか否かも分からない状況にあり、また、ミシェーレ前大統領夫人は、連邦直轄区(DF)から上院議員に立候補すれば、当選確実とされているため、大統領選に出馬して落選するリスクを冒す必要はないとされている。(27日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
4.外交
ヴィエイラ外相は28日、ガザ地区の紛争に関する国連会議に出席した際、「(ガザ地区において)ジェノサイドが行われているとの主張には信憑性がある。国際法の遵守を呼び掛けるだけでは不十分であり、断固たる姿勢をもって国際法を適用しなければならない。二つの国家による政治的な解決だけが、イスラエルとパレスチナの正当な要求に応えることができる。それ以外に方法はない」と主張した。(29日付フォーリャ・デ・サンパウロ)
1.伯米関係・クーデター未遂
(1)29日、50%の相互関税発動まで48時間に迫ったが、伯政府及び伯上院の代表団は、ホワイトハウスとの交渉に漕ぎ着けることはできなかった。伯上院代表団の一員として渡米したジャッケス・ワグネル政府上院院内総務(PT-BA)は、ルーラ大統領とトランプ米大統領が8月1日までに電話会談を行うことはないと述べた。ホフマン政治調整庁長官(PT)は、「最初に伯側と話をするつもりはないと言ったのはトランプ大統領の方である。ルーラ大統領には、常に米国と話し合う用意があった。但し、それには米側が伯に対して門戸を開き、担当官同士の交渉が行われる必要がある。首脳会談というものは、一定の手続を踏んで行われるものである」と述べた。伯上院の代表団は29日、米国議会の議員数名と会合を行ったが、具体的な成果は得られなかった。(30日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)
(2)ラトニック米商務長官は29日、コーヒー、カカオ、マンゴー、パイナップル等、米国内で生産できない食品については関税を0%にする可能性について言及した。伯は、コーヒーやマンゴーを米国に輸出しているが、これらの農産物が50%の相互関税の対象外となるのか否かについては不明。尚、伯国内では、50%の関税発動により、対米輸出が激減すると予想されていることから、食肉や果物等の卸売価格が下がり始めている。輸出が減る分を国内市場に回す動きが早くも見られている。(30日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びコレイオ・ブラジリエンセ)
(3)アルキミン副大統領は29日、メタ、グーグル、アマゾン、アップル等、米国のビッグテック企業の代表と会議を行い、各社の要望について聴取した。この会議には、ラトニック米商務長官の希望により、米国政府の代表がオンライン形式で参加した。(25日~29日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(4)モッタ下院議長は29日、「(米国が)貿易措置を保護主義と他国への内政干渉に利用することには毅然とした態度で臨むべきである。伯連邦議会は、伯に対する差別的な貿易慣行に対して反発する用意がある」と述べ、米国が50%の相互関税を発動する場合には、伯が相互主義法に基づいて対応することを示唆した。(30日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(5)29日、ローマにおいて、ボルソナーロ派のカルラ・ザンベーリ下院議員(PL-SP)がイタリア警察によって逮捕され、ローマ市内の刑務所に収監された。同議員は、国家司法審議会(CNJ)のコンピュータ・システムにハッキングをかけたことで、本年5月に連邦最高裁判所(STF)から禁固10年の有罪判決を言い渡された後、国外に逃亡し、国際刑事機構から指名手配を受けていた。伯政府は、イタリアに同議員の引き渡しを求めることになるが、同議員は「伯に引き渡されるぐらいなら、イタリアで服役する」と述べている。尚、同議員は、伯とイタリアの二重国籍者である。ソステネス・カヴァルカンテ・PL下院院内総務は30日、ザンベーリに対して政治亡命を認めるよう、メローニ・イタリア首相に直訴するためにイタリアに向けて出発した。また、カヴァルカンテは、イタリア法務省に対し、「伯の連邦最高裁判所(STF)は、ザンベーリに対して抗弁の権利を認めず、証拠もないのに有罪を言い渡した。ザンベーリは、政治的な理由により迫害されている」として、伯政府の引き渡し請求には応じないよう、求めている。(30日付及び31日コレイオ・ブラジリエンセ)
(6)29日、ボルソナーロ前大統領がブラジリア市内において実施した「バイク・デモ(motociata)」には1千人以上のライダーが参加した。ボルソナーロは、先頭の街宣車から支持者に対して手を振ったりしたが、スピーチは行わなかった。支持者は、「Bolsotrump」や「Trumpnaro」と書かれた横断幕を掲げ、「ルーラとモラエスは出ていけ」、「ボルソナーロを再び大統領に」、「自由」等と叫びながらバスターミナルまでの道を集団で走行したが、官庁街には入らなかった。ボルソナーロは、大統領在任中、自らオートバイを駆って大勢の支持者と共に「バイク・デモ(motociata)」を全国各地で行ったため、「バイク・デモ(motociata)」はボルソナーロ政権のトレードマークとなっていた。(30日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(7)トランプ米大統領は30日、伯を標的とした関税措置に関する大統領令に署名した。その際、同大統領は、「伯政府の行動(人権侵害、検閲、米企業に対する干渉等)は、米国の安全保障、経済及び外交政策を脅かしている。特にモラエス・STF判事は、権力を乱用して、(ボルソナーロ前大統領等の)反政府勢力を迫害し、政府批判を封じ込めようとしている」として、緊急事態を宣言した。これにより、伯からの輸入品には10%の相互関税に加えて40%の追加関税がかけられることとなったが、オレンジジュース、鉄鋼製品、原油、航空機、モーター等の工業製品等、694品目は追加関税の対象外となった。米伯商工会議所によると、追加関税の対象外となった輸出品目が伯の対米輸出全体に占める割合は、43.4%(184億米ドル)である。それでも、コーヒーや食肉を含む他の輸出品目に対しては50%の関税がかけられることとなり、伯経済が影響を被るのは必至である。但し、関税の発動は、8月1日から8月6日に延期されたため、それまでに追加関税の対象外となる品目を増やしたり、関税措置を延期する方向で交渉が行われる可能性はある。尚、ルーラ大統領は、「伯には引き続き米国との交渉に応じる用意があるが、伯の国益を守るため、伯の国内法の定める手段に訴えることは譲らない」との声明を発表した。(31日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)
(8)7月30日、ルビオ国務長官がモラエス判事にグローバル・マグニツキー人権説明責任法を適用し、同判事をその対象者リストに記載したと発表した。同長官は、「これが人権を侵害している者への警告となることを期待している。裁判官の法服が彼らを守ることはない」とXに投稿。ベッセント米財務長官は、「同判事は、検閲や不当逮捕や政治的にバイアスのかかった裁判により弾圧を行い、ボルソナーロ前大統領等の人権を侵害している」とコメント。マグニツキー法の適用により、米国にある資産の凍結、米国への入国禁止等の制裁措置が講じられることになるが、モラエス判事は米国内に預金や不動産等の資産は持っておらず、また、同判事の米国への入国査証は2年前に期限切れとなっており、更に同判事には既に18日の時点で査証の発給制限が講じられている。但し、同判事は、(ビザやマスターカード等)米国系のクレジットカード会社や伯の金融機関(米国内で活動したり、米国の金融機関と取引のある)のサービスを受けられなくなる可能性がある。また、米国系のIT企業やSNSも利用できなくなる恐れがある。(31日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(9)STFは30日、モラエス判事にマグニツキー法が適用された件に関し、「STFは、ボルソナーロ前大統領を含むクーデター未遂の裁判に関して如何なる圧力にも屈しない」との声明を発表。バホーゾ・STF長官は、モラエス判事を支持すると表明すると共に、「(米国との)摩擦をこれ以上エスカレートさせるつもりはない。STFは、適正手続に則り、憲法上の職務を遂行しているだけである」と強調した。ルーラ大統領は、「伯は、主権を持った民主国家であり、人権と三権分立を尊重している。伯の司法機関に対する米国の干渉は容認できない。伯政府は、米国政府が政治的な理由により伯の対米輸出に対して貿易措置を行っていることに正当な理由はないと考えている」と述べた。モッタ下院議長は、「伯の国家機関の構成員に対する外国政府の制裁は、それが如何なるものであっても支持することはできない」とXに投稿した。(31日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(10)ボルソナーロ派は、米国がモラエス判事にマグニツキー法に基づく制裁を科したことに狂喜乱舞している。エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員は30日、「今は任務を遂行した気分である。トランプ米大統領と米共和党の議員には感謝の言葉しかない。モラエスが何千人ものブラジル国民に対して行っていることに比べれば、(マグニツキー法の)金融制裁はまだ軽すぎる。マグニツキー法の適用は単なる警告に過ぎない。モラエスを支持することの代償は計り知れないものとなろう。伯は、モラエスと国益の何れかを選択する時に来ている」との動画をSNSに投稿した。また、エドゥアルドは、伯連邦議会前の池に米国の空母が浮かび、今にも攻撃を開始しそうなイラストをSNSに投稿した。ソステネス・カヴァルカンテ・PL下院院内総務、ズッコ下院議員(PL-RS)、ヴァン・ハッテン下院議員(Novo-RS)等、ボルソナーロ派の議員は、「今日は歴史的な日である!」と喜びを露わにし、モラエス判事の弾劾を主張した。(31日付コレイオ・ブラジリエンセ)
(11)伯上院の代表団と面会した米国の議員が「伯がロシアとの関係を見直さなければ、90日後に伯に対して新たな制裁が科される可能性がある」と伯側に伝えていたことが判明。現在、米国議会では、ロシアとの貿易を行っている国に対して自動的に制裁を行えるようにするための法案の審議が行われており、共和党だけでなく、民主党もこれに賛成していることから、近い内に成立すると見られている。伯は、ロシアから肥料と石油を輸入しており、米国はこれがウクライナ紛争を継続するための資金源になっていると見ている。(31日付コレイオ・ブラジリエンセ)
2.ルーラ政権
AtlasIntel社が7月25日から28日にかけて7334人を対象に実施した世論調査によると、政府支持率が7ヶ月振りに不支持率を上回った。今回の調査では、政府支持率は前回(7月13日)調査に比べて0.5ポイント上昇して50.2%となり、7ヶ月振りに50%を上回った。不支持率は、0.6ポイント低下して49.7%であった。ルーラ政権に対する評価は、「悪い/非常に悪い」48.2%(0.8ポイント減)、「非常に良い/良い」46.6%(3.2ポイント増)、「普通」5.1%(2.1ポイント減)。「ルーラ大統領についてはポジティブなイメージを持っている」と答えたのが51%(本年6月比4ポイント増)であったのに対し、「ネガティブなイメージを持っている」は48%(5ポイント減)であった。ボルソナーロ前大統領の場合は、「ポジティブなイメージ」44%(2ポイント減)、「ネガティブなイメージ」55%(2ポイント増)であった。(31日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

