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2025年6月 ブラジル関連情報


 

2025年6月ブラジル関連情報

 

1.ルーラ政権

(1)モッタ下院議長は29日、各党の代表と会合を行った後、「政府に対し、10日以内に金融取引税(IOF)増税の代替案を提示することを求める。これに応じない場合、議会は、IOF増税の廃止に関して採決を行う」と表明した。同議長は、アダッジ財務相の発言(財政均衡化のためにはIOF増税が不可欠であり、議会がこれを廃止するのであれば、連邦最高裁判所(STF)に訴える)に関し、「そのような反応は自体を悪化させるだけである。我々は何も国中に火をつけて回ろうとしているわけではない。STFに訴えることは大きな政治的過ちである。議会は、税制上の優遇措置の見直し、議員割当金の削減等について議論することで財政の均衡化に貢献できる。政府も行政改革(公務員制度改革)等を行うことによって歳出削減を目指すべきである」と述べた。尚、ルーラ大統領は、アダッジ財務相がIOF増税の件で孤立していることを受け、パラナ州で行われた土地なし農民運動(MST)のイベントに出席した際、アダッジを称賛し、擁護した。(5月30日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)政府筋によると、政府が金融取引税(IOF)の増税に固執しているのは、議員割当金(emenda parlamentar。500億レアル)の削減を議会に迫るためである。先週、財務省が発表した本年度予算の凍結では、70億レアル相当の議員割当金が凍結されることになっているが、政府はそれ以上の額を削減しようとしている。そのため、政府は、財政難を訴え、IOF増税を撤回するためには、議員割当金の大幅削減も止む無しとの世論を醸成しようとしている。(6月2日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)アダッジ財務相は2日、アルコルンブレ上院議長及びモッタ下院議長とIOF増税に関して協議を行った結果、本日(3日)中にIOF増税の代替案をルーラ大統領に提出することを約束した。尚、連邦議会では、政府に対して大幅な歳出削減を求める声が高まっているが、司法機関の超高給(スーパーサラリー)抑制や軍人年金制度の見直し等、歳出削減につながる法案の審議は止まったままとなっている。(6月3日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)アルキミン副大統領(72歳)は29日、腹痛を訴えたため、ブラジリア市内の病院で診察及び検査を受けたところ、胃腸炎と診断された。アルキミンは、病院で治療を受けた後、症状が改善されたので、その日の内に退院した。(5月30日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(5)AtlasIntel社が5月19日から23日にかけて4399人を対象に実施した世論調査の結果は以下の通り。①ルーラ大統領の支持率:45.4%(前月比0.7ポイント減)で、不支持は53.7%(3.6ポイント増)、分からないは0.7%(3.1ポイント減)。不支持率は昨年1月以降、最も高い数字となった。その原因は、国家社会保障院(INSS)の不正にあると見られている。②ルーラ政権に対する評価:「非常に良い/良い」41.9%(0.3ポイント減)、「普通」6%(3.6ポイント減)、「悪い/非常に悪い」52.1%(4.4ポイント増)。③今、伯で問題となっているのは何か(回答者は問題を3つ挙げることができる):汚職が前回から12.5ポイント増えて59.5%となり、2位から1位に浮上。前回1位の治安は、50.2%(4.8ポイント減)で今回は2位となり、経済/インフレは29.4%(1.6ポイント減)で前回と同じ3位であった。(5月30日付ヴァロール・エコノミコ電子版)


2.クーデター未遂

(1)29日、トーヘス元法務治安相の証人としてSTF第1小法廷で証言を行ったビアンコ元連邦総弁護庁(AGU)長官は、「2022年大統領選の後、各軍司令官とともに、当時のボルソナーロ大統領との会議に出席した。大統領から『法律的な観点から大統領選が不正であったと言えると思うか。何か法的に間違ったことは無かったか。選挙の無効を訴えることは可能か』と聞かれたので、選挙は公正であり、法的には全く問題ないと答えた。大統領は、少なくともその時は納得していたようであった」と述べた。(5月30日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)30日、ボルソナーロ前大統領の証人として証言台に立ったフレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)は、「自分がボルソナーロ政権の閣僚を務めていた期間、また、2022年大統領選の後、ボルソナーロと話した時にはクーデターについて言及したことはなかった。ボルソナーロは、落選後、落ち込んでいて、(クーデターを起こすような)元気はなかった」と述べた。(5月31日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)モラエス・STF判事は2日、クーデター未遂で起訴された34名の内、ボルソナーロ前大統領、ブラガ・ネット元文官長、トーヘス元法務治安相、エレーノ元大統領府安全保障局長官等、「第1グループ」(クーデター未遂の首謀者)を構成する8名の被告人質問を今月9日(月)午後に実施することを決定した。(6月3日付コレイオ・ブラジリエンセ)


3.司法

(1)連邦警察は、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員(PL-SP)が米国政府及び議会に対して伯の司法機関に対する制裁を求めている件に関し、モラエス・STF判事の決定を受け、父親のボルソナーロ前大統領の事情聴取を6月5日に行うことを決定した。尚、エドゥアルドに近い筋によると、エドゥアルドは、米国に滞在したまま、明年の選挙に出馬することを検討中。自身に関して捜査が行われている内は伯に帰国することはない模様。尚、STF判事の間では、ヴィエイラ外相がルビオ米国務長官の発言(米がモラエス判事に対する制裁を実施する可能性は大いにある)に対して抗議しなかったことに不満の声が上がっている。(5月30日及び31日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)法務治安省は30日、モラエス・STF判事が伯におけるRumbleのサービス停止を決定した件に関し、米国務省から抗議文を受け取ったことを確認した。29日付ニューヨークタイムズ紙によると、米国務省は、「モラエス判事は、伯国内において法律を適用することはできるが、米国で活動している企業に対して命令することはできない」と抗議した。モラエス判事は本年2月、Rumbleがボルソナーロ派のインフルエンサー(ブラジル人)のアカウント停止命令に応じなかったことにより、伯国内でのサービスを停止した。米国務省西半球局(WHA)は30日、「米国人の表現の自由を侵害する敵は誰であっても許されることはない」とポルトガル語でXに投稿した。(5月31日付コレイオ・ブラジリエンセ及びオ・エスタード・デ・サンパウロ)


4.2026年選挙

ボルソナーロ前大統領は30日、「トランプ米大統領の協力により、明年の(大統領)選挙に勝つ。エドゥアルド・ボルソナーロは、帰国すれば、逮捕されるので、米国に滞在し続けるであろう」と述べた。ルーラ大統領は1日、PSB党大会に出席した際、「自分にやる気がある限り、極右が政権に返り咲くことはない」と述べ、次期大統領選出馬への意欲を示した。また、ルーラは、「(大統領だけではなく)上下両院で過半数を抑える必要がある。ボルソナーロ派が上院の過半数を抑えれば、連邦最高裁判所(STF)が蔑ろにされ、伯の民主主義が危うくなる」と述べた。更にルーラは、米国(自分は米国の司法を批判したことはないが、米国はモラエス判事に制裁を科そうとしている)とイスラエル(ネタニヤフ首相は、ガザ地区を支配するために殺戮を行っている)を批判した。(5月31日及び6月2日付コレイオ・ブラジリエンセ)


5.外交

(1)国際会議に出席するためにモスクワに赴いたアモリン大統領補佐官は28日、ラブロフ露外相と会談を行った。同外相が「伯は、ウクライナ紛争の根本的原因にもっと理解を示すべき」と述べ、ロシアに対する支援を求めたの対し、アモリンは、「伯はウクライナ紛争については中立の立場を取っている。国連の非難決議には2回とも賛成したが、西側の対露制裁は批判している」と返した。ロシアは、伯のことを中立ではなく、ロシア寄りと考えている節がある。ロシアがルーラ大統領を戦勝記念式典に招待したのもその表れである。(5月30日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)在伯米国大使館は、伯の治安に関する警戒レベルを引き上げ、米国の旅行者に対し、「伯では、殺人や強盗や誘拐等の犯罪が頻発している」として警戒を呼び掛けている。伯と近隣諸国の国境地帯や連邦直轄区(DF)の衛星都市等の警戒レベルは紛争地域並みの4に引き上げ、近づかないよう呼び掛けている。伯観光公社(EMBRATUR)は、「米国の警戒レベル引き上げは、時代遅れで、歪曲された伯のイメージに基づいている」と反発した。(5月31日及び6月1日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ブラジリアでは、3日(火)から5日(木)にかけて、第11回BRICS議員フォーラムが開催される。11ヵ国の議員約150名が出席して、国連改革、安全保障、AI、気候変動、女性参画、貿易、持続可能な開発、保健等のテーマについて議論が行われる。2日は、BRICS・IT通信閣僚級会合がブラジリアにおいて開催された。(6月3日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.ルーラ政権

(1)ルーラ大統領は3日、記者会見を開き、これまでの成果とフランス訪問の意義について語った後、記者団の質問に答えた。米国政府がモラエス・STF判事に対する制裁を検討している件に関しては「一国の大統領が他国の最高裁の決定についてあれこれ言うのは認め難いことである。米国は、他の国の制度を尊重するのは重要であるということを理解すべきである」と述べた。また、ルーラは、「元大統領の息子である伯の下院議員(エドゥアルド・ボルソナーロ)が米国に対して伯の外交政策に干渉するよう働きかけているのは海外でテロを行っているのに等しく、反国家的行為である」と批判した。(4日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は3日、上下両院議長に対し、金融取引税(IOF)増税の代替案を来週中に発表することを約束した。政府と議会は、IOF増税がなくても、代替案により、財政目標を達成することは可能としているが、アダッジ財務相が代替案の中身を明らかにすることはなかった。(4日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)ルーラ大統領は3日、国家公務員の賃上げに関する法律、並びに公務員採用試験における黒人・先住民・キロンボーラ(逃亡黒人奴隷の子孫)の枠を全体の30%に設定するとの法律を裁可した。国家公務員の賃上げは2027年まで段階的に実施されることになっており、それによる人件費の増加は739億レアルに上る。(4日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)Genial/Quaest社が5月29日から6月1日にかけて2004人を対象に実施した世論調査の結果は以下の通り。①ルーラ政権の支持率:「支持」40%(3月比1ポイント減)、「不支持」57%(1ポイント増)、「分からない」3%(±0)。不支持率は、第3次ルーラ政権としては最も高い数字となった。不支持率は、本年1月以降、8ポイントも上昇した。その原因は、国家社会保障院(INSS)の不正と金融取引税(IOF)増税にあると見られている。②ルーラ政権に対する評価:「ポジティブ」26%(1ポイント減)、「普通」28%(1ポイント減)、「ネガティブ」43%(2ポイント増)。③伯は正しい方向に向かっているか?:「間違った方向に向かっている」61%(5ポイント増)、「正しい方向に向かっている」32%(4ポイント減)。④過去のルーラ政権との比較:「第1次及び第2次ルーラ政権の時より悪い」56%。⑤ボルソナーロ前政権との比較:「ボルソナーロ政権より悪い」44%、「ボルソナーロ政権より良い」40%。(4日付ヴァロール・エコノミコ電子版)


2.クーデター未遂

(1)ボルソナーロ前大統領がモウラォン上院議員(Republicanos-RS。前副大統領)の証人尋問(先月23日)の直前にモウラォンに電話をかけていたことが判明。連邦検察庁は、ボルソナーロがモウラォンの証言に影響を与えようとしていた形跡があるとして、最高裁に捜査の許可を求めた。モラエス・STF判事は3日、連邦警察に対し、15日以内にモウラォンの事情聴取を行うよう命じた。(4日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ボルソナーロ派のカルラ・ザンベーリ下院議員(PL-SP)は、電子投票箱及び国家司法審議会(CNJ)のコンピュータシステムにハッキングをかけたことで、2週間前に禁固10年の有罪判決を言い渡された後、海外に逃亡していたことが判明した。ザンベーリは、治療を理由に渡米しており、今後、伯への引き渡しから逃れるため、イタリア(ザンベーリは伯とイタリアの二重国籍者)に渡航する予定。モラエス・STF判事は4日、連邦検察庁の求めに応じて、ザンベーリの逮捕を命じた。連邦警察は、国際刑事機構に対してザンベーリの国際指名手配を求めた。また、モラエス判事は、ザンベーリの旅券の効力停止、並びに銀行口座等の資産凍結を決定し、下院に対して議員給与の差し押さえを要請した。(4日及び5日付コレイオ・ブラジリエンセ)


3.司法

4日、連邦最高裁判所(STF)では、SNS企業の責任に関する審理が再開された。バホーゾ・STF長官は、「これは、ビッグテック企業の民事上の責任に関する問題であり、検閲ではない。また、表現の自由の制限でもない。SNSに関する訴訟が提起されている以上、議会がSNS規制法を制定するまで、最高裁が方向性を示す必要がある」と述べた。(5日付コレイオ・ブラジリエンセ)


4.2026年選挙

Genial/Quaest社が5月29日から6月1日にかけて2004人を対象に実施した世論調査によると、現時点で大統領選の決選投票が行われると仮定した場合、±2ポイントの誤差を考慮すれば、ルーラ大統領と右派候補5名(ボルソナーロ前大統領、フレイタス・サンパウロ州知事、ミシェーレ前大統領夫人、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事及びレイチ・リオグランデ・ド・スル州知事)の支持率が拮抗しているとの結果が出ている。①ルーラ(PT)41%(3月比ポイント減)、ボルソナーロ(PL)41%(1ポイント増)、②ルーラ(PT)41%(2ポイント減)、フレイタス(Republicanos)40%(3ポイント増)、③ルーラ(PT)43%(1ポイント減)、ミシェーレ(PL)39%(1ポイント増)、④ルーラ44%(1ポイント減)、エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員(PL)34%(±0)、⑤ルーラ(PT)40%、ラチーニョ・Jr(PSD)38%、⑥ルーラ(PT)40%、レイチ(PSD)36%、⑦ルーラ(PT)42%(1ポイント減)、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)33%(2ポイント増)、⑧ルーラ(PT)43%、カイアド・ゴイアス州知事(União Brasil)33%(5日付ヴァロール・エコノミコ電子版)


5.外交

(1)4日、連邦議会において、第11回BRICS議会フォーラムが開幕した。会合では、多国間主義の脆弱化、気候変動、社会格差及びIT革命がテーマとして取り上げられ、グローバルサウスが連携してこれらの課題に取り組むことが強調された。(5日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は4日、閣僚7名(外務、法務治安、港湾・空港、農務、文化、鉱山エネルギー、環境)及び連邦議員7名とともにパリに到着した。ルーラは5日、マクロン仏大統領に対し、「伯がメルコスールの議長国を務める半年間の内にEU・メルコスール・FTAを締結したい。マクロン大統領には心を開いてもらいたい。必要であれば、FTAに反対しているフランスの農業生産者と会って話をする用意がある」と述べた。これに対し、マクロンは、「フランスは、FTAの交渉に賛成しているが、現状では、フランスの農業にリスクをもたらす可能性があり、保護措置に関する条項等を改善する必要がある。フランスは、貿易の拡大を望んでいるが、農業生産者は尊重しなければならない」と述べた。また、ルーラは、「FTAの締結は難しいことではない。伯は、フランスからのワインの輸入を容易にしているし、また、伯ほど、環境に配慮している国はないからである」と述べた。更にルーラは、「主要国は、イスラエルにパレスチナに対する攻撃を止めさせるべきである。これは戦争ではなく、ジェノサイドであり、我々はこれを受け入れるべきではない」とイスラエルを批判した。(5日付フォーリャ・デ・サンパウロ及びヴァロール・エコノミコ電子版)

 

1.ルーラ政権

(1)政府は8日、金融取引税(IOF)増税の代替案を発表した。これは、IOF増税後の税率を平均65%引き下げる代わりにスポーツ賭博の増税(税率を12%から18%に引き上げる)、フィンテックに対する増税、LCI(不動産信用証券)、LCA(アグリビジネス信用証券)等の金融商品から所得税(5%)を徴収(現在は無税)、自己資本利子に対する増税、並びに金融投資に対する税率を現在の15%~22%から17.5%に統一することで、IOF増税を削減した分を補填するというものであるが、基本的に新たな増税であり、歳出削減は含まれていない。アダッジ財務相は9日、上下両院議長と右代替案について協議を行ったが、モッタ下院議長は、「この暫定措置令が議会で承認されるとの保証はない」と述べた。議会では、野党を中心に、新たな増税に反対する声が高まっている。アダッジは10日、批判に対し、「これらの政策が一般国民の生活に影響を及ぼすことはない」と強調した。連邦政府は11日夜、上記の内容を盛り込んだ暫定措置令と政令を発令した。アダッジ財務相は、下院財政・税制委員会の公聴会に出席した際、増税に対する批判に対し、「これは税制の歪みを是正するための措置であり、これにより、国民負担率が上昇することはない」と反論した。16日、下院では、5月末に導入されたIOF増税の廃止法案の緊急審議動議が賛成346、反対97で可決され、政府与党が敗北を被った。これにより、同法案は、委員会を通ることなく、直接、本会議にかけられることとなったが、その日程は未定となっている。(10日~17日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ダタフォーリャ社が今月10日から11日にかけて2004人を対象に実施した世論調査の結果は以下の通り。

・ルーラ政権に対する評価:「悪い/非常に悪い」40%(4月比2ポイント増)、「普通」31%(1ポイント減)、「非常に良い/良い」28%(1ポイント減)。今回の調査では、4月に観測された支持率上昇にブレーキがかかった形となった。国家社会保障院(INSS)の不正が原因と思われる。

・ルーラ大統領の支持率:支持46%(4月比2ポイント減)、不支持50%(1ポイント増)。

・ルーラ政権とボルソナーロ政権の比較:貧困対策、雇用創出、教育、環境、住宅及び保健の6分野に関しては、「ルーラ政権の方が良い」との回答が40%前後を占め、「ルーラ政権の方が悪い」を上回ったが、治安(46%)及びインフレ対策(50%)に関しては、「ボルソナーロ政権より悪い」が「良い」を上回った。

・伯の将来に対する展望:悲観的50%、楽観的31%、どちらでもない19%。

・ジャンジャ大統領夫人の評価:「邪魔するよりも役に立っていることの方が多い」14%、「役に立つよりも邪魔することの方が多い」36%、「どちらでもない」40%、「分からない」10%。

・INSS(国家社会保障院)の不正に関してルーラ大統領に責任はあると思うか:「大いにある」50%、「少しはある」28%、「全くない」16%、「分からない」7%。

・次期大統領選:①ルーラ(PT)36%、ボルソナーロ(PL)35%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)7%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)5%、カイアド・ゴイアス州知事(ユニオン)5%。②ボルソナーロ(PL)37%、アダッジ財務相(PT)23%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)9%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)6%、カイアド・ゴイアス州知事(ユニオン)5%。③ルーラ(PT)37%、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)21%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)11%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)6%、カイアド・ゴイアス州知事(ユニオン)6%。④ルーラ(PT)37%、ミシェーレ前大統領夫人(PL)26%、ラチーニョ・Jr・パラナ州知事(PSD)9%、ゼマ・ミナスジェライス州知事(Novo)7%、カイアド・ゴイアス州知事(ユニオン)6%。

・次期大統領選決選投票:①ルーラ(PT)43%(4月比5ポイント減)、フレイタス(Republicanos)42%(3ポイント増)、②ルーラ(PT)46%(4ポイント減)、ミシェーレ(PL)42%(4ポイント増)、③ボルソナーロ(PL)45%(4ポイント増)、アダッジ(PT)40%(5ポイント減)、④ボルソナーロ(PL)45%(5ポイント増)、ルーラ(PT)44%(5ポイント減)。

(13日~17日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)Ipsos/Ipec社が今月5日から9日にかけて2千人を対象に実施した世論調査の結果は以下の通り。

・ルーラ政権に対する評価:「悪い/非常に悪い」43%(3月比2ポイント増)、「普通」29%(1ポイント減)、「非常に良い/良い」25%(2ポイント減)。「悪い/非常に悪い」の43%はルーラ3期目で最も高い数字となった。

・ルーラ大統領の支持率:支持39%(3月比1ポイント減)、不支持55%(±0)。支持率は、ルーラの就任以降、18ポイントも下落した。(12日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(4)連邦議会の政府に対する不満が高まっているのは議員割当金(emenda parlamentar)の支給が滞っているためである。本年度の議員割当金は、合計504億レアルであるが、これまでに支給されたのは310万レアルに過ぎない。政府は、議員割当金を支給するための予算として1.52億レアルを準備しているが、トータルの504億レアルには遠く及ばない。(17日付コレイオ・ブラジリエンセ)


2.クーデター未遂

(1)ボルソナーロ前大統領は5日、三男エドゥアルド・ボルソナーロ下院議員(PL-SP)の米国逃亡に関して連邦警察の事情聴取を受けた。ボルソナーロは、「エドゥアルドに米国での生活費として200万レアルを送金した。これは合法的な金である。尚、米国政府及び議会に伯の司法機関に対する制裁を呼び掛けるよう、エドゥアルドに指示したことはない」と述べた。また、カルラ・ザンベーリ下院議員の国外逃亡を支援したことはないと主張した。(6日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)5日、ボルソナーロ派のカルラ・ザンベーリ下院議員(PL-SP)は、国際刑事機構から国際指名手配(赤手配)された。イタリアの主要紙によると、ザンベーリは、ローマ市内に潜伏している模様。6日、ザンベーリの控訴が連邦最高裁判所(STF)によって棄却されたことにより、禁固10年の有罪判決が確定した。PTは、下院倫理委員会に対し、ザンベーリの議員資格剥奪を求めた。7日、モラエス・STF判事がザンベーリに対する刑の執行を命じ、法務治安省に対し、ザンベーリの引き渡し請求を求めた。12日、伯政府がイタリア政府に対してザンベーリの引き渡しを要請した。(6日~13日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(3)9日、クーデター未遂の裁判に関し、マウロ・シディ元大統領付副官とアレシャンドレ・ラマージェン下院議員(PL-RJ。元伯情報庁(ABIN)長官)の被告人質問が行われた。マウロ・シディは、「ルーラ大統領の就任を阻止し、ボルソナーロ前大統領の続投を可能にするためのクーデター計画は存在した。2022年末の会議で、ボルソナーロは、クーデターを決行するための大統領令の案文を読み上げ、修正を加えた。それは、連邦最高裁判所の判事全員を逮捕するというのを逮捕するのはモラエス判事に限定するというものであった」と証言したが、その一方で、「クーデターを主張した軍人は、強がっていただけであった。(クーデターの大統領令について協議した)会議は、酒の席の与太話であった」と述べ、クーデター計画の矮小化に努めた。ラマージェンは、クーデター計画への関与及びABINの政治利用は否定した。また、電子投票システムには何の問題もなく、2022年の選挙で不正が行われたとの証拠はないと認めた。(10日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(4)10日、ボルソナーロ前大統領の被告人質問が行われた。ボルソナーロは、ルーラ大統領の当選を無効にするための合法的な方策について軍関係者等と協議したことは認めたが、「クーデターを行う機会はなかった。自分や各軍司令官もクーデターについて発言したことはない。クーデターは忌むべきものである。始めるのは容易いが、その後は予測がつかない」として、クーデター計画への関与は否定した。また、ボルソナーロは、これまで連邦最高裁判所(STF)とモラエス判事を繰り返し攻撃したことを謝罪すると共に、冗談と前置きした上で、モラエス判事に「自分(ボルソナーロ)の副大統領候補にならないか」と述べて聴衆の笑いを誘った。これに対し、モラエス判事は「却下する」と一刀両断した。(11日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)ガルニエール元海軍司令官は、10日の被告人質問の際、クーデター計画に賛同し、そのために海軍を出動させると発言したことを否定した。エレーノ元大統領安全保障局(GSI)長官は、弁護人の質問にだけ答え、モラエス判事の質問には黙秘を通した。ノゲイラ元国防相は、電子投票システムは信用できないとして、選挙高等裁判所を非難したことを謝罪した。ブラガ・ネット元文官長は、マウロ・シディ元大統領付副官の証言を否定し、「私が現金をワインの箱に詰めて(ルーラ等、要人暗殺の軍資金として)陸軍特殊部隊に手渡したとの事実はない」と強調した。トーヘス元法務治安相は、クーデター計画に関する大統領令の案文がトーヘスの自宅から押収された件に関し、「その件について(ボルソナーロ)大統領と話したことはない。案文が入ったファイルは、私のスタッフによって準備されたものであったが、それは破棄されるべきものであった。私の自宅から見つかったのは運命であったとしか言いようがない」と述べた。(11日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)

(6)13日、マシャード元観光相(ボルソナーロ政権)がモラエス・STF判事の命令により逮捕されたが、その日の内に条件付きで釈放された。マシャードは、マウロ・シディ元大統領付副官が国外に逃亡するためにポルトガルの旅券を入手しようとしたとされるが、マシャード本人はこれを否定しており、マウロ・シディも国外逃亡を否定している。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)


3.連邦議会

PSDBは5日、Podemosとの合併を決定した。合併後の新党は、下院の第7勢力(28議席)、上院の第4勢力(7議席)となる。新党の名称等は未定であるが、合併の手続は来週中にも完了する見込み。(6日付コレイオ・ブラジリエンセ)


4.司法

(1)Rumbleとトランプ米大統領のTruth Socialは6日、フロリダ連邦裁判所において、モラエス・STF判事に対して賠償を請求するための民事訴訟を起こした。原告は、「モラエスは、Rumbleの伯におけるサービス停止を決定する等、SNS企業に猿轡をかまし、検閲を行うことで、Rumbleに損失を与えている」と主張している。(7日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)11日、連邦最高裁判所(STF)では、SNS企業の責任に関する審理が再開され、メンデス判事とモラエス判事が「SNS企業は、SNS上に投稿された偽情報や誹謗中傷に対して責任を負う」との評決を行ったことで、STFの過半数(6名)を超える7名の判事がSNS企業の責任を認めた。今のところ、SNS企業には何の責任もないと主張したのはメンドンサ判事のみとなっている。(13日付コレイオ・ブラジリエンセ)


5.外交

(1)訪仏中のルーラ大統領は6日、伯仏経済フォーラムに出席した際、「本年末までにEU・メルコスール・FTAを締結する。これについてはマクロン仏大統領にも繰り返し支持を求めた。フランスの農家が反対しているのであれば、両国の農家のために話し合いの場を設けたらいい。そうすれば、互いに競合相手ではなく、補完的な関係にあることに気付くであろう」と述べた。ルーラは7日、「フランス企業15社と、2030年までに合計1千億レアルを伯に投資することで合意した。中国と日本の対伯投資を合わせれば、これで伯の大統領として為すべきことは為したと言える」と述べた。記者から度重なる外遊の意義と費用について問われたルーラは、今回の訪仏で1千億レアル相当の投資を取り付けたことを成果として強調した。(7日及び8日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ルーラ大統領は9日、第3回国連海洋会議(Unoc3)の開会式で演説を行った際、「ブルー・アマゾン(アマゾン沿岸)とアマゾンは気候変動の影響を受けている。ベレンで開催されるCOP30では重要な決定が行われなければならない。アマゾンの保護を訴える人は、COP30に出席すべき」と呼びかけた。尚、ルーラは、本会議にも出席する予定であったが、風邪を理由に欠席した。ルーラは、5日夜、マクロン仏大統領との写真撮影(伯国旗のカラーにライトアップされたエッフェル塔を背景に撮影)に臨んだが、その際に雨に濡れたのが良くなかったとみられる。(10日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(3)ルーラ大統領は11日、カーニー・カナダ首相の招待により、今月17日にカナダのカナナスキスで開催されるG7サミットに出席すると発表した。カーニー首相は、COP30への出席を確認している。(12日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(4)13日、ブラジリアにおいて、伯・カリブ共同体(Caricom)首脳会議が開催された。ルーラ大統領は、Caricomと交通インフラ整備、飢餓対策等に関する6つの取極を締結した。(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(5)伯外務省は13日、イスラエルがイランを攻撃した件に関し、「伯政府は、攻撃を強く非難し、強い懸念とともに注視している。攻撃は、(イランの)国家主権を侵害しており、国際法に違反している。攻撃は、地域全体を大規模な紛争に巻き込む恐れがある」との声明を発表した(14日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(6)現在、イスラエルには、ロシャ・ロンドニア州知事、ダミアォン・ベロオリゾンテ市長等、伯の地方政府の首長及び関係者38名がイスラエル政府の招待により同国を訪問しており、イスラエルとイランの紛争が激化していることにより、テルアビブのホテルに設置されたシェルターに避難している。16日、右38名の内、12名がヨルダン経由でサウジアラビアに入国したことが判明。残りの26名は現在もテルアビブ市内で出国の機会を窺っている。(15日及び17日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.ルーラ政権

(1)連邦議会では、金融取引税(IOF)増税廃止法案の緊急審議動議が可決されたが、政府は、IOF増税の内容を修正し、また、議員割当金(emenda parlamentar)の支出に応じる(先週だけで6.24億レアルを拠出)等して、IOF増税が100%廃止されることは阻止しようとしている。24日に各地(特に北東部)で開催されるサン・ジョアン祭り(フェスタ・ジュニーナ)により、今週は議会がほぼ機能しないことから、政府は、IOF増税を維持するための時間が稼げることになる。尚、ホフマン政治調整庁長官)(PT)は20日、財政政策に対する批判に対し、「政府は、新たな財政的枠組(arcabouço fiscal)を守っており、財政の健全化に努力している。歳出の増加は、中銀の高金利政策が原因である。また、ボルソナーロ前政権が『歳出上限(teto de gastos)』を無視して歳出を増やしたことも影響している」と反論した。(21日付コレイオ・ブラジリエンセ及び23日付ヴァロール・エコノミコ電子版)

(2)リオグランデ・ド・スル州では、107の市が水害の被害に遭っており、21日までに3人が死亡し、8千人が避難所に避難している。同州では昨年5月に歴史的な大水害が発生した。レイチ・リオグランデ・ド・スル州知事は、被災地の緊急支援に6千万レアルを拠出すると発表。(21日~22日付各紙)


2.クーデター未遂

ボルソナーロ前大統領は20日、ゴイアニア市内で開かれたイベントに出席した際、気分が悪くなり、その後の日程をキャンセルしてブラジリアに戻った。その前日、ボルソナーロはスピーチの途中で具合が悪くなり、「体調が良くない。1日に10回ぐらい吐いている」と述べた。21日、ボルソナーロはブラジリア市内の病院で検査を受けた結果、肺炎と診断された。(21日及び22日付コレイオ・ブラジリエンセ)


3.連邦議会

連邦議会では、大統領、知事及び市長の任期を現在の4年から5年に延長する代わりに連続再選を廃止するとの憲法改正案の審議が行われているが、ダタフォーリャ社の世論調査によると、回答者の57%は「大統領には連続再選の権利を認めるべき」と答えており、「認めるべきではない」は41%にとどまっている。知事及び市長についてもほぼ同様の結果が出ている。尚、任期を4年から5年に延長する案については、賛成が59%で、反対が37%となっている。(22日付フォーリャ・デ・サンパウロ)


4.2026年選挙

これまで、中道派勢力「セントラン」を構成する各党は、ルーラ大統領の再選を支持し、その副大統領候補の座を巡って争っていたが、ルーラの支持率低下に伴い、フレイタス・サンパウロ州知事(Republicanos)等、中道右派の候補に乗り換える動きを見せている。そのため、ルーラが再選立候補する場合、引き続きアルキミン副大統領(PSB)がルーラとコンビを組む可能性が高いと見られているが、中道派の中でもMDBだけは、PTと連立を組み、ルーラの副大統領候補を指名することに関心を示している。MDBの副大統領候補として名前が挙がっているのは、バルバーリョ・パラー州知事、レナン・フィーリョ運輸相及びテベッチ企画予算相の3名。但し、ヌネス・サンパウロ市長やテメル元大統領等、MDB内の反PT派は、PTとの連立に反対している。(21日付フォーリャ・デ・サンパウロ)


5.外交

(1)ルーラ大統領は22日、イランの核施設に対する米国の攻撃に関してコメントしなかったが、伯外務省は、「伯は、(イランの核施設に対する)空爆を非難すると共に、外交による解決がなされず、中東における軍事衝突がエスカレートすることを懸念している。イランの核施設に対する攻撃は、国連憲章及びIAEAの規則に違反している。伯は、人口密集地帯に対する双方の攻撃も非難する」との声明を発表した。伯政府は、7月のBRICS首脳会議でも同様の主張を行うと見られている。また、伯政府は、イスラエルとイランの紛争激化に伴い、両国に在留しているブラジル人の救出作戦について検討中。在イスラエル伯大使館は、帰国を希望するブラジル人の登録を開始し、伯空軍は、空軍機派遣の準備を進めている。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)ロシアの政府系報道機関によると、プーチン露大統領は、7月にリオデジャネイロで開催されるBRICS首脳会議に出席する方向で検討している。但し、クレムリンのウシャコフ特別補佐官は、「(プーチンの)出席のフォーマットは未定である」としている。尚、国際刑事裁判所は、戦争犯罪の容疑により、プーチンに逮捕状を出している。(23日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

1.ルーラ政権

(1)国家社会保障院(INSS)は24日、年金受給者から詐取された組合費又は会費の払い戻しを来月24日から開始すると発表した。2019年から2024年にかけて、年金受給者の同意を得ずに徴収された組合費等は63億レアルに上る。24日現在、払い戻しを請求している年金受給者は、346万人に上っている。INSSは、「できるだけ早急に全額を払い戻すことを約束する」と述べている。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)25日、下院において、金融取引税(IOF)増税廃止法案が賛成383、反対98の圧倒的多数により可決された。その後、同法案は、上院においても可決され、政府が敗北を被った形となった。今週は、議会が空転するので、同法案の採決が行われることはないと見られていたが、モッタ下院議長が25日の議題に取り上げ、対面とオンラインの両方で採決を行うことを決めたため、急転直下、同法案の成立に繋がった。これに対し、政府は、連邦最高裁判所(STF)への提訴を検討中。25日の採決では、野党だけでなく、ユニオン・ブラジル等の中道派(セントラン)、並びにPSB等、PT以外の左派政党の一部もIOF増税に反対票を投じており、連邦議会における政府の支持基盤はかってないほど弱体化している。ホフマン政治調整庁長官(PT)によると、IOF増税が否決されたことにより、政府は、本年度だけで100億レアル相当の歳出を削減する必要に迫られる。そのため、ルーラ政権の目玉政策である家庭用ガス購入支援プログラム(Auxílio Gás)、住宅供給プログラム(Minha Casa Minha Vida)、中等教育支援プログラム(Pé-de-Meia)等の予算が不足する可能性がある。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ)


2.クーデター未遂

24日、連邦最高裁判所(STF)において、ブラガ・ネット元文官長とマウロ・シディ元大統領付副官の対面による尋問(acareação)が行われた。マウロ・シディは、「2022年末にボルソナーロ派が陸軍司令部前でキャンプを設営し、翌年1月8日の三権襲撃まで居座った際、その費用としてキャンプの主催者に渡すよう、ブラガ・ネットから現金を受け取った。受け渡しは、大統領公邸において行われた」と主張したが、ブラガ・ネットは否定した。また、マウロ・シディが「2022年11月、陸軍関係者がブラガ・ネットの自宅に集まり、ルーラの就任を阻止し、クーデターを決行するための計画を練るための会議が開かれた」と供述したところ、ブラガ・ネットは、陸軍関係者の訪問を受けたことは認めたが、クーデター計画について会議が行われたことは否定した。ブラガ・ネットとボルソナーロ前大統領の弁護団は、「マウロ・シディは、虚偽の供述を行った」と批判。尚、24日は、ゴメス元陸軍司令官がSTFに対して「トーヘス元法務治安相の自宅から押収されたクーデター計画書(大統領令の案文)と、ボルソナーロ前大統領が2022年12月に陸・海・空各軍司令官に提示した計画書は酷似している」と供述した。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ及びヴァロール・エコノミコ電子版)


3.連邦議会

(1)24日、上院において、国営企業の役員の内、最低30%は女性を任命するとの法案が可決され、大統領の裁可に付された。伯では、国営企業を含む上場企業において女性が役員に占める割合は10%に過ぎない。(25日付コレイオ・ブラジリエンセ)

(2)上院では、連邦下院の議員定数を現在の513名から531名に増加するための法案の審議が行われているが、NGOのMovimento de Combate à Corrupção Eleitoral(MCCE)は、「議員定数が拡大されれば、その分、連邦議会を維持するためのコストが上昇する。連邦政府が財政難に苦しんでおり、国民が困窮している今、議会のコストを増やすのは不適切であり、反道徳的ですらある」と批判している。連邦下院議員一人当たりにかかる費用は年間360万レアルとされており、議員定数が531名に増えれば、年間6460万レアルの支出増となる。ダタフォーリャ社の世論調査では、国民の76%が連邦下院の議員定数拡大に反対している(賛成は20%)。25日、上院において、同法案が賛成41により可決された。同法案は、上院で修正されたため、再び、下院に戻されたが、異例のスピードで審議が行われ、その日の内に下院でも可決された。これにより、明年の選挙からパラー州とサンタカタリナ州の議席数が各4議席、アマゾナス州、マットグロッソ州及びリオグランデ・ド・ノルテ州が各2議席、ゴイアス州、ミナスジェライス州、パラナ州及びセアラ州が各1議席増えることで、連邦下院の議員定数は513名から531名に増えることとなった。(25日及び26日付コレイオ・ブラジリエンセ)


4.司法

 25日、連邦最高裁判所(STF)では、SNSユーザーの投稿に対するSNS企業の責任(インターネット基本法第19条の合憲性)に関する審理が再開された。カルメン・ルシア判事が「SNSの規制は必要であり、それは検閲を禁止する憲法に反しない」として、裁判所の命令が無くても、SNS企業には不適切な投稿の削除要請に応じる責任があるとの主張を支持した。これに対し、ファキン判事は、「SNSの規制、並びにSNS企業の責任については、司法ではなく、議会が決定すべきである」と反対意見を述べ、スコアが規制に賛成8、反対2となったところで、休廷となった。本件に関する審理は、ヌネス・マルケス判事の評決を残すのみとなった。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ及びフォーリャ・デ・サンパウロ)


5.2026年選挙

ボルソナーロ前大統領は、被選挙権が停止されているにも拘わらず、明年の大統領選には右派の代表として出馬すると未だに公言しているが、これまでボルソナーロを支持してきた牧畜業界からは、「ボルソナーロは、出馬を諦めて、早々にフレイタス・サンパウロ州知事の大統領選出馬を支持すべき」との声が上がり始めている。(25日付フォーリャ・デ・サンパウロ)


6.外交

(1)アモリン大統領補佐官によると、来月6日及び7日にリオデジャネイロで開催されるBRICS首脳会議には、中国の習近平国家の代わりに李克強首相が出席する可能性がある。国際刑事裁判所から逮捕状が出されているプーチン露大統領も出席しなければ、今回の首脳会議は空洞化しかねない。尚、他の創設メンバー国(インド及び南ア)の首脳は出席する予定。モディ印首相は、BRICS首脳会議に出席した後、伯を国賓訪問する予定。(25日付フォーリャ・デ・サンパウロ)

(2)ルーラ大統領は25日、「世界では、7.3億人が飢えに瀕しているというのに、戦争には2.7兆米ドルも使われている。平和と建設よりも死と破壊を選ぶ国家元首にヒューマニズムはあるのか?」と批判した。また、ルーラは、「米国のような国の大統領は、よく考えた上で発言し、その発言には気を付けるべきである。インターネット上での受けを狙うのではなく、国家元首として、平和や多国間主義について考えるべきである」と述べ、トランプ米大統領を名指しすることなく批判した。(26日付コレイオ・ブラジリエンセ)

 

 

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