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FIFA2026 World Cup北中米大会よもやま話

  • 2 時間前
  • 読了時間: 19分

執筆者:桜井 悌司 氏(日本ブラジル中央協会&ラテンアメリカ協会顧問)


★★★この記事は執筆者の許可を得て伯学コラムに掲載させて頂きます。★★★


FIFA2026ワールドカップ北中米大会が、米国、カナダ、メキシコで6月11日から7月19日まで開催される。今回のワールドカップの出場国は48ヶ国と前回のカタール大会の32ヶ国から一気に16ヶ国が増加した。サッカーの世界的人気もこれあり、様々なエピソードや興味あるニュースが出てきた。この記事は、それらのよもやま話を集めたものである。

 

「その1」トランプ大統領が「FIFA平和賞」を受賞

 

2025年12月5日、FIFAワールドカップ抽選会が米首都ワシントンのケネディ・センターで開かれた。これに先立ち国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティーノ会長が、第1回FIFA平和賞なるものをトランプ大統領に授与した。FIFAは2025年11月、FIFA平和賞を導入すると突然発表した。この賞は「平和のために比類のない、並外れた行動を取り、それによって世界中の人々を団結させた」とFIFAが評価する人物に毎年贈られるという新しい賞である。当初より、トランプ大統領が受賞しそうだという噂はあったが、その通りになったのである。FIFAはこの賞が世界中の50億人以上のサッカーファンを代表して授与されたと説明しているが、受賞者の選考基準は明確ではない。もちろん、トランプ大統領は大喜びであったが、世界中から様々な意見、批判が寄せられた。例えば、「FIFAの政治的中立性を犯した」とか「インファンティーノ会長が政治的中立性を犠牲にしてトランプ氏に取り入っている」とか「FIFAにおける深刻な失政の最新事例であり、組織の変革が急務であることを改めて証明するものだ」とか「FIFAをトランプ大統領のMAGAプロジェクトに結びつけるというインファンティーノ会長の決定は、FIFAにとって短期的にはビジネス上の意義があるのかもしれないが、サッカーの高潔さと評判にとって極めて有害であることは明らかだ」等々である。

ジャンニ・インファンティーノ氏は、スイス弁護士で第9代国際サッカー連盟(FIFA)会長に就任した。スイスとイタリアの二重国籍を持っている。FIFAの会長がワールドカップ主催国の首脳と緊密な関係を結ぶのは大切なことであるが、彼はトランプ大統領のノーベル平和賞受賞を支持していたこともあり、両者の関係がますます疑念を生むことになった。もともと何故FIFAが「平和賞」を設ける必要があるのかという問題もあったが、ノーベル平和賞がベネズエラのマリア・コリーナ氏に授与されたことで、急遽FIFAがトランプ大統領のために創設したと勘繰られても致し方ないと言えよう。

 

「その2」イランの代わりにイタリアを出場させるという案

 

米国のイラン攻撃によって、両国間の関係が極めて悪化した。イランが出場するグループG(ベルギー、エジプト、イラン、ニュージーランド)は米国での試合が予定されている。イランは、安全上の問題があるというので、米国での試合をメキシコで行うようにFIFAに要請したが、FIFAは認めなかった。そこでイランが出場を辞退するという噂が流れ、イランの代わりにイタリアという案が、トランプ大統領の側近から出されたのである。常識的には考えられないアイデアであるが、まかり通るのがトランプ・スタイルである。FIFA2022カタール大会では、32カ国の参加であったが今回から48か国になった。2022年カタール大会では欧州から11ヶ国、2026年北中米大会では、欧州諸国枠が13ヶ国に増えたにも拘らずイタリアは欧州予選で敗退したのである。セリエAで有名なイタリアは、過去のワールドカップで、ブラジルの5回に次ぎ、ドイツと並び4回優勝しているサッカー大国である。外国選手も多数受け入れている国でもある。それゆえにイランの代わりにイタリアが代替候補として出てきても特に不思議なことではない。イタリアは人気チームだし、観客動員やFIFAの商業主義にも合致する。しかし加えてもう一つの問題があった。トランプ大統領とイタリアのメローニ首相の関係悪化である。トランプ大統領発足当時、両者の関係はまさに蜜月であったが、米国のイラン攻撃やトランプ大統領によるローマ教皇レオ14世批判が重なり、両者の関係が一気に悪化したのである。5月上旬には、ルビオ国務長官があわててレオ14世やメローニ首相と会談し、修復を図ったことも日本のマスコミでも大きく報道された。もちろんFIFAはイタリアの出場を認めなかったが人騒がせなエピソードであった。

 

筆者は、最初この話を知った時には、直ちにあり得ないと考えた。なぜなら、サッカーが国技的なイタリア人の誇りを傷つける考えであり、ワールドカップ出場は、カンチャ(グラウンド)で自らの力により勝ち取るものであり、他人に与えられるものではないというのがイタリア人の考えである。イタリアでは、サッカーは「夢を売るスポーツ」と考えられている。トランプ大統領やその側近が考えることは、国民性の理解に欠けており、イタリアやその国民の誇りや矜持を傷つけることなど念頭にないからである。同時にイランとイラン国民の誇りや矜持を傷つけたことになる。イランが米国で、無事に滞りなくプレーすることを祈りたい。

 

「その3」 高額なチケット代に批判殺到

 

FIFAの商業主義は、オリンピックのIOCと並んでつとに有名なことである。2006年ドイツ大会の収益は、26億ドル、前回の2022カタール大会では、収益75億ドルと言われており、今回の予想収益は、130憶ドルと報道されている。出場国数も一気に32ヶ国から48か国と急激に増えた。賞金総額は、7億2700万ドル(約1130億円)、優勝国は5000万ドル(約78億円)、準優勝国は3300万ドル(約51億円)が用意されている。

高額のチケットについては、内外のマスコミ、新聞等で取り上げられた。例えば、5月12日付けの日本経済新聞は、「サッカーW杯高値の生観戦」、「円安でサポーター二の足」、「3ヶ国開催、長い移動負担」という見出しで大きく取り上げている。旅費、宿泊費に加え、チケット代が高騰し、第3戦の日本対スウェーデン戦が、最も安いのが400ドル(6万円)、高いのは1300ドル(約20万円)になるという。

また、5月7日付けのマイアミ・ヘラルド紙のコラムニストであるアンドレス・オッペンハイマー氏は、「多くの試合のチケット価格はすでに800ドルに達しており、7月19日の決勝戦については、200万ドルという転売オファーがSNS上で話題になった。メキシコでも、同国で行われる13試合のチケット高騰が批判を呼んでいる。CNNによれば、6月11日の開幕戦チケットは3,000〜1万ドルで販売されている」と報じ、大会が失敗に終わることを危惧している。

2022年のFIFA日韓大会では、予選がすべて17,000円であった。準々決勝戦を家族そろって申込み、当選したが、その時の値段は、35,000円であった。当時は高いと感じたが、静岡のエコバ・スタジアムでブラジルーイングランド戦を家族そろって観戦できたのは、今から思うと夢のような話である。確かに、円安で苦しむ日本のサポーターにとって、高嶺の花になりつつある。今大会では、静かに家庭のテレビで観戦するのが最も賢明であると言えよう。


「その4」 テレビ放映権を巡る話

 

テレビの放映権料は、FIFAにとっては最重要の収入源であり、まさにドル箱である。サッカーは世界で最も人気のあるスポーツゆえに、各国ともに関心の的である。今回のFIFA2026北中米大会でも多くの先進国やサッカーに熱狂する国は、いち早く2025年中にFIFAと契約した。現時点でFIFAは世界175カ国と中継権契約を締結したという。詳細な情報の入手は困難であるが、インターネット等で検索すると様々な情報が入ってくる。https://yururank.hatenablog.com/entry/2026/05/11/112242#google_vignette

それによると、例えば、放映権料ビッグ10は、

1位 米国(Fox Sports)4.8億ドル

2位米国(Telemundo スペイン語放送)4.65憶ドル

3位英国(BBC/ITV)3.6億ドル(2大会パッケージ)

4位日本(複数プラットフォーム)2億ドル

5位フランス(M6/TF1)1.5億ドル

5位ブラジル(GLOBO)1.5億ドル

5位ドイツ(ARD/ZDF/Magenta TV)1.5億ドル

8位韓国(JTBC)1.25億ドル

9位スペイン(Mediapro/RTVE)1.2億ドル

10位中東・北アフリカ(beIN Sports)1.1億ドル となっている。

FIFAにとって、残された大口顧客は中国である。中国は、2018年ロシアと2022年カタール大会の際は、中国国営の中央テレビ(CCTV)が権利を先行確保し、大会前からスポンサー広告を大々的に流した。カタール大会では、1.5憶ドルから2億ドルの放映権料であったという。今回、FIFAは当初、CCTV側に2億5000万〜3億ドルを中継権料として提示したと中国メデイアは報じている。CCTVの自前予算は6000万〜8000万ドルの水準だったとされる。交渉が進まないのに業を煮やしたFIFAは、2026年5月に交渉団を中国に派遣し、最終的に、5月15日にFIFAとCCTVの親会社である中国メデイアグループ(OMG)との間で、6000万ドルで合意した。FIFA提案額3億ドルの5分の1であった。さらに2030年のワールドカップと、2027年と2031年の女子ワールドカップの放送権を獲得するという「ボーナス」パッケージの恩恵も受けたという。

中国は、今大会に出場しないこと、放映時間が時差の関係で深夜か早朝になるためスポンサーが集まりにくいことを強く主張した。加えて報道の自由の無い中国ではあるが、こと中国当局にプラスするSNSへの投稿は大歓迎とあって、FIFAを非難・中傷するSNSユーザーの投稿が殺到し、それがCCCVにとって強力なサポーターとなった。蓋を開けてみれば、FIFAの完敗で「捕らぬ狸の皮算用」に終わってしまったのだ。中国の「焦らず、忍耐強く、自分たちの強みを強調する」交渉術が功を奏したと言える。ロイターは専門家の話として「FIFAがアジア需要を過大評価した結果、オウンゴール(own goal)を決めかねない危機に陥った」と報道している。まるで鳴り物入りで販売開始された高級マンションが当初は好調な売れ行きを示したが、最後に売れ残りが生じ、大きくダンピングしたという感じである。本原稿執筆時点の5月24日現在、未だインドとタイの交渉が未決である。ここでもFIFAは完敗しそうだ。

 

「その5」 お雇い外国人監督の話


2023年1月に、ラテンアメリカ協会のホームページに、「FIFAサッカー・ワールドカップよもやま話」という記事を執筆した。 https://latin-america.jp/archives/56105

内容は、ラテンアメリカで起きたサッカーにまつわる4大悲劇を中心にした内容であったが、同時に、2022カタール大会、2018ロシア大会でのお雇い外国人監督について紹介してみた。今回は、その第2弾で、北中米大会をも取り上げた。表1をご覧いただきたい。

過去3回のワールドカップで、引く手あまたのお雇い外国人監督の国籍ランキングは、1位がアルゼンチン人で計10ヶ国、2位はフランス人、スペイン人で6ヶ国、4位はポルトガル人で4ヶ国、5位はイタリア人、ベルギー人、イギリス人、ドイツ人、コロンビア人の3ヶ国、⒑位がデンマーク、オランダの2ヶ国となっている。

3大会を見る限りサッカー王国のブラジル人監督は皆無である。アルゼンチン人が10ヶ国と圧倒的なのは、何故か理由を知りたいものだ。おそらく監督報酬が他国に比して高くないことが考えられる。またいつの日か、日本人監督が他国のナショナル・チームを率いて、ワールドカップに参戦する日が来るのを期待したい。

ちなみにワールドカップで日本代表を率いた外国人監督には、2002日韓大会でのフランスのフィリップ・トルシェ、2006ドイツ大会でのブラジルのジーコ、2014ブラジル大会でのイタリアのアルベルト・ザッケローニがいる。

 

表1  FIFAワールドカップ過去3回の外国人お雇い監督



監督の国籍

2026北中米

2022カタール

2018ロシア

自国の監督

48ヶ国中20ヶ国

32ヶ国中23ヶ国

32カ国中20ヶ国

アルゼンチン人

米国、パラグアイ、エクアドル、ウルグアイ、コロンビアの5ヶ国

エクアドル、メキシコの2ヶ国

エジプト、ペルー、コロンビアの3ヶ国

フランス人

ハイチ、チュニジア、ベルギー、コンゴ民主共和国の4ヶ国

サウジアラビア

モロッコ

イタリア人

ブラジル、トルコ、ウズベキスタンの3ヶ国

ベルギー人

南ア、モロッコ、コンゴ民主共和国の3ヶ国

スペイン人

カタール、ポルトガルの2ヶ国

カタール、ベルギーの2ヶ国

サウジアラビア、ベルギーの2ヶ国

イギリス人

スウエーデン、ニュージーランドの2ヶ国

カナダ

ドイツ人

オーストリア、イングランドの2ヶ国

ナイジェリア

ポルトガル人

ガーナ

イラン、韓国の2ヶ国

イラン

米国人

カナダ

オランダ人

キューラソ

スイス人

アルジェリア

デンマーク

パナマ

ノルウエー

オーストラリア人

イラク

オランダ

モロッコ人

ヨルダン

コロンビア人

コスタリカ

メキシコ、パナマ

注:表1の作成に当たっては、「FIFA WORLD CUP 2026 サッカーマガジン」2026北中米ワールドカップ 選手名鑑& Guide BOOK等を参考にした。表2~表4も同様。


「その6」 出場国の人口について考える


オリンピックでもワールドカップでも、常に出場国の人口の観点から考えると興味のあることが数多く出てくる。

特定の国が特定のスポーツを強くする方法は、国によるスポーツ振興政策が重要であるが、一般的には、その国で最も運動神経の発達した人材をどのスポーツに向かわせるかによって決まって来る。もちろん、動機が重要で、貧困からの脱出、アメリカン・ドリーム、ヨーロッピアン・ドリームの実現、人気度・名声・名誉の確立等々があるだろう。このことは、メジャー・リーガーになりたいというドミニカ共和国やベネズエラの若者の夢、サッカー選手になりたいという南米、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビアの若者の夢を知れば、容易に理解できる。通常、人口大国はそれだけ人間が多いので有利に働くものと考えられるが、必ずしもそうはならないのが現実である。例えば、世界一の人口大国のインドは、国技のカバデイや人気のクリケットを除けば、スポーツ界に存在感は少ない。中国もことサッカーについて言えば、習近平主席の肝いりでサッカー大国を目指すという考えもことワールドカップに関する限り、全く計画通りには進んでいない。

表2は、今回のワールドカップ出場国の中で1億人を超える人口大国5ヶ国と350万人に満たない小国5ヶ国をリストアップしたものである。オランダ王国キュラソーに至っては、わずか15万人の島である。アフリカのカボ・ベルデも50万人の小国である。FIFAのワールドカップ出場国の選出に当たっては、地域毎に選出されるため、欧州や南米のような超激戦区もあるし、中米カリブ海、アジア、アフリカのように比較的競争が激烈でない地域もある。それゆえキュラソーのような小国でも選出されることもある。いずれにせよ、人口小国からワールドカップに出場することは容易なことではない。


表2 出場国の人口大国・人口小国ランキング

人口大国

人口小国

順位

国名

人口

順位

国名

人口

1位

米国

3億3650万人

1位

キューラソ

15万人

2位

ブラジル

2億1200万人

2位

カボベルデ

55万人

3位

メキシコ

1億2601万人

3位

カタール

300万人

4位

日本

1億2285万人

4位

ボスニアH

316万人

5位

コンゴ民主共和国

1億928万人

5位

ウルグアイ

339万人


「その7」 開催国のスタジアムについて


今回は北中米大会ということでカナダ2都市、米国11都市、メキシコ3都市と16都市で開催される。世界の面積ランキングを見ると、カナダが世界2位、米国が4位、メキシコが14位と面積大国3ヶ国をまたがって、選手やサポーターは縦断・横断しなければならない。フライト時間をざっとインターネットで調べてみると、ニューヨーク―ロサンゼルス間、約6時間半、ニューヨーク―メキシコ間、約5時間、トロント―バンクーバー間、約5時間弱、メキシコ―トロント間、約5時間強等々である。2002年日韓大会時の東京―ソウル間の2時間~2時間40分とは随分異なるのである。

このことは。出場国の選手やサポーターにとっては、移動、宿泊、時差(最大3時間)、出入国手続き等は生優しいものではなく、極めてハードな大会になることが予想される。FIFAの利益と米国の都合により、選手やサポーターが犠牲となったと言えよう。

スタジアムの収容人数を見てみると、ビッグ3は、ダラス・スタジアムの94,000人、次いでメキシコシテイのアステカ・スタジアムの83,000人、ニューヨーク・ニュージャージー・スタジアムの82,500人と巨大である。一方、55,000人を下回るスタジアムは、トロント・スタジアム、45,000人、グアダラハラ・スタジアムの48,000人、モンテレイ・スタジアムの53,500人、バンクーバーのBC Placeの54,000人となっている。開閉式屋根を持つスタジアムは4ヶ所である。

なお開幕戦のメキシコー南ア戦は、メキシコ・シテイのアステカ・スタジアムで、優勝決定戦は、ニューヨーク・ニュージャージー・スタジアムで行われる。アステカ・スタジアムの設計者のペドロ・ラミレス・バスケス氏は、元インフラ・人間居住大臣、1968年メキシコオリンピック、1970年FIFAワールドカップ・メキシコ大会の組織委員長で、レフォルマ通りに面する日本大使館の設計者でもある。

前回のFIFA2022カタール大会では、8会場が使用された。その内、4つのスタジアムが2021年、2つが2020年、1つが2019年と大会直前に完成した。そのため多数の外国人労働者を過酷な労働条件・気候のもとに低賃金で働かせたとして国際的に大問題となった、前大会と比較すると、今回の米国、カナダ、メキシコは既存のスタジアムを使用していることもあり、そのような問題は起きなかった。さすが会場インフラが整ったスポーツ・インフラ大国である。


表3 開催国のスタジアムの概要

地域

スタジアム名

都市

建設年

収容能力

東部

Atlanta Stadium 開閉式屋根

アトランタ

2017

75,000

 

Miami Stadium

マイアミ

1987

65,000

 

Toronto Stadium

トロント

2007

45,000

 

Boston Stadium

ボストン

2002

65,000

 

Philadelphia Stadium

フィラデルフィア

2003

69,000

 

New York New Jersey Stadium

ニュージャージー

2010

82,500

中央部

Estadio Guadalajara

グアダラハラ

2010

48,000

 

Estadio Azteca

メキシコシテイ

1996

83,000

 

Estadio Monterrey

モンテレイ

2015

53,500

 

Houston Stadium 開閉式屋根

ヒューストン

2002

72,000

 

Dallas Stadium 開閉式屋根

ダラス

2009

94,000

 

Kansas City Stadium

カンサスシテイ

1972

73,000

西部

BC Place 開閉式屋根

バンクーバー

1983

54,000

 

Seattle Stadium

シアトル

2002

69,000

 

San Francisco Bay Stadium

サンタクララ

2014

71,000

 

Los Angeles Stadium

イングルウッド

2020

70,000




「その8」  FIFA2026出場の中南米10ヶ国の代表選手はどの国でプレーしているのか?

 

最後に、今回出場する中南米10カ国のナショナル・チームの代表でリストに掲載されている300名が、どの国で活躍しているかをみてみよう。下記表4は、FIFA2026に出場する中南米10ヶ国選手の活動国を国別にまとめたものである。以下、箇条書きで興味ある点を指摘する。

 

*10カ国代表300名(各国30名)の内、国内リーグで活躍している選手数は39名で、海外で活躍する選手数は261名で圧倒的に海外が多い。

*国内リーグで活躍する選手数が多い国は、メキシコ14名、次いでブラジル7名、パラグアイ6名、アルゼンチン4名と国内リーグが盛んな国となっている。反対に海外でプレーする選手の多い国は、ウルグアイ全員、コロンビア、キュラソー、ハイチの29名、エクアドルの28名、アルゼンチンの26名となっている。ウルグアイやコロンビアのように国内リーグが盛んな国でも、海外に出たがる選手が多いことがわかる。キュラソーやハイチは国内市場が限定されているので当然ながら海外に出ることになる。

*日本の場合も、5月15日に今大会に出場する代表選手26名が森保監督から発表されたが、海外組が23名、国内組がわずか3名であった。一昔時代とは様変わりである。

*10ヶ国選手の受け入れ国の欧米でのランキングは、イングランド34名、スペイン、米国23名、フランス16名、イタリア15名となっている。中南米の受け入れ国は、ブラジル27名、アルゼンチン15名、メキシコ14名である。その他の国を見ると、トルコとサウジアラビアが各8名、ギリシャが5名となっている。世界第2位の経済大国でサッカーの強化を図っている中国に各国の代表選手が皆無なのは不思議なことである。日本もJリーグ発足時には世界の著名選手が多数やってきたことを想起すると各国の代表選手級が。ゼロなのは寂しい感じがする。

*一般的には、中南米のサッカー強国、例えば、アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、ウルグアイなどは、サッカーが最も人気のあるスポーツである欧州でプレーするケースが多い。欧州諸国では高い年俸が望め、快適な生活水準を望めるからであろう。

*同じ中南米の国で活躍するケースも多い。例えば、パラグアイはアルゼンチンやブラジルに、パナマはメキシコやコスタリカに、ウルグアイはブラジル、アルゼンチン、メキシコのチームに多く在籍している。

*言葉の関係や旧宗主国との関係も影響する。例えば、オランダ王国のキュラソーは、オランダに、ハイチはフランスに多くの選手を派遣している。


表4  FIFA2026に出場する中南米10ヶ国選手の活動国

 

AR

3

BR

6

CO

13

MEX

15

UR

17

EC

23

PAN

33

PAR

40

CU

82

HA

83


国内でプレーする人数

4

7

1

14

0

2

3

6

1

1

39


海外でプレーする人数

26

23

29

16

30

28

27

24

29

29

261


France   1

5

2

1

1

0

1

0

1

0

5

16


Spain   2

8

3

2

2

6

0

1

1

0

0

23


Argentina   3

0

4

0

2

3

0

6

0

0

15


England   4

6

10

3

0

3

4

1

2

3

2

34


Portugal   5

1

0

2

0

2

0

0

0

0

3

8


Brazil   6

1

6

0

6

6

1

7

0

0

27


Netherlands   7

0

0

0

0

0

0

13

1

14


Belgium   9

0

0

0

4

0

0

1

2

7


Germany   10

1

1

0

0

1

0

0

1

1

5


Italy   12

2

2

3

2

1

2

1

1

0

1

15


Mexico   15

2

4

3

4

1

0

0

14


USA   16

2

1

2

2

2

2

2

2

8

23


Uruguay   17

0

0

0

0

0

0

1

0

0

0

1


Switzerland   19

0

0

0

0

0

0

1

2

3


Denmark   20

0

1

0

1

0

0

0

0

2


Iran   21

0

0

0

0

0

0

0

0

0

1

1


Turkey   22

2

1

0

0

1

0

3

1

9


Ecuador   23

0

0

0

0

0

0

0

0

0

1

1


Austria   24

0

0

0

0

0

0

1

0

0

0

1


Canada   30

0

0

0

0

0

0

3

1

0

1

5


Ukraine   32

0

0

0

0

0

0

1

0

0

0

1


Russia   36

2

2

2

0

0

1

1

0

0

8


Scottland   43

0

0

0

1

0

0

0

0

1

0

2


Greece   47

0

0

0

2

1

1

0

0

1

0

5


Venezuela   49

0

0

0

0

0

0

2

0

0

0

2


Costa Rica   51

0

0

0

0

0

0

3

0

0

0

3


Chile   54

0

0

0

0

0

0

1

0

0

0

1


Saudi Arabia   61

3

0

1

3

0

1

0

1

0

9


Honduras   66

0

0

0

0

0

0

1

0

0

0

1


UAE   68

0

0

0

0

0

0

0

1

0

0

1


Israel   77

0

0

0

0

0

0

1

0

1

0

2


Cyprus   125

0

0

0

1

0

0

0

0

0

0

1


Malaysia   138

0

0

0

0

0

0

0

0

1

0

1


注: ① 中南米10ヶ国、AR(アルゼンチン)、BR(ブラジル)、CO(コロンビア)、MEX(メキシコ)、UR(ウルグアイ)、EC(エクアドル)、PAN(パナマ)、PAR(パラグアイ),CU(キュラソー)、HA(ハイチ)を表わす。その下の数字は、2026年4月1日付けのFIFAランキング

  ② 左の国名の右は、FIFAランキングを表わす。


「最後に」

 

今回のワールドカップを鑑賞するにあたり、筆者が関心を持っている点を紹介しよう。

第1は、出場国が32カ国から48か国に増加したことによって、どのような影響・変化が出

てくるのかという点である。試合の内容や質に変化が出てくるのかどうか、強い国と弱い国

の試合では、点数差が大きくならないかどうか等々である。第2に、面積大国3ヶ国にまた

がる大会ゆえに、うまく運営がなされるのであろうか? 選手や応援するサポーターに影

響や不満が出てこないかどうか? 大会が滞りなく成功裏に終了するかどうか? 第3に、

トランプ大統領が様々な局面に登場することが予想されるが、FIFAの政治的中立がどの程

度守られるのか?トランプ大統領に対するスタジアムの観衆の反応は? 同様に、トラン

プ大統領との対比でメキシコのシェインバウム大統領、カナダのカーニ首相に対する観衆

の反応はどうか?等々。 第4に、著名選手個人個人の活躍は? 栄光に満ちたメッシ、ク

リスティアン・ロナルド、エムバペ、ネイマール、モドリッチ等の活躍はどうか?それとも

ニューヒーローが彗星のごとく現れるのか? 第5に、修羅場にそれほど強くない日本代

表がどこまで健闘してくれるのか?ベスト8の壁を破れるかどうか。第6にアルゼンチン

やブラジル等ラテンアメリカ諸国が欧州の強豪国相手にいかに戦いを挑むのか。そして最

後に、どのチームが優勝し、栄えあるジュール・リメ杯を手にするのか? 過去に優勝した

国は8ヶ国に留まるが、今回もそれらのいずれかの国が優勝するのか、それとも初めて優勝

する国が現れるのか? 等々興味が尽きない北中米大会である。         

以  上



「執筆者による過去のサッカー関連記事リスト」

「ラテンサッカーと私」

「サンパウロでサッカー見学の際に心得るべきこと」

    https://nipo-brasil.org/archives/8861 

「ラテンアメリカの著名サッカー選手」上・中・下 2021年6月

「FIFAサッカー・ワールドカップよもやま話」  2023年1月

   https://latin-america.jp/archives/56105

2023年1月14日付けブラジル日報 https://www.brasilnippou.com/2023/230114-41colonia.html 


 
 
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