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ブラジルの世界遺産 ⑤

  • 4 時間前
  • 読了時間: 6分

執筆者:田所 清克 氏(京都外国語大学名誉教授)


★★この記事は執筆者の許可を得て伯学コラムに掲載させていただきます★★


ブラジルのユネスコによる世界遺産  カイス・ド・ヴァロンゴの考古遺跡

(Sítio Arquelógico do Cais do Valongo) 21

 1811年に建造され、アメリカ両大陸において、アフリカ奴隷の主要な入港先になった。

リオ市の港湾地帯の、コエーリョ通りとサカドウーラ・カブラル通りの間に位置するヴァロ

ンゴ埠頭には、およそ百万の黒人奴隷が主としてアンゴラおよびコンゴから上陸したとみ

なされている。そのためにそこは、「小アフリカ」とも呼ばれる。

 そこから近い距離のところに、有名なMuseu de Arte do Rio 、Museu do

Amanhã、roda de samba のPedra do Salもある。

 2017年に世界文化遺産に認定されている。今となっては懐かしいが、留学時に私は、

マウワー広場を通って、このヴァロンゴ埠頭を訪ねたことがある。しかしながら、ここがア

フリカ奴隷の主要な上陸地であったことを、恥ずかしながら知らなかった。

ブラジルのユネスコによる世界遺産 パラチーおよびイーリヤ・ グランデ[文化と生物多様性]22  Paraty e Ilha Grande [cultura e biodiversidade]

 

イーリヤ・グランデ湾は、数世紀に亘る人の考古遺跡以外に、インディオ、キロンボーラ(quilombolas=逃亡奴隷集落[quilomboに立てこもり支配者に抵抗した、黒人奴隷の末裔])、カイサーラ(caiçaras=リオ南部以南の沿岸部の伝統的な共同体社会に住む人々)の伝統が集まって見られるところだろう。

 パラチーは植民地時代の歴史が豊かに反映されており、必見の価値は十分ある。

 2019年7月5日に、自然と文化の双方の観点、すなわち複合世界遺産として、アゼルバイジャンで行われた第43回世界遺産会議において認められた。  

 その決めてはやはり、文化的ものに加えて、大西洋林が育む豊かな生物多様性にあったようだ。

 パラチーの歴史的中心地、伝統的な共同体社会[インディオ、キロンボーラ並びにカイサーラ]、イーリヤ・グランデ州立公園、セーラ・ダ・ボカイーナ国立公園(Parque Na-

cional da Serra da Bocaína)を包含した149.000ヘクタールに及ぶ地域が、環境保全がなされているのには驚きである。

 いまでは記憶がかなり薄れているが、1976年に私は一度だけ現地を訪ね、その美しさには息を呑んだことは憶えている。

 TBSの世界遺産の番組でも紹介されたことで、改めて私は当時受けた感動を新たにした次第である。

ブラジルのユネスコによる世界遺産

ロベルト・ブルレ・マルクスの文化遺産 23 (Sítio Roberto Burle Marx)

 

 サンパウロに生まれ、大半をリオで暮らし没したロベルト・ブルレ・マルクス。彼は、視覚芸術家にして近代的な庭園をブラジルに導入した造園家として世界的に知られている人のようだ。がしかし、恥ずかしながら私は知らない。しかも、あれほどリオを訪ねているのに、彼の文化遺産となっているところに行ったことはない。

 調べてみると彼は多才で、画家、彫刻家、デザイナー、製図製作者、歌手でもあったようだ。 自然を都市に採り入れた造園手法は、20世紀の造園家たちに多大の影響を与えたらしい。 留学時私は、Hotel Novo Mundo近くのアパートから、Niteróiへフェリーボートで渡るPraça Quinzeまでの道中、いつも歩いていた。その道筋の埋め立て地のFlamengo の自然公園が、ロベルト・ブルレ・マルクスの作品であることを知ったのは、今に至ってからのことである。 文化景観の観点から抜きん出ており、2021年6月27日、ユネスコにより世界文化遺産として認定された。

 ロベルト・ブルレ・マルクスの遺跡は、リオ西部のBarra de Guaratibaに位置し、そこは3500以上の熱帯および亜熱帯の植物があり、自然環境の保全にも尽力した彼の一面がうかがわれる。 その意味では生態学的聖域でもあり、造園としてのみならず、生きた植物のラボラトリーともなっている。 ロベルト・ブルレ・マルクスの功績は一口に言って、旧来のヨーロッパスタイルから脱して、熱帯や土着のものに重きをおいた有機的な手法を採り入れたことで、世界の造園に革命的な影響を及ぼしたことであろう。

 彼の発想は植物、芸術、近代建築を統合したもののように思われ、このことが国際的名声の人物に仕立て上げた。


ブラジルのユネスコによる世界遺産

レンソイス・マラニャンセスの国立公園(Parque Nacional dos Lençois Ma- ranhaenses) 24

 

 マラニャン州の都から250キロの距離にあるレンソイス・マラニャンセス公園(Parque Nacional dos Lençois Maranhenses)[Lençoisはシーツの意味]。

 この地を訪れた人なら誰しも、白砂のラグーン、淡水の湖、マングローブ林、河川が織りなす美しさに言葉を失うだろう。

 それほどの絶景はなんと、大西洋岸の70キロにわたり続き、155.000ヘクタールの広さに及んでいるのである。 雨季にもなると、真っ白に輝く石英でできた砂と、波打つ砂丘の間に点在する、エメラルドグリーンの湖の美しさは形容できない。

 訪れる時期は6月〜8月がベターだと言われている。

[レンソイスの写真は、教え子の内藤亮太君の提供]

ブラジルのユネスコによる世界遺産 ペルアス川のキャニオン[カヴエルナス・ド・ペルアス国立公園]Cânion do Rio Peruaçu[Parque Nacional Cavernas do Peraçu] 25

 

 ペルアス川のキャニオンは、ミナス・ジェライス州の北東のペルアスの洞窟国立公園に位置する。 その面積は優に5千ヘクタールを占め、1万2千年前の岸壁に描かれた絵

のある考古遺跡や、渓谷、水深200メートル以上のキャニオンがある。 

 もともとその地は浅瀬の海であったようであるが、海が引きペルアス川が岩を削り始め、250あまりの巨大な洞窟を形成したとのこと。

 そこは大西洋林(Mata Atlântica)とセラードとカアチンガという、異なるビオームの生態系が見られるところでもある。加えて、先の洞窟や考古遺跡が存在する点で、関心あるその方面の訪問も少なくない。

 2025年7月13日、ユネスコの世界自然遺産として認定されたのも、ペルアス川のキャニオンと、石灰質の大岩壁の景観にあり、前述の三つの生物群系が自然を保全しながら、稀にみる楽園的な環境を作り出しているからに他ならない。


「アマゾーナス劇場」(Teatro Amazonas)、世界文化遺産に認定される

O Teatro Amazonas foi reconhecido como patrimônio cultural mundial pela UNESCO

 

 韓国で開かれた第48回国連教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産委員会は7月26日、飛鳥時代の天皇の宮跡、高松塚古墳、石舞台古墳など19の資産で構成される、「飛鳥・藤原の宮都」を世界文化遺産に登録することを決めた。

 同じく、ゴムブームで殷賑を極めた時に建立されたブラジルのアマゾーナス劇場も認定された。 日本の世界遺産以外には、日本のマスメディアがおそらく報じていないこともあって、ブラジルのアマゾーナス劇場が世界文化遺産に認められたことを私は知らなかった。 親友のManuel Martins氏がFolha de S. Pauloの添付の写真記事を送ってくれて知ることになった塩梅である。 つい最近まで、ブラジルの複合遺産も含めて世界自然、文化遺産を紹介したが、これでこの国の世界遺産は26となった。

 アマゾーナス劇場については、北部・アマゾン地域をFacebookで紹介するなかで詳述しているので、ここでは割愛する。 アマゾーナス劇場には、引率した社会人の方や学生さんと幾度も訪ねているので、あのきらびやかなで荘厳な建造物そのものが、私の脳裏に焼きついている。



 
 
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