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米国メジャーリーグ(MLB)で活躍するカリブ海諸国の選手たち

  • 8 時間前
  • 読了時間: 8分

桜井 悌司 氏(ラテンアメリカ協会&日本ブラジル中央協会顧問)


2026年3月は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアジア予選リーグでのサムライジャパンの活躍で、日本中その話題で盛り上がった。残念ながら、決勝リーグの準々決勝では、日本は、D組2位のベネズエラに8対5で敗れた。韓国はD組1位のドミニカ共和国に10対0のコールドゲームで敗退した。ドミニカ共和国は、準決勝で、米国に1対2で惜敗したが、ベネズエラは、予選リーグで米国を破ったイタリアに4対2で快勝し、決勝でも宿敵米国を3対2で破り堂々優勝を勝ち取った。

 

WBC 2026は、20チームが参加した。このうちラテンアメリカ・カリブ海諸国は、9ヶ国・地域が参加した。プールAには、キューバ、パナマ、コロンビア、プエルトリコ、プールBには、メキシコとブラジル、プールDには、ベネズエラ、ドミニカ共和国、コロンビアである。アジア・オセアニアからは、日本、韓国、台湾、オーストラリアの4ヶ国であったので、その倍以上の参加国数であった。

 

筆者は、ラテンアメリカ協会の投稿欄で、2021年5月に「ラテンアメリカ出身のメ

執筆し、ラテンアメリカ・カリブ海諸国の歴代著名な野球選手を紹介した。NHKの衛星放

送では、数年前より米国のメジャーリーグ(MLB)をテレビ放映している。選手名を聞

いているとスペイン系の名前が多く見られる。そこで、今回、MLBでラテンアメリカ・カ

リブ海諸国の選手がどのように活躍しているかを数字で表してみることにした。資料は

(株)日本スポーツ企画出版社の「2026MLB選手名鑑」のデータを活用させていただ

いた。

 

「MLBで活躍するラテンアメリカ・カリブ海諸国の選手数」

 

ご承知の通り、MLBはアメリカンリーグとナショナルリーグがあり、それぞれ東部、中央部、西部の3地域に分かれ、それぞれ5チームが所属している。チーム数は合計30チームを数える。毎年、各チームは、Roster(名簿)として47名が登録される。この名簿の中にラテンアメリカ・カリブ海諸国の選手がどれくらいいるのかを調べたのが表1の「メジャーリーグに占めるラテンアメリカ・カリブ海諸国の選手数」である。なお現時点での国籍にしたがった。

 

それによると、最多の登録者数を輩出しているのはカリブ海のドミニカ共和国でMLB選手総数1410名の10.6%にあたる149名、2位は、ベネズエラで6.5%にあたる91名、3位がキューバで2.3%の32名、4位がプエルトリコの16名、5位がメキシコの14名となっている。この地域全体の選手数は、324名で全体の23%と相当数を占める。ここでお断りしておきたいのは、選手の現国籍から見た数字であり、ラテン系の選手はさらに多くなることである。米国には、ヒスパニック系が、2020年時点で6,210万人といわれており、コロナ禍以降、2023年までに320万人増加した。ブルッキングス研究所によると、2030年には、米国の人口の5分の1はヒスパニック系になると予測している。例えば、ドミニカ共和国のスター選手であるManny MachadoやAustin Wellsは米国籍、Vladimir Guerrero Jr.はカナダ籍となっている。MLBの登録選手の中でも、ラテン系の名前を持っている選手が、米国籍、カナダ籍として数多く登録されていることを知っておく必要がある。それらの選手をカウントすると、30%をはるかに上回る数字となろう。

 

表2は、現在の「日本人メジャーリーガー名」を示す。日本のメジャーリーガーが全体でわずか15名であることから、カリブ海に面したドミニカ共和国は、日本人数のざっと約10倍、ベネズエラは、早く6倍、キューバは、約2倍の選手数である。


表1 メジャーリーグに占めるラテンアメリカ・カリブ海諸国の選手数

注:D.R.はドミニカ共和国、Veneはベネズエラ、Cubaはキューバ、Mexはメキシコ、Panaはパナマ、P.R.はプエルトリコ、他LAはその他のラテンアメリカ・カリブ海諸国、例えば、コロンビア、アルーバ、キューラソ、バハマ、ニカラグア等である。
注:D.R.はドミニカ共和国、Veneはベネズエラ、Cubaはキューバ、Mexはメキシコ、Panaはパナマ、P.R.はプエルトリコ、他LAはその他のラテンアメリカ・カリブ海諸国、例えば、コロンビア、アルーバ、キューラソ、バハマ、ニカラグア等である。

 表2 日本のメジャーリーガー名

「カリブ海諸国の選手についてのいくつかのコメント」

下記の表はアメリカンリーグ15球団とナショナルリーグの15球団に所属するドミニカ共和国、ベネズエラ、キューバ、メキシコ、パナマ、プエルトリコ、キューラソ、バハマ、コロンビア、ニカラグア等の主要選手名、所属チーム、年齢、ポジション、年俸を表にしたものである。前述の(株)日本スポーツ企画出版社の「2026MLB選手名鑑」の中で写真で紹介されている各チーム32名の主要選手を紹介した。各球団の投手野手のリストを見ると興味あることがわかってくる。

 

南米諸国の貧困家庭出身者にとって貧困から抜け出す最も手っ取り早い方法はサッカー選手になるかボクサーになることであるが、カリブ海諸国の国民にとっては野球選手になり米国のMLBに入団することである。

 

ドミニカ共和国出身者は圧倒的に多いが、若い選手が多く、それゆえに大リーグ最低年俸の78万ドル+αの選手が多いことがわかる。その理由は、ほとんどすべてのMLBの球団がドミニカ共和国にベースボールアカデミーを保有しており、鵜の目鷹の目で将来有望な選手の発掘と育成に努めていることである。日本の広島カープもアカデミーを持っている。筆者も2010年春にJICAの短期専門家としてドミニカ共和国に出張した際に、そのアカデミーを訪問する機会があった。広大な敷地で4面のグラウンド、立派な宿舎、食堂を備えており、若い将来のスターたちが一生懸命に練習に励んでいた。カープからは2人の駐在員がいた。ベネズエラもキューバも現在、経済的に最悪な状況であるが、両国の国民にとって、アメリカン・ドリームをかなえるべき、大リーガーになることを夢見る若者が多いことが理解できる。

 

年俸1000万ドル(15億円)以上の選手を国ごとに数えてみると、ドミニカ共和国、16選手、ベネズエラ、11選手、キューバ、9選手、プエルトリコ、4選手、キューラソ―とバハマが各1選手となっている。貧困にあえぐベネズエラやキューバ国民にとってはまさにアメリカン・ドリームの体現と言えよう。

 

WBC2026の優勝チームのベネズエラの米国との決勝戦でのスターティング・ラインアップで出場した選手を参考までに紹介する。ドミニカ共和国も凄い。米国との準決勝のスターティング・ラインアップも紹介する。これらの選手名を知ることによって今年のメジャーリーグのテレビ観戦がさらに楽しくなろう。


表3:ベネズエラが優勝した米国戦でのスターティング・ラインアップ

表4:ドミニカ共和国の準決勝、米国戦でのスターティング・ラインアップ

「日本選手のメジャーリーグ挑戦は?」

日本の大リーガーの特徴は、年俸1000万ドルを超える選手が15名中10名と多いことである。また30歳を超える選手が9名となっている。これは日本の場合、日本のプロリーグでそれなりに成績を上げた選手が次のステップとしてMLBに挑戦するというパターンから来ているものと思われる。野茂英雄選手の時代には、日本人メジャーリーガーは数少なかったが、今や15名を数えることになった。今後、さらに増加させるには、失敗を恐れず、若いうちからメジャーリーグに挑戦するというシステム・メカニズムを確立する必要があろう。

 

日本選手がメジャーリーグに行き過ぎると日本のプロ野球が面白くなくなるという声もあるが、野球選手としては、世界最高水準のメジャーリーグで挑戦したいという願望もあろうし、何と言っても年俸に格段の魅力がある。例えば、今年、ホワイトソックスに入団した村上宗隆の年俸は、1600万ドル(24億円)であるが、2025年のヤクルト時代の年俸は、6億円であったことから、年俸が4倍増になったことになる。日本のプロ選手も功成り遂げてからの挑戦だけでなく、高校卒の段階からメジャーリーグを目指すようになってもらいたいものだ。

 

日本選手が大リーグで活躍するにはいくつかの条件があるように思える。強い意志、決して諦めない、開き直り、チームに溶け込むための性格の明るさ等々である。日本の投手は、総じて活躍しているが、野手の場合、バッティング力・守備力に加え、強肩であることが必須である。

 

「メジャーリーグ30チームに所属するラテンアメリカ・カリブ海諸国の主要選手たち」

 

以下、米国の両リーグ30チームに所属するラテンアメリカ・カリブ海諸国の主要な選手を紹介する。前述の「2026MLB選手名鑑」では、出身がドミニカ共和国やベネズエラ等となっていても、国籍を取ることによって変更されている場合もある。

 

アメリカンリーグ

東地区 5チーム

 

チーム名:BALTIMORE ORIOLES   球場名:Oriole Park at Camden Yardsdominika


チーム名:BOSTON RED SOX    球場名:Fenway Park


チーム名:NEW YORK YANKEES   球場名:Yankee Stadium


チーム名:TAMPA BAY RAYS   球場名:Tropicana Field

チーム名:TORONTO BLUE JAYS   球場名:Rogers Centre

アメリカンリーグ

中部地区 5チーム


チーム名:Chicago White Sox    球場名:Rate Field

チーム名:CLEVELAND GUARDIANS    球場名:Progressive Field

チーム名:DETROIT TIGERS     球場名:Comeric Park


チーム名:KANSAS CITY ROYALS    球場名:Kauffman Stadium

チーム名:MINNESOTA TWINS    球場名:Target Field


アメリカンリーグ

西部地区 5チーム

 

チーム名:Athletics    球場名:Sutter Health Park


チーム名:HOUSTON ASTROS    球場名:Daikin Park


チーム名:LOS ANGELES ANGELS    球場名:Angel Stadium of Anaheim


チーム名:SEATTLE MARINERS    球場名:T-Mobile Park

チーム名:TEXAS RANGERS   球場名:Globe Life Field


ナショナルリーグ

東部地区

 

チーム名:ATLANTA BRAVES   球場名:Truist Park


チーム名:MIAMI MARLINS   球場名:Loan Depot Park


チーム名:NEW YORK METS   球場名:Citi Field


チーム名:PHILADELPHIA PHILLIES   球場名:Citizens Bank Park


チーム名:WASHINGTON NATIONALS   球場名:Nationals Park

ナショナルリーグ

中部地区

 

チーム名:CHICAGO CUBS   球場名:Wrigley Field


チーム名:CINCINNAATI REDS   球場名:Great American Ball Park


チーム名:MILWAUKEE BREWERS   球場名:America  Family Field


チーム名:PITTSBURGH PIRATES   球場名:PNC Park


チーム名:ST.LOUIS CADDINALS   球場名:Busch Stadium

ナショナルリーグ

西部地区

 

チーム名:ARIZONA DIAMONDBACKS   球場名:Chase Field


チーム名:COLORADO ROCKIES   球場名:Coors Field


チーム名:LOS ANGELES DODGERS   球場名:Dodger Stadium


チーム名:SAN DIEGO PADRES   球場名:Petco Park


チーム名:SAN FRANCISCO GIANTS     球場名:Oracle Park



 
 
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