「日本移民は壮大な民族学的な実験だ。この実験の結果がどうなるのか？　ブラジルという”人種のるつぼ”に叩き込まれた大和民族がどんな風に変容していくのかに興味がある」と語っていたのは、邦字紙ニッケイ新聞の元編集長・吉田尚則氏でしたが、2004年に吉田氏の後釜として同紙編集長となり、同紙が終刊となって、その実質的な後継紙である「ブラジル日報」が2022年に創刊されてからは、同紙編集長として活躍されてきているのが深沢正雪さんです。

　広いブラジルの北から南まで全国各地の日系社会を取材・調査されてきた深沢さんは、その成果を紙上で記事として掲載しただけでなく、何冊もの著作にまとめて刊行してきております。

　代表的なものを列記しますと、①『一粒の米もし死なずば』（2014年）、②『「勝ち組」異聞』（2017年）、③『移民と日本人』（2019年）（版元はいずれも無明舎出版）となりますが、①はレジストロ地方入植百周年の歴史と現状を深く掘り下げ、②は終戦後の「勝ち組」「負け組」抗争の実相を冷静な視点から見直し、③はより総体的にブラジル日本移民史を読み直した作品となっております。

　このように深沢さんは、歴史社会学者の視点を有するジャーナリストですが、この度、当協会のオンライン講演会に登壇していただけることになりました。講演の演題は、「ブラジル日系社会の世代交代と文化変容」であり、盆踊りや巻き寿司といった具体的な事例を捉えながらわかりやすく語っていただく、絶好の機会となります。

是非ご参加願います。