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120周年を機に文協ビル建て替えを提案

  • 7 時間前
  • 読了時間: 4分

執筆者:中沢 宏一 氏(ブラジル日本清和友好協会 会長)

 

★★この記事は執筆者の許可を得て伯学コラムに掲載させていただきます★★


上皇陛下が皇太子だった時代にご来伯され、落成された文協大講堂のプレート3
上皇陛下が皇太子だった時代にご来伯され、落成された文協大講堂のプレート3

ブラジル日本移民120周年(2028年)の節目が、いよいよ目前に迫ってまいりました。

 私どもブラジル日本清和友好協会では、2024年より「ブラジル日系社会遺産遺跡巡り」を実施し、これまでにサントス、ウバツーバのアンシエッタ島、かつてのイグアッペ植民地であるイグアッペ桂、レジストロ、セッチバーラス、さらに北パラナ地域などを訪ね、先人の足跡をたどってまいりました。

 こうした取り組みを踏まえ、2028年の日本移民120周年記念事業として、現在いくつかの企画を進めております。

 第一に、「農業組合導入100周年」の顕彰であります。1923年の関東大震災、翌24年の米国排日法を契機に、ブラジル移民は日本の国策として推進されました。その中で農業組合の導入が奨励され、1927年12月末にはコチア産業組合が登録され、翌28年にはイグアッペ、レジストロ、セッチバーラスにも組合が設立されました。日系農業発展の礎を築いたこの歴史を、改めて顕彰したいと考えております。

 第二に、セッチバーラスにおける「昔の日本の里山」再現事業です。1913年に始まった定着型移住地であるイグアッペ植民地の流れをくむ同地に、日本の原風景ともいえる里山を再現し、次世代に伝える拠点とする構想です。

 第三に、アンシエッタ島における記念施設の整備です。戦後のいわゆる勝ち組・負け組抗争により、同島には173名の日系人が収監されました。調査を進める中で、迫害の歴史のみならず、収監者の規律ある生活態度が高く評価されていた史実も確認されております。こうした事実を検証し、後世に正しく伝えることを目的としております。

 このほか、訪日団の派遣なども計画しております。

 また、本年はチエテ川掘削・護岸工事完成20周年に当たります。2006年3月の完成式には当時のアルキミン州知事や堀村隆彦大使が参列し、盛大に執り行われました。その後、小泉首相も記念碑を訪れております。植樹された木々は今や大きく成長し、日本の支援事業の成功例として誇るべき姿を見せております。これを記念し、同河川を水源からパラナ川合流点まで、2回に分けてたどる視察旅行も企画中です。

 振り返れば、2003年前後は日本移民100周年に向けた準備が本格化した時期であり、当時の赤坂総領事が主催する昼食会には主要団体が毎月招かれ、活発な意見交換が行われておりました。文協による日伯センター構想や、リベルダーデ商工会によるエスプラナーダ・リベルダーデ計画など、次の時代を見据えた拠点整備が議論されていたことを思い起こします。

 しかしながら現在においても、築後半世紀以上を経た文協施設が、250万人といわれる日系社会の中心的拠点であり続けております。遠くから見ても目立つような外壁の落書きが、パンデミック期の頃からずっと放置されている悲しい状態です。エレベーターも頻繁に故障が起きており、まともに2基が稼働している状態が減り、要人来館に支障がないか心配されます。

 振り返れば、1958年にご来伯した三笠宮殿下臨席のもと、定礎式が行なわれた文協ビルは、以来皇室関係者が必ず立寄られるブラジル日系社会を代表する建物です。今も〝コロニアの殿堂〟である大講堂は、1967年の皇太子殿下(現天皇陛下)ご来伯を記念し落成されました。

 大講堂落成からほぼ60年が経ちました。鉄筋コンクリート(RC)造の建物は、適切に維持すれば60年〜100年程度は使用可能とされています。ですが、機能的寿命(設備・使い勝手)に関しては、エレベーター、配管、電気設備、耐震基準などが時代遅れになり、30〜40年程度で大規模改修か建て替えの判断が出てきます。すぐ近くには、最新設備を持つ客家センターが建設され、日系団体すらも使い勝手良さを求めてそちらを使っているところが多いのが現状です。加えて、客家センター向かいのフリーメイソン会館も最新のビルに立て替えました。


 最寄りのサンジョアキン駅は、ブラジランジアからのメトロ新線を受け入れるために大規模な工事をしており、ブラジル発展とともに、文協界隈はここ数年で大きく発展してきています。

 この状況が今後も続くとすれば、日本にとっても決して望ましいこととは言えないのではないでしょうか。とりわけ近年、中国系コミュニティの台頭が目立つ中、移民120周年を契機として、海外最大の日系社会の中心地であるリベルダーデに、確固たる新たな拠点が整備されることを強く期待いたします。

 さらに憂慮すべきは、邦字新聞の発行停止の動きであります。日本語による情報発信は、長年にわたり日系社会の結束と発展を支えてきた重要な柱であります。移民120周年という大きな節目を迎えるにあたり、今こそ皆さまで邦字新聞の継続を支えていこうではありませんか。

 2028年の日本移民120周年は、言わば移民社会の総決算ともいえる重要な節目であります。邦字新聞を中心に、自由闊達な提案と議論を重ね、次の時代への道筋を共に描いていきたいものです。



 
 
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